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18話 呼称

「プリネットワークが一つ潰されました」


 プリネットワークが潰された? プリケンネットワークって確か......


「もしかして、プリケン一族が1人やられたってこと?」


「そういうことでそ」


「でもさっき勇者? はここに来てたし......」


 あの幼い子供を、果たして勇者と呼んでいいのだろうか?


「勇者じゃないなら誰にやられたんだろ?」


「温厚な我ら一族が無用な争いをふっかけるなど考えられません。これは恐らく反乱分子に違いありませんぞ!」


◇◇◇◇◇◇


[補足丸]


 反乱分子とは反乱を企てそれを実行しようとする人々の事を指す。 例.プリケン一族


◇◇◇◇◇◇


 はあ......反乱分子ってプリケン一族以外にもあるのか。これからはプリケン以外も注意しなきゃいけないようだ。危険者リストを作ろう。


[パリーン!]


 なんだ!? いきなり部屋の窓が割れた!? うわぁぁぁ! なんなんだ!?


「こんにちは〜! 魔王様! 四天王候補探してるとか聞いて来てみたよ!」


「あああああああああああああああ!?」


 なんか女の子がいきなり窓から現れて、さらにその子の右手に変な顔をしてくたばっているプリケンが!? いったいどういう状況!?




[数分後]


「えっと......私は危険者リストをまとめるので忙しいから、来客の対応はプリケンに任せるよ」


 危険者リストを整理しながら私も話を聞こう。それにしてもいきなり来たな。青みかがった髪に、背中に純白の翼がある以外はまんま普通の女の子っぽそう。


「分かりました。ですが気づいた時にはお客人は八つ裂きになってるかもしれませんけどな」


「なかなかのご挨拶だね。ていうか、なんなの? このビックリ生物は?」


「それでご用件はなんでそ。まさか我が同胞を殺めておきながら四天王にしてほしいとでも?」


「その通りだと言ったら?」


「ぬううううううううう!」


[ヌチャリ]


 ええ......? ん?


「え?」


「おっといけません。怒りのあまり細胞分裂してしまいましたぞ。ここはいいので持ち場についてくだされ」


「わかっちゃん」


「この世の全ては?」


「プリケン一族のために」


[新しいプリケンが退散しました]




「どうされましたかお客人、お顔が青いですぞ。今さら奪い取った命の重さに後悔しても遅いのですぞ!」


「逆だボケェ! 命一つの軽さにビックリだわ! あっ、お客さん大声出してすみません。プリケン続けて」


 なんなんだ? こいつの生態は本当に意味が分からない。なんだよ分裂って......


「それでご用件は四天王希望でよろしいですな?」


「その前に一つ大事なことを確認したいんだけど」


「給与等の待遇面ですかな? 給与でしたら自分が治めることになるエリアから適度に絞り取りなされ。そういった税収のうち少しはこちらに回していただきますが、残りはどうしようと自由でそ。ちゃんと統治するなら何割を(ふところ)に収めようが自由でそ」


「違う違う、確かに待遇面の話なんだけど......確認したいのはもっと大事なこと」


「休暇ですかな? それも同様でそ。統治に支障のない範囲でご自身で好きに設定してくだされ」


「福利厚生に不安があるなら言ってくれたまえ。私は四天王のみんなにも働きやすい職場を提供するつもりだ」


 よし、ある程度は危険者をリスト化できた。まあ、ほぼほぼプリケンの名前で埋まってしまったけど......


「.......何もわかってないね、あなたたちは。帰らせてもらう。こんな労働者の気持ちが分かってない雇用主のもとじゃ四天王できない」


「まっ待ってくれ! いったい何が...」


「帰れ帰れ! このまま地獄に還れ!」


「お前は黙っとれ!」


嘘でしょ!? 私が思いつく限りでの高待遇のはず...


「...呼称だよ」


「は? 故障?」


「四天王としての呼び名よ。魔王様、はっきりいうけどね。募集要項に一番大事なそれが書いてない限り、四天王に応募する魔族は誰もいない。ということなのでさようなら」


......


「どゆこと?」


「四天王としての呼び方ですな。殺戮帝◯◯とか、鮮血王◯◯とか、破壊神◯◯とか」


「ああ、ニックネーム的なあれね」


「お金大好き◯◯ちゃんとか、出落ち王◯◯ちゃんとか」


「だんだんと称号がおかしくなってんぞ」


 え......つうかなに......称号って募集段階で決めとくの?


「普通違くない? 応募者が最初からそう呼ばれてたり、後から自然とそう呼ばれるものじゃ......」


「古い考えですぞ陛下、最近ではそんな横着な募集要項では四天王を集められませぬ」


「称号未設定は横着だったか......」


「こうなっては仕方ありません。一緒に魅力的な呼称を考えましょうぞ」


 うーーん。なんでわざわざ自分が呼称を決めなきゃいけないんだろう。言うて呼称決めないまま応募にだすって横着なのか? ウムム......なんか釈然としないけど仕方ないのかなぁ......


◇◇◇◇◇◇◇

次回に続く

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