小さな惑星
『あなたがお探しのモノはどの世界にも実在しません……』
コールドスリープから百年目の朝
目覚めた少女に誰かの書置きが諭した
まるで昼夜の日常を歪めて繋いだ
パノラマのジオラマ
ぎゅっと握って丸めてつくった
見た目にチープな小惑星
そんなものをつくって
壊してはつくっての繰り返し
少女はいつまで続けるの?
不確かで実らない理想
書置きの誰かは『手放せ』と言った
『いい加減、許せ』とも
突貫工事で出来映えもそこそこ
それでも次の小惑星に潜り込むと
少女は再び目を閉じる