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電子音が遠くから聞こえる。

駄目、まだ覚めないで。せっかく、せっかくいい夢を見てるのに。

それに、男の子が何か伝えようとしてるの。はっきりとは聞き取れない。でも……。

『サー………、う……って。ぼ………らの…リス…………ン…だ』

あなたは……、誰……?

「………シャ、サーシャ!早く起きなさい!!友達来てるわよ!!」

何だろう。何か大事な夢を見ていた気がするのに、何も覚えていない。

そう、男の子。男の子が出てきて。それで……、それで……?何かを伝えようと……。

「サーシャ!何時まで寝てるの!?」

「ママうるさい……。せっかく夢を思い出そうとしてたのに……」

「何が夢よ。友達来てるわよ。約束してたんじゃないの?」

「そうだった!」

今日はあの子と約束してるのに、寝坊なんかしたらまたからかわれる。って、家にあいつが来てる時点でもうアウトか。

あー……、あんて事だ……。早く支度済ませなくちゃ……。

「ほら、サーシャ早く」

「わかってるって」

「はい、朝ご飯の代わりの林檎。好きでしょ?」

「うん、ありがとう」

あれ?なんか今日の林檎、いつもと味が違う……?気のせいかな。

鞄持ったし、服オッケー。髪型もオッケー、よし。

「いってきますっ」

「いってらっしゃい」

慌てて外に行くと、不機嫌な顔のあいつが立ってた。

不機嫌になる位なら、迎えに来なくてもいいのに。

「遅い」

「別に待っててくれなくても良かったのに」

「迎えに来なかったらいつまでもグースカ寝てるだろ?」

「ひっどーい!それが彼女に対する言葉!?ロレオの馬鹿!!」

「はいはい。ほらいくぞ」

「待ってよー!」

ロレオが先に行くから私も慌てて後を追おうとした。その時、どこからか声がした。聞いた事のある。そう、夢に出てきた男の子の声……。

『サーシャ』

どうして私の名前を知ってるの?あなたは誰なの?

振り返ったところで誰もいない事はわかってる。でも気になって振り返った。するとそこには、小さな男の子が立っていた。

その瞬間何もかもを思い出した。夢で彼が話していた事も、“その前”の事も。

夢でアイは、『サーシャ、受け取って。ぼくからのクリスマスプレゼントだ』と言った。

プレゼントという割には、何かがあったわけではない。変わってもいない。ただ、林檎の味だけは変わっていた。あの林檎は記憶をもとに戻すための林檎?

「アイ……、ありがとう……」

「ん?サーシャ、どうした?」

「ううん、何でもない」

「ちょっ、なんでお前泣いてんのっ?」

「え……?あ…、ちょっと目にゴミが入っちゃって」

「気をつけろよ?」

「うん」

気をつける。今度こそ、この幸せがなくならない様に。せっかく、ロレオ様に会えたんですから。

ロレオ様が私を覚えていなくても、私は覚えています。いえ、思い出しました。あの時のあなたの可愛らしい泣き顔も全て。

これ以上の幸せはもうないでしょう。私はやっと手に入れたんです。だから、私のためにもアイのためにも守ってみせます。

アイが最後に言った言葉は、叶いましたよ。本当に……。




『サーシャに、幸せな未来が訪れますように。ぼく、ずっと、願ってる』




本当に、ありがとう。


これで終わりです!

初めて物語を完結させることができました。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

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