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28話 血染めの車 その1

今回の28話でちょっとグロテスクというかなんというかそんな表現が出てきます。苦手な人はご注意を。僕自身あまりそういうのは得意ではないので、表現も下手くそですし、もうあまり出したくはないなあとは思うものの、殺人では多かれ少なかれそういった要素は出てきてしまうのでどうなるかはわかりません。警告出さなきゃ駄目かなあ。問題のシーンの投稿の時には警告出しておきたいと思います。(でもその後何にもグロいの出なかったらなんか間抜けだなあ)

「誰・・・ですか?」

お巡りさんが慎重に尋ねた。

他の面々も緊張した面持ちだ。

金髪なんてあんぐり口を開けている。

そりゃそうだ。彼は一般的にいうコワモテである。

僕は苦笑した。

「「柴咲さん」」

僕はハモった相手を見た。金髪だった。こいつ、柴咲さんの知り合いなのか?舎弟とか?

「お、お前、柴咲さん知ってんのか」

「あ、まあね。そっちは?」

「あ?お前にゃ関係ないだろ」

「おいおい、村上。相変わらず口が悪いな」

「柴咲さんには言われたくないですよ」

「なんだとコラ」

「いい痛い痛い!」

柴咲さんは金髪のほっぺたをつねる。

「・・・あれ?眼鏡の人は」

「――相木という。よろしく」

スッと眼鏡が現れた。

「あ。相木・・・さん?返します、コレ」

僕は右手の拳銃を差し出した。

受け渡すと、一気に手が軽くなったような気さえする。

「・・・弾が減ってる。撃ったのか?」

「ええ・・・っていっても」

僕は苦笑して穴の空いた標識を指した。

相木さんの口元も緩む。

「良かったよ。そんな歳で人を撃ったりしなくて。・・・柴咲さんにも言われたがね。やはり君のような少年に拳銃を渡すなんてどうかしていた。例え、それがその時の最善の策だったとしてもね」

「相木・・・」

「済まなかったな柴咲さん。少々冷静さを欠いたようだ」

柴咲さんはニヤリと笑ってみせた。

「構わねーよ、別に」

「それで、彼女が君が探してた?」

「あ。はい。従妹の早紀です」

早紀はペコリと頭を下げた。

「早紀は助けられたんですがね・・・」

僕はいきさつを柴咲さんに話した。

「その変な笑い、おそらく岡崎だな。クソッ!」

「や、奴が岡崎だったんスか!野郎、いちいち邪魔しやがって!」

村上が憤慨した。

「あ、こいつはどうする?」

西岡が早紀の金躑(きんてき)蹴りでお陀仏した須川を指した。

「ああ、誘拐・銃刀法違反の現行犯だからな。俺がしょっぴくよ」

バラバラバラバラ・・・


「早く行こうぜ。奴ら逃げちまう」

村上の言葉に全員が頷く。


バラバラバラバラ・・・


「・・で、あれは何?」

早紀が指した空には、一機のヘリコプターが盛大に音を立て、飛んでいた。

「・・・さあ」

「ハァーハッハッハァ!君ら、乗ってけぇ!」

夜空に声が響く。

と同時に縄ばしごがスルスルと落ちてきた。

相木さんが頭を抱え、柴咲さんはひきつった笑みをこぼす。

「誰ですかアレ」

「知らん。私は知らん」

相木さんが頭を抑えたままそっぽを向く。

「早くしろぉ!逃げられてもいいのかぁ!?」

「俗に言う組長だ」

柴咲さんが言った。

「く・・・組長?あれが?」

「あ!でもこのヘリ4人乗りだから2人までな!乗るの!」

「いつもはめんどくさがり屋のバカ。一旦火が付くと暴走して止まらないバカになる・・・まあそれでも野沢組をここまで大きくしたのも、野沢組で一番強いのも彼なんだが」

「さあ!どーんとこぉーい!」

「って言ってますが」

「・・・確かにヘリ追跡は警察でもやってる手段だが・・・よし、乗りたい奴。手え上げろ」

柴咲さんの言葉に僕は手を挙げた。

「よし。あとは?」

「柴咲さん。俺も行きます。自分が彼女らを巻き込みました。自分が助けます!」

「よし。鳳くんと村上だな。あとは俺の車で・・」

「ちょっといいスか。柴咲さんですよね?あなたは残ってもらえます?」

警官・・・神流さんが遮った。

「ん?ああ・・・。なら相木。お前運転しろ」

「ム・・・分かった。久しくペーパードライバーだったんだがな」

「ええっ。ちょっと。俺こんなとこで死ぬの嫌ですよ」

西岡が顔をひきつらせた。相木さんが西岡を見る。

「心配するな。事故になってもエアバッグがお前を守ってくれる」

「・・・」

そういう問題ではない。

「あの、やっぱ俺もそっちに・・・」

「おーい!はやっく来ないと行っちゃ〜うよ〜♪」

頭上から変な歌が降り注ぐ。

焼きいも屋か。

行ってもらっちゃ困る。急がないと。

「待って!俺と代わって!」

神流さん、何するつもりだろう。

泣きすがる西岡はスルーし、首を傾げながら僕は縄ばしごに足をかけた。

そして。何を血迷ったかヘリは急上昇を始めた。

宙に足が浮いた瞬間、その疑問は先に上っていた村上と僕の悲鳴とともに夜空へきえていったのだった。

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