表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/46

25話 ジョーカー争奪戦その6

携帯替わったので執筆ペースが落ちてます。変換しようと思ってもできなかったり・・・。慣れるにはまだ時間が かかりそうです(;^_^A

西岡は走っていた。

聡美にお土産であげようとご当地キティちゃんを漁っていたのが15分前。

すぐに敦司に電話を入れたあと自身も目的地に向かっていたのだ。

しっかし敦司のやつ、やたら喧嘩腰だったなぁ。

走りながら首をひねる。

問題のショッピングモールが見えてきた。

「・・・ん?」

正面の方に見るからに俺ヤンキーです的な金髪の男が走ってきた。

男はキョロキョロ辺りを見回したが、やがて裏路地へ入っていった。

怪しい。

西岡は男をつけて、路地へ入っていった。






路地裏に入った村上は1人佇むミドリの姿を見つけた。

1人。須川からよく逃げられたなと思いつつ、村上は声をかけた。

「ふぅ・・・大丈夫だったか?」

「あ・・・うん。でも、あなたは?」

「ハッ!楽勝楽勝!ノシて来たよ。・・・で、ディスクは?」

「俺が持ってるよ」

いきなり現れた男に村上は身構えた。

「あんたは?」

「俺?俺若葉。若葉慶太。よろしくね」

「お前・・・蓮武会か」

「まあね。・・・おっと、慌てんなよ」

若葉は村上のパンチをスイとかわし、楽しそうに笑った。

「人の話は最後まで聞くもんだ。いいか?俺はな、取引してんだ。このディスクを渡さないともう1人の女の子の命はねえんだ」

「・・・」

村上は辺りを見回した。

そういえばもう1人の女の子はどこにもいない。ただ単純に須川から逃げてきた訳ではなさそうだ。

村上は若葉を一瞥した。

「俺は野沢組だ。女の子なんざどうでもいい。ただお前からディスクを奪うだけだ」

「ハハハ」

「・・・何がおかしい」

「俺だって野沢組の組風くらい知ってるさ。お前、おれからディスク奪って、その結果女の子死んだらお前どうなる?なぁ。何より義理を重んじる野沢のルーキーさんよ」

村上は苦い顔になる。

――もっとも、野沢組のルーキーと言われたことに悪い気はしなかったが。

はぁ、と息をはく。

これで盃もお預けか。

「・・・分かったよ。ディスクはいい。あの女の子は俺が巻き込んだようなもんだからな・・・」

笑みを浮かべた若葉を村上はキッと睨む。

「ただし、ちゃんと彼女が帰ってくるか見届けさせてもらう。蓮武会は信用できねえからな」

若葉は苦笑した。

「構わないよ。ただ、隠れてることだ。君がいると話がややこしくなる。あと――」

若葉はチラリと村上の後ろを見た。

「その後ろのは、お仲間かい?」

「え」

「西岡くんっ!」

碧が声を上げた。

まさか気付かれてはいないだろうと思っていた西岡は焦ったが、結局素直に出ていくことにした。

「なるほど、彼女のお仲間ってワケね」

「あんた、今の話は本当だろうな」

「嘘はつかない」

若葉はニンマリして西岡たち3人に下がっているよう命じた。

エンジン音とともに車がやってくる。

しかし、その車から降りた人物を見て、若葉の笑みは凍りついた。

「な・・・貝塚さん?」

降りてきたのは誰あろう、若葉たちにディスクを探せと命じた張本人、関東蓮武会東海支部長の貝塚その人だった。

サッと後ろにはワン(王)が控える。

「おお、ディスクは見つかったようだな。ご苦労だった」

貝塚は若葉の手にあるディスクを見て言った。

「ち、違うんです、これは・・・」

「違う?何が違うんだ」

なんてことだ。なんで貝塚さんが直々に?

若葉にもはやいつもの余裕の笑みはなかった。

貝塚が自ら現場に来る。それからしてすでに計算が狂っている。

「これを見つけたのは・・・その、須川さん、で」

「意味がわからない。じゃあ須川はどこにいるんだ?」

「それは・・・」


ブロロロロッ


最悪のタイミングだった。車がもう1台走ってくる。若葉は思わず目を覆った。須川だった。

「や、やっぱりてめえ騙しやがったなっ!」

助手席から顔を出した須川がわめき散らした。

「ち、違う!これは・・・」

「うるせえっ!とうとう本性を現しやがったわけか、アァ?」

「誤解だ!これは――」

「何をわめいている。早く降りてこないか、須川」

貝塚が須川を睨み付けた。須川はすくむ。

チクショウ、全てはこいつのせいなのに・・・!

須川の中でプツリと何かが切れた。

「貝塚さん・・・こんな奴に騙されてはいけませんっ!」

須川が何かを取り出した。その瞬間。

乾いた破裂音の後、体を捻るように若葉が倒れた。

車はそのまま走り去る。

「なっ・・・」

一瞬の沈黙の後、動いたのはワンだった。

拳銃を懐から取り出し車のタイヤを撃ち抜こうとする。

しかし引き金を引く前に、車はものすごいスピードで交差点を曲がっていった。タイヤの擦れる音が響いた。

ワンは貝塚に深々と頭を下げた。

「・・・申し訳ありません。仕留められませんでした」

「フン、気にすることはない。奴は我々を裏切った。それだけだ」

貝塚はそう言い捨て、若葉の方を見た。

「大丈夫か。・・・ワン、車を手配しろ。病院へ向かえ。この車には俺が乗って奴を追いかける」

「グ・・・ッ」

咄嗟に体を捻って急所から弾を外した若葉だったが、肩からは血を流している。しかし、その顔にはいつもの笑みが浮かんでいた。

「貝塚さん、大丈夫ですよ俺は。・・・これは誤解なんです。考えてもみてください。あの須川さんが、どうして組を裏切るんですか?理由がないでしょう」

「・・・」

「ウッ・・・ク・・・。こ、これは、誤解から生じたものです。この一件、俺がまとめてみせます。・・・俺に任せて、くれませんか・・・」

若葉は痛みを堪えながらも貝塚を見据えた。

「・・・ダメだ」

「貝塚さんっ!」

「これは命令だ。お前は病院へ行け。ワン、若葉を連れていけ」

「了解しました」

「・・・はい」

命令と言われれば、若葉は何も言えなかった。

曲がり角からヘッドライトが見えた。

手配した車が到着する。

ワンは若葉の前に回り、ドアを開けた。

下を向いて、車に乗り込む。

車のステップに足をかけた時、貝塚は口を開いた。

「・・・須川は生かして連れて戻す。一緒の子供は逃がす。それでいいんだな?」

「は、はいっ」

若葉の顔がパッと明るくなった。



若葉が深々と頭を下げるのを後ろに、貝塚は考えていた。

面倒なことになった。

ディスクは手に入ったが・・・。

車に乗り込もうとするワンを呼び止める。

「なんでしょう」

貝塚はディスクを手渡した。

「渡しておく」

それだけで通じたのか、ワンは一礼し、車に乗り込んだ。

それを見届け、貝塚は携帯を開いた。

「俺だ。ディスクは手に入った。手筈通り、進めろ。いいな」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ