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「あれ?此処、何処……?っ!声が…っ」

その場所に来た時、何が何だか分からなくなりました。そこは見覚えのない、木が沢山ある場所。確かロレオ様が沢山木がある場所の事を森と言っていた気がする。

「でも私…、処分された筈じゃ……」

何が起こったのか全く分かりません。どうしてこんな場所にいるのでしょう。もしかしたら身体を森に棄てられた後、息を吹き返したのでしょうか。でもあの時の苦しさも痛みもない。では何故……?

考えました。でも何も分かりません。その時突然、覚えのある香りがしました。甘い蜜の様な香りです。私はその香りを辿って歩きました。服装が白いドレスの儘なので、少し歩きづらかったのですが何とか辿り着きました。そこにあったのは……。

「林檎の…木?」

「あっ」

林檎の実が沢山実っていました。手を伸ばして触れようとすると、「だめっ」という声がしました。何処かで聞いた事のある声でした。

「え……?」

その声の方向に向くと同時に、林檎が落ちて潰れてしまいました。林檎の中身は薄黄色の筈なのに、潰れた林檎は果汁も果実も総て真っ赤でした。そう、分かりやすく言えば、ラズベリーが潰れた様な感じです。外が真っ赤なのは普通だと思うのですが、中も真っ赤なのは初めて見ました。

「あー…、潰れちゃった……」

「ご、ごめんなさっ…て、あ、アイ…?」

目の前にいたのは、十の時の姿で止まっているアイでした。黒い髪に大きな瞳。記憶にあるアイその物です。

私が吃驚して固まっていると、アイは私の顔を見て「あ、久しぶり。きれいになったね」と微笑んだ。

「ど、どうして…?アイ、何で、あの時の儘……」

「え、だって…。うーん、どうしてだろう?」

アイからは、答えになっていない返事を貰いました。本当に困っている様な、答えを知らない様な。そんな感じがしました。やがて、一つ思い出した様に「でも、あの扉開かなかったんだ」と言いました。

何の関係があるのかと思いましたが、一つ思い当たる事がありました。それは、六年前にアイが連れて行かれた重い扉の向こう。アイが言っている扉とは、あの事でしょうか。開かないという事は、それ程重たかったのか。それとも、開ける程の力がもう……。

「ぼくね、サーシャがいなくなってさみしくて、ずっと泣いてたんだ。あの暗いへやで。食べ物とかもあまりもらえなかったんだ。ずっとおなかすいてて、サーシャと一緒に林檎食べたいなぁって思ってたの。そしたらいつの間にか此処にいて、サーシャみたいに林檎の匂いにつられて、歩いて来ちゃったんだ。そしたら、美味しそうな林檎があって、いつかまたサーシャと食べたいなぁと思って、今まで育ててたの。なんか、普通の林檎じゃないやつができちゃったんだけど……」

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