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この小説の書き方は、苦手な方がいらっしゃるかもしれません。

昔。もう、何時だったかはっきり覚えていませんが、私は鳥籠の中にいました。



私、サーシャ・フォルナルドは、とても寒い国に生まれました。

冬になればマイナス、――何度かはわかりませんが、濡れた布が一瞬で凍る位の寒さにはなりました。

そんな寒い国で貧しい家に生まれた私は、親の都合で売られる事になりました。

あの頃は、確か六つ位だったと思います。食べる物が無く、明日生きる為の物さえないという状況の中、母達は私を高値で売ったそうです。

私が連れて行かれた場所には、同じ位の歳の子がいました。男の子も女の子も、皆暗い顔をしていて見ているだけで心が痛くなりました。

私はしばらくその場にいたのですが、一人話しかけてくる男の子がいたんです。

「おなまえはなに?」

私と同じ、六つの男の子でした。黒い髪の目が大きな男の子。

「サーシャ……。サーシャ・フォルナルドっていうの。あなたは?」

「ぼく?ぼくは……」

うーん、どうしよう?と言いながら彼は首を傾げていました。何かを悩むようでもあり、何かに怯えているようでもありました。

「えっとね、すきななまえでよんで?」

「どうして?」

「ぼくね?なまえ、ないから」

名前がないという男の子は、そう言ってにっこり笑っていました。

だから私は彼の事を“アシュレイ”と呼びました。愛称として彼をアイと呼びながら。

アイはよく何処からか赤い実の果物を持ってきました。

『林檎』という名前なんだとアイから教わり、その味もアイに教わりました。

とても美味しいその果実をアイと分けて食べるのが好きでした。

でもそんなある日、私達が十になった時、私は裕福な家の方に買われる事になりました。アイが泣いて、離れたくないと言い、私もまた泣いてアイのそばから離れませんでした。

それに見兼ねた業者は、アイをどこかに連れて行き、私から遠ざけました。

アイが連れて行かれた重たい扉の向こうでは、悲鳴が聞こえた…気がしました。

アイがあの後どうなったかは、わかりません。誰も教えてくれませんでした。ただ一言、高くなりそうだったのになと呟くだけ。

あの時の私には意味がわかりませんでしたが、アイは何処かに行ってしまったという事はわかりました。何処かという具体的な事はわかりませんでしたが。

それから直ぐに私は大きな家に連れて行かれました。見た事もないような大きな家です。そこで身体を綺麗にされ、高そうな洋服を着せられました。

そして連れて行かれた部屋の中には、大きな鳥籠がありました。カーテンしかない部屋にある鳥籠は、何か異様な存在感を持っていました。

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