28話 血染めの車 その2
本当は昨日電車の中で投稿しようと思ったのですが、友達が隣に座り込んで来たのでやめて、エンゼルプランの話をしてました。気持ち悪い学生(笑)。エンゼルプランとは子育てを支援する福祉についての条約で、確か1994年だかに発表されました。しかしこのエンゼルプランのネーミングセンスの悪いこと。エンゼルプランの改定版として新エンゼルプラン。ここまではいい。その更に改定版。新新エンゼルプラン。・・・新新?もうそろそろまた改定の時期が来てるらしいですが、そうしたら新新新エンゼルプラン?・・・政府の不真面目さが伺えます。はい。
「よー、しばらくだな村下くん」
ヘリに乗り込むとすぐに声が出迎えた。
運転席に男、助手席に女。女は音楽を聞いてるようでリズミカルに体を揺らしている。
「違うヨ野沢。彼は村中だよ」
「村上です。わざと間違えてないスか?」
「あー、それはそうと・・・」
ヘリの運転席に座った男性が僕を見た。
「君は?」
「鳳です。鳳敦司。・・・連れ去られた女の子の知り合いです」
到着したらまず急上昇への苦情を言おうと思ったがなんとなくタイミングを逃してしまった。
僕は不機嫌に言った。
「ハハァ、コレか」
ニヤリと男性が小指を立てる。
村上もブンとこっちを見た。なぜ?
「め、滅相もない。知り合ったの今日ですし」
僕は視線にしどろもどろになりながら釈明した。
男性が変なものを見るような目で僕を見る。
「はあ。今日知り合った女の子を追ってヘリに乗るたあ君も酔狂だな」
「失礼な」
あの状況じゃ見捨てる方がどうかしてるだろう。
「いやいや・・・誉めてるのさ。そういうの、いいと思うぜ」
男性は1人面白そうに笑った。
変な人だ。
「俺が野沢だよ。よろしくね」
人懐こそうな笑みを浮かべる。
この人が組長ねえ。
と、ヘリの助手席から頭が出た。
「ハーイ!ラリホッ!」
「・・・」
なんか変な人いる。
「・・・」
「ラリホッ!」
怒ってる。
怒って僕を睨み付けている。
「ラリホッ!」
「あの・・・」
「ラリホッ!」
「・・・」
「ラリホッ!」
「ら・・・らりほ」
「ラリホッ!」
笑顔になる。
なんだこの人。
僕の無言の訴えを感じたのか、野沢さんが彼女を紹介する。
「ワンレイ。中国人だ」
「それだけ!?」
「他になんて言う」
野沢さんは心底不思議そうに言った。
「この意味不明な挨拶とかについて!」
「ああ、これは彼女のマイブームだ。心配ない。適当に返しとけば噛まないから」
・・・返さなかったら噛みつくのか。
「・・・ワンレイさん前会った時こんな挨拶してましせんでしたけど」
村上の疑問。
「ん〜、まあ俺が日本語でHelloはラリホっていうのが今の流行りだって吹き込んだんだけどさ」
あんたが犯人か。
村上と僕の白い目が野沢さんを見据えた。
「・・・ゴホン。じゃあいっちょ行きますか!発進!」
誤魔化した。
ヘリが速度を上げる。
「車はこっちに逃げたんだよなぁ」
村上が指を指した。僕は頷く。
「こっちか。よーしワンレイ隊員!サーチライト点灯!」
「ラジャー!」
夜の街が明々と照らされる。
「え?いやこんな深夜の街中で・・・」
「細かいことはドントマインド!略してドンマイだ!」
「・・・」
やっぱ変な人だ。
僕のヤクザに対するイメージ。いわゆるゴッドファーザー的なイメージが音を立てて崩れ去っていく。
村上が口を開いた。
「でも野沢さん、なんで俺らの動き分かってたんですか?」
そういえば。
いくらご都合主義な小説とはいえタイミングが良すぎるとは思った。
「ワハハ、柴咲の車には俺が薦めたアロマがある。ありゃもれなく盗聴機入りだ!」
「ひ、ひどいッスね。プライバシーもへったくれもない」
「ハッ!馬鹿だな君は」
村上を野沢さんが鼻で笑う。
「あなたにゃ言われたくない」
組長にぬけぬけという村上もすごい。いや組長の威厳がないのか。
「柴咲だってそれくらい気付いてるさ。あの場合、俺に状況を分からせた方が得策だって考えたに過ぎない。助手席に女を乗せる時にはしっかり車のアロマは変えてるだろう」
「ひゃあ。こいつはお見逸れしましたね」
村上は両手を挙げる。
「ふふ。野沢組に入るにはまだまだ修行が足りんなぁ」
「へぇへぇ。努力しますよ」
「隊長!」
「どうした!ワンレイ副隊長!」
ん?昇進した。
「車発見!黒い高級車ダよ!」
「ん〜、どう?」
野沢さんが僕に聞く。
僕は窓から外を見た。
黒い高級車。型も同じようだ。しかし・・・。
「違いますね。奴らの車、窓割れてますよ」
「窓が?なんで。アレか?ファッションか?最近の流行りか?」
「・・・」
この人どこまで本気だ?
「僕が割ったんです」
「窓を?なんで。アレか?ファッションか?最近の流行りか?」
「すいません、一発おもいっきり殴っていいですか?」
ったく。この人が柴咲さんや相木さんのトップとは。とても信じられない。
「あ!見つけた!」
ワンレイ副隊長が叫んだ。下を見ると、確かに窓の派手に壊れた歪みまくった車。
目立たないように隅に寄せられて停まっている。
「あれです」
「・・・でも車が一台近くに停まってるな」
村上が首を傾げる。
「仲間だな仲間。よっし!ステルスアタックだ!まとめてぶっ潰せ!」
「なっ!」
僕は思わず絶句した。
野沢さんは飛行中のヘリのドアを開け放った。
「うっ!」
強い風。
ま、またコンタクトがずれる。
「じゃ、運転任せた!」
ワンレイさんにそう言い放つと、ヘリからロープを垂らし、スルスルと落ちていく。
なんだあの人。特殊部隊か?
「さ、続くヨお前ラ」
「あ、はい・・・って、えぇ!?」
続くってあの人に?
いや、無理。ムリムリムリ。
「ほら、さっさと行きナヨ」
運転席に移ったワンレイさんが急かす。
「ちょ、いやぁ・・・。村上!行けえ!」
「俺!?」
村上が焦る。
「だってお前さっきアレじゃん。自分が彼女たちを巻き込みました。自分が助けます!ってなんかかっこいいこと言ってただろ」
「う・・・俺そんなこと言った?」
「言った」
「言ったヨ」
「いやいやあんたはわかんねえだろワンレイさん」
「ノリだ」
「・・・」
「・・・さ、観念して行ってみようか、村上くん」
「待て。待て待て。俺は降りるよ。だがお前も降りろよ?」
「いいから行けって」
ドン。
僕が押そうとした時、横から手が伸びて村上を突き飛ばした。
「あ」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・!」
村上は急降下しながらなんとかロープにしがみついた。
「こ、殺す気かぁ!」
「いやいやいや!僕じゃないって!」
「ワンレイさんッ!」
「ほらあんたも行きナよ。それとも押してヤロウか?」
ちょっと待て。んなことされたら死ぬ。まず死ぬ。
「分かったよ行きますよ行きゃあいいんでしょ!」
ええい!もうなんとでもなれ。
僕はロープを握りしめ、ゆっくり降りて・・・
ゆっくり・・・
ゆっくり・・・・・・
ドン。
「どわあぁぁぁぁぁぁ・・・!」
悲鳴が夜の街に響き渡った。
前書きで長々と気持ち悪い話してすみませんでした。現代社会のテストで撃沈して、かっとなってやった。今は後悔している。