24話 病院探索!27歳の少女と自称死神-1
予告通り区切ってみました。区切るのが難しくてちょっと中途半端で切れてる部分等ありますがご容赦ください
一面に綺麗な水面が広がっている。
大きい湖だろうか。海みたいだ。
湖の近くには車が止まってる。
「ほら、白鳥さんだよ」
誰だ?あんたは誰なんだ?
「眠くなったらあの小屋で休んでていいからね」
誰だ?誰だってんだ?
僕は叫ぶ。
しかし、夢の中のぼくは笑顔でうなずくと手に持ったパンを白鳥にあげようと湖に近づいた。
きれいな青くそまった湖。白鳥は投げられたパンを優雅にくわえた。
――え?
その美しい光景に似合わないもの。
立っている岸のちょうど真下辺りにゴミが浮かんでいる。
ゴミ・・・。
ゴミ・・・?
いや、ゴミじゃない。
僕は分かっていた。あのゴミがゴミでないことに。最初から、分かっていた。
あれは。
あれは・・・。
「危ないよ、そんな所に立ってちゃ。落ちたらどうするんだい?」
誰だ。お前は誰だ!
誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ誰だぁっ!
湖に浮かぶもの。
あれは・・・顔だった。
苦しみに歪む人間の顔。
死体。あれは紛れもない死体。
なんだ、なんだってんだ。僕はあの死体を、知っている・・・?
男が迫る。
「見たのかい?」
今までの優しい声が嘘のように冷たくなる。
いや、実際あの声は嘘なのだ。
「見たんだね?」
僕は泣きながら首をふる。だが、それは男の顔を笑みで醜く歪ませるものに過ぎなかった。
「嘘はいけないなぁ」
男はゆっくり近づいてくる。
「嘘つきにはお仕置きしないとね・・・」
誰だ!
僕はなおも叫ぶ。
夢の中のぼくは恐怖で動けない。
「た、助けてぇ・・・」
「いいね。もっと命乞いしなよ」
こいつ・・・!
「やめろ!」
誰かの声が響き渡った。
ガバッ!
跳ね起きた。
目の前には驚いた早紀の顔。
「・・・びっくりした」
「あ〜、ゴメン」
頭がぼんやりしている。あの夢のせいだろうか。
・・・ん?ていうか。
「つかお前のせいだろ。僕が寝込んだの」
早紀は呆れたようにため息をつく。
「あっちーが勝手に落ちたんでしょ?」
「ぐ・・・」
そうとも言えるかもしれないかもしれない。
「あ、でもありがとな」
「何が?」
「何って、看ててくれたんだろ?僕を」
「ん・・・いや、違う・・・ププッ」
?
いきなり笑い出す早紀。
「なんか申し訳なくなってきちゃった。ごめんね。あっちー」
よく分からないやつ。
「ところで西岡と大川内さんは?」
「ああ、あの2人は2階であっちーの生い立ちの記の手伝いっていってアルバム漁ってるよ」
「ぬぁんだってぇ!?」
僕は脱兎の如く飛び出した。
「あ!あっちー待って!鏡、鏡」
鏡がどうしたぁ!
幼少期の写真を他人に見られるわけには・・・。
全力で階段をかけあがり、ドアを開け放つ。
「見たかっ!?」
そこにはせんべいを食べている西岡と大川内さん。
目が点になっている。
アルバムは・・・開かれてる。間に合わなかった。
てかこの2人なんでこんなに驚いてんだ?
見ると、西岡の顔がみるみる笑い顔になっていく。
「・・・ブッ!肉!肉ってお前・・・」
「は?」
何が肉だ。
「あ、ああ敦司君?なに?そ、その額の・・・ふ、ふふ、あははははっ!」
大川内さんも笑い出す。
あの。
西岡がポン、と肩に手を置く。
「鏡見てこい」
鏡?あ、そういえば早紀も鏡がどうとか・・・。
僕は洗面所へ向かった。
・
・
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「さぁきぃぃぃっ!」
怒り心頭な僕は、文句を言おうと早紀を探していた。が。いない。リビングにも。キッチンにも。どこにも。
となると、残るは早紀の部屋か。
「早紀ぃ!いるかぁ!」
僕はドアをドンドンと叩く。
「ちょ、ちょっと待って・・・」
いた。
僕はニヤリと笑った。
「問答無用!」
ドアを開け放つ。
「御用あらためであーる!・・・あ」
「・・・」
お着替えの真っ最中?
早紀は下着姿で背中を向けて・・・。
「・・・」
早紀の背中の傷痕に目が止まった。
忌まわしい傷痕。
以前よりは大分薄くなってきてはいたが、それでも女の子には重い傷痕。
何よりも、早紀の心にはもっと深い傷痕が残っているだろう。
そう。それは僕が小学6年生だったとき・・・。
「こんの・・・」
ハッ。
回想に浸ってる場合じゃないことに気が付く。
「ごめんなさいっ!」
慌てて部屋から逃げ出す。そして、鬼を交代しての鬼ごっこは、30分近く続いたのだった。