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29話 連行、愛知県警 その1

うう・・・忙しい・・・。怠けとかじゃなくてマジで最近忙しいです・・・。勉強、講習、模試と、これからぐんぐん忙しくなり、週1日も満足に休めない・・・。怠け者の僕には辛いです。うう・・・高校入試ん時はそんなに忙しくなかったのに・・・(当たり前だ)

6月 23日 月曜日


いつの間にかとっくに日付も替わった深夜。僕と村上、野沢さんは愛知県警にいた。

大川内さんを追っていたはずがこんなところに連れていかれ、いささかブルーである。

しかし、それはさておき心配なことがある。

すなわち、大川内さんのことだ。彼女とあと1人はあの惨劇から忽然と姿を消している。逃げたのか、はたまた・・・。

「だから!」

バン!と机を叩く音が響く。

「なんであんな所にこんな遅い時間にいた!」

髭面の刑事が怒鳴った。

その大声に思わずビクンとなる。

うう、耳鳴り・・・。

「だからいってるじゃないか、喋ってほしけりゃカツ丼を出せい!」

意味不明な主張をしているのはもちろん野沢さん。

村上は村上で黙りこくっている。大川内さんが心配なのだろう。

「野沢さん、それはカツ丼さえ出れば何でも喋るってことですか?」

「おお!喋ってやるさ!ワンレイのスリーサイズから村上の初恋話までな!」

「ちょっと待った!その話は誰にも言ってないはず・・・」

「俺らの諜報網を甘くみるな。お前の同級生にちょっと金をくるめば・・・」

「あんたやること汚いなっ!」

「てめえらいい加減にしやがれっ!」

刑事が一喝する。

「それで、あの、大川内・・・被害者の人達と一緒にいた少女については・・・」

僕は気になっていたことを尋ねる。

「ああ、またその話か。一応この辺りで情報を募ったが女の子が保護されたような話は聞いてない。確かにその少女が実在すれば、重要な証人になるだろうがな・・・。どこまで信用できるか」

「俺らは嘘なんかついてねえっ!」

村上が食ってかかった。

「まーまー。やましいことがなけりゃただポケーッとしてりゃいいんだよ。下手に騒いでも警察怒らすだけ。短気は損気。さっき言ったろ?そんな時は、ただでカツ丼食えると思えばあら不思議!ちょっとお得きぶーん♪」

「・・・だからカツ丼なんか食わせる気はサラサラねえっつってんだろ話し聞いてたかお前」

「でもその女の子は心配だねえ。おい、刑事、頑張って捜査しろ!」

「・・・いい加減にしねえとぶっ殺すぞこらあぁぁ!」

キレた。

まったく、どっちが警察怒らせてんだ。

「ま、待った待った!落ち着け!ぐ・・・ぐるじぃ・・・」

胸ぐらを掴まれた野沢さんはブンブン振り回されている。

「ちょ、むらがみぃ・・・組長のぴんちだ、助けろぉ・・・」

「いえ、あんたさっきからうるさいです。あんたは気絶したくらいがちょうどいいかと」

「ぐえぇぇっ・・・だずげで・・・う゛」

死んだ。

ちょっとかわいそうな気もする。

「ふう、これで落ち着いて話ができますね」

「まったくだ。・・・時に、さっき組長がどうとか言ってたが」

「この伸びてるのが組長。俺は・・・まあ、下っぱです」

「へえ、お前もか。見た感じこいつよりは真面目に見えたが」

刑事が僕を見た。

「い、いやいや!僕は一般人!健全な高校生です」

「じゃあお前は暴力団とはなんの関係もない、と」

「ええ、僕は友達を誘拐され、彼らは大事な物を盗まれたこともあり、それに協力してくれたってわけです」

「大事な物?」

刑事は眉をひそめた。

「なんだいそれは」

「あ・・・っと」

僕はチラリと村上を見た。コンピュータウイルスですなんていっていいものなのだろうか。

「・・・」

村上も言葉に困ったようだ。

「なんだ。言えないようなものなのか」

「企業秘密というか・・・ねえ」

いや、僕に振られても困る。

「怪しいな。やっぱり・・・」

「我が社の新製品のデータが入ったディスクです」

扉の開く音と共に男が入ってきた。

「新製品?」

「ええ。ウチの、いわばシャバの仕事で」

「相木さん!」

「やあ、災難だったな、鳳くん」

「ええ、相木さんも・・・」

言いながら僕は一瞬あれっ?と感じた。

「助かりました相木さん。組長じゃあ会話が成立しないので、困ってたんですよ」

村上が安心した表情を見せる。

「あっ、と・・・相木さん」

「どうした」

「僕、名乗りましたっけ?」

相木さんはフッと笑みを見せた。

「いや、名乗ってない」

「じゃあなんで・・・」

「柴咲さんが君を知っていたんだよ。・・・正確には君のお父さんをね」

「父さんを?」

柴咲さんが・・・。

「もっとも、彼が高校生くらいの時らしいが。君にも会ったことはあるらしい」

「そうだったんですか・・・。柴咲さんも人が悪いな。言ってくれればいいのに」

「まあ、もしかしたら・・・って程度だったらしいしな」

「そうですか・・・」

言いながら僕は辺りを見回した。

「あ!そうだ!その柴咲さんはどうなったんですか?」

「ああ。何やら今回のいざこざとは全く別の件で任意同行を受けたらしい」

「別の件?」

「ああ。詳しくはよく分からないが」

何にしても、柴咲さんが警察にとっ捕まったのは事実のようだった。

うう。なんでこう面倒な事態に・・・。

横では野沢さんが白目を剥いて寝ている。

僕はため息をついた。

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