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転生英雄伝 ~戦乱編~ 過去の英霊の魔法を使って最強の英雄となる  作者: 黒紙 創
第二章 ~遥かなる高みへ~
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第四十五話 ~マルク領防衛戦・戦慄級鬼神~

 ぼくはゼストの質問には一切答えず、神経を集中させる。見た未来では声を出すために一瞬集中するのにノイズが走った瞬間ぼくは死んでいたからだ。


 せいぜい良くても7等級のぼくが、第一等級のオラクル・オーガの攻撃を防げるのはパレス先生のおかげだ。






「ほら、レオン」



 パレス先生は僕に赤色の魔法薬を投げた。



「パレス先生、これは?」



 ぼくは見たことのない色の魔法薬を見て不思議に思った。ぼくがこの世界で得た知識の魔法薬の色は青だ。そして神眼で見た魔法薬も青だった。



「それは強化魔法薬だよ」


「強化魔法薬?」


「ああ、私が作った魔法薬でね、一時的に身体能力を大幅に向上させる薬だよ」


「どうして、これを?」


「なんだい、レオン。未来を見たんじゃなかったのかい?」


「そのはずなんですが、この未来は一度も見てないです」


「そうなのかい、まあ、まだ子供だし、魔力が足りなかったんじゃないかい?」


「かもしれないです。で、これでどれくらい強くなりますか?」


「どれくらいって言うと少し説明が面倒なんだよ。」


「?」


「それはね体に強い衝撃が走った時に反応して体を強化するものだから防御専用なのさ」


「ああ、そういうことか。でもどうして、この未来が見えなかったんだろう」


「どういうことだい?」


「僕は未来ではオラクル・オーガの攻撃を凌いでいたんですが、どうやって凌いでいたのかが謎でして」


「そういうことかい」


「はい、あとは...そうだ。普通の魔法薬ももらえますか?」



 パレス先生から魔法薬をもらう。大まかな準備はこれで整ったと言えた。そして、ぼくは家に帰るときパレス先生が最後に声をかけてきた。



「本当に一人で大丈夫なのかい?」


「はい。むしろパレス先生には父さんたちの援護に行ってもらわないと困ります。ただし、援護するとは言わずに」


「わかったよ。死ぬんじゃないよ。レオン・マルク」







 ぼくは黒い煙の中からの攻撃を防いでいるが、決して攻勢に転じようとはしなかった。攻勢に転じるのはゼストがしびれを切らしたときと決まっている。



「ここまで、我の刃を防がれてはどうしようもないか」



 そんなゼストの声がすると、先程まで続いていた連撃が止む。



(来る)



 ここで失敗すれば必ず死に直結する1つ目のターニングポイントが僕に迫る。








「なかなか動きませんな」


「ええ」



 ドナーとウルフリックは目の前にいる鬼神化しているレベルのオーラを持ったシュテンを警戒しながら話す。シュテンは目を瞑ったまま一向に動く気配も話す気配もない、今まで戦ったシュテンであれば大声でキレていてもおかしくない状況であるがその顔は全くの冷静そのものであった。



「動かないのなら、こちらから行きますか」


(だめ)



 ドナーが先手を仕掛けに行こうとすると精霊が止める。



(あれ、おかしいよ。魔物なの本当に?)


「どういう」



 ドナーが精霊に理由を聞こうとしたとき、シュテンが動き始める。はじめはゆっくりと動いていたのだが、瞬時にしてウルフリックの目の前に移動する。あまりのシュテンの速度の変化にウルフリックの反応が遅れる。



「なっ!」



 急いで剣を構えるが少し遅くシュテンの刃が風魔の鎧に当たる。その瞬間突風が巻き起こる。その風の勢いは近くに生えた立派に気すら揺れ動かすほどであったが、シュテンは微動だにせず次の刃を振るう。


 ウルフリックはすぐさま距離をとって交わす。ドナーもウルフリックの横に移動し身構える。



「魔力は大丈夫か?」


「いまので一気に持っていかれてしまいました」



 風磨の鎧は自身の移動速度を大幅に向上させる他にも斬りつけられたときに、その威力に応じて突風を発動させて相手を吹き飛ばす効果もあったが、同時に魔力の消費が激しい為、基本的には移動をメインとした使い方をされている。



「先ほどとは別の魔物と考えたほうが良さそうだな」


「ですな。まるでレベルが違う」


「精霊も驚いていますよ。あれに」


「精霊がですか」



 精霊とは魔物の用に魔素でできた生き物で無限の魔力を持つとされる。この世界のどこにでもいて、常に人々を見守っているとされる存在であり、また、神がこの世界から離れる際に人類のために作った生き物だとも言われている。なぜなら、ときより精霊は人と契約し人を助ける存在であるからである。

 

 そして、そんな魔力の塊であり、魔物と似たような存在である精霊が驚く存在がドナーとウルフリックの目の前にいた。



「あれは第一等級の戦慄といったとこですかな」



 ウルフリックがドナーに確認を取る。この世界で第一等級は最高の位置づけをされているが、こと魔物においては上位の冒険者達でさらに分類分けがなされている。。第一等級冒険者一人で戦い勝つことのできる魔物を勇気。第一等級冒険者のみパーティで倒すことのできる魔物を戦慄。そして、第一等級冒険者ですら勝てない存在を絶望。と分類していた。


 今回目の前の第一等級となっていると思われるシュテンの力量をウルフリックは第一等級冒険者複数人分の強さがあると見積もっていた。



「恐らくはそれほどあるだろう。昔倒した鬼神化したオラクル・オーガの時ですら精霊がこれほどざわついたことはなかった」


「これはまた、老梅に過酷な試練を神は与えてくださる」



 元第二等級冒険者ドナー・マルクと元第三等級冒険者ウルフリックの防衛戦最後の死闘が始まる。




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