冒険者の宿
ノーラさんにお勧めされた冒険者の宿はすぐに見つかった。
「すんません、泊めてほしいんですけど」
宿に入り、そういうとカウンターにいたおばちゃんが対応してくれた。
「あいよ、ギルドカードをだしな」
俺はさっき受け取ったばかりのギルドカードを差し出す。
「Dランクね、なら一泊銅貨5枚だよ」
どうやら、この宿は冒険者のランクで宿泊費が変わるようだ。
どうしてそんな事をしているのかと聞くと、どうやら冒険者ギルドと協力して新人冒険者のバックアップをしているらしい。
つまり、冒険者に割引している分ギルドからお金をもらっているというわけだ。新人ほど収入が少ないので装備品なども揃えようとすると普通の宿に泊まるのは厳しいらしい。
なので、新人冒険者は基本的に全国にある、冒険者の宿に泊まるらしい。
俺はおばちゃんに銅貨を5枚渡して部屋の鍵を受け取った。
「朝飯と夕飯は食堂でとれるよ、お湯は一日一杯まで無料。2杯目以降は一杯銅貨2枚でカンテラの貸し出しも銅貨2枚だよ」
「はい、わかりました」
あてがわれた部屋はベットと反対側にタンスがあるだけの簡素なものだったが、冒険者が宿にいるのは基本寝るときぐらいなのだろうから問題は無いのだろう。
俺はベットの脇の壁に鉄の剣を立てかけ、上着を脱ぎ捨てベットへダイブする。すると途端に睡魔が襲って来た。町に着いてからいろいろあって忘れてたが俺はこっちに来てから丸一日歩きっぱなしの上、内数時間は全力疾走していたのだった。
そこまで考えたところで俺は意識を手放した。
次に目を覚ましたときすでに窓の外は暗くなっていた。
急いで食堂に降りるとおばちゃんが呆れ顔でご飯を出してくれた
長旅を終えてやっと町に着いた冒険者が疲れて寝過ごしてしまう事はよくあるらしい。晩飯のメニューはパンとスープにちょっとしたサラダが付いたものだった。パンは硬めでパサパサしていてスープも味が薄かった。サラダは野菜を切って盛り付けただけのドレッシングも何もかかっていなかったがこれはしょうがないだろ。
とりあえず明日パン屋も探しておくことにして
俺はおばちゃんに礼を言うともう一眠りするために部屋へ戻った。
次の日、朝起きて昨日とほとんど変わらないメニューの朝飯を食べた後おばちゃんに部屋の鍵を預け、とりあえずギルドへ向かうことにする。
ギルドのことやこの町のことをノーラさんに聞くためだ。
「ノーラさんおはようございます」
俺はギルドに着くとカウンターに座っていたノーラさんに話しかけた。
「あらリュージさん、おはようございます。本日はどういった御用ですか?」
「えっと、今日はノーラさんにいくつか聞きたいことがありまして・・・」
ノーラさんのおかげでこの町について多少分かってきた。
今俺がいるアストの町は、大陸でも大きい方らしい。町はほぼ円形をしており東西南北にある門から中央広場へ向けて大通りが通っているそうだ。
次にこの世界の貨幣価値についてだが、金貨1枚=銀貨100枚、銀貨1枚=銅貨100枚、金貨1枚=銅貨10000枚で、贅沢をしなければ一日銅貨10枚あれば暮らせるらしい。
ちなみに今の所持金は金貨が1枚に、銀貨が3枚、銅貨が20枚だ。金貨があるのでそうそうお金に困ることは無いだろうが、できればこの金貨は使わずにとっておきたい。俺はエリクサーはラスボス戦でも使わないタイプの人間だ。
「えーと、後はこのギルドランクってなんですか?」
「ギルドランクとは冒険者の実力を示す値のことでD~Sランクまでありますが、Sランクの冒険者は世界中でも片手で数えられるほどしかいません。一般的にはCランクで一人前、Bランクで達人級と言われてますね」
「なるほど、それでギルドランクはどうやったら上がるんですか?」
「ギルドカードにはいままでに達成した依頼や討伐した魔物が記録されています。これらの功績が一定を超えると、ギルドからランクアップの依頼が出てこれを達成するとギルドランクが上がります」
「ふむ、ギルドランクを上げる利点は?」
「ギルドランクが高いとそれだけ高難易度の依頼を受ける事が出来ます。高難易度の依頼はもちろん危険ですが、その分もらえる素材や報酬金は良いものになります。
ギルドで受ける依頼には、全て適正ランクが設定されており冒険者ランクの±1ランクの依頼しか受けることができません」
なるほど、Dランクの俺はDランクかCランクの依頼を受けることができるというわけだ。
「もっとも、別の依頼で訪れた場所で偶然討伐依頼が出ていた魔物を退治したなどの場合は、適正ランク外でも他の人が依頼を受けていなかった場合報酬を受け取ることはできますが、推奨はされていません」
つまり、強い魔物を倒すときはきちんと依頼を受けてからにしろということか。
「Dランクでお勧めの依頼とかってありますか?」
「Dランクですと、北門を出た先での薬草の採取か、南門付近でのウサギ狩りか、家畜を魔物から守る護衛依頼などですね」
南門付近のウサギは、町に来る途中で何度か見かけた。見た目は完全に普通のウサギだったし、レベルも1だったので倒すのはそんなに難しくないだろう。
それより気になったのは、
「家畜は魔物とは違う生き物なんですか?」
少なくともウサギはレベルが存在していたから魔物だろう
「ぜんぜん違います。魔物は魔素から生まれ、傷ついても血が流れず命が尽きたら溶けるように消える。魔物は生き物とは違う何かです」
「その魔素って何ですか?」
「魔素とは魔物を生み出す元となるもので、人々の負の感情が集まったものと考えられています」
どうやらこの世界では、魔物は完全に化け物らしい。
「なるほど、じゃあそのウサギ退治の依頼を受けてみたいんですが」
「はい、スローラビットの討伐依頼ですね。期限は今日中、ノルマは5匹です」
いろいろ見て回りたい店とかもあるが、まぁ午後からでもいいだろう。
ノーラさんは俺からギルドカードを借り何かしらの手続きをして返してきた。おそらくあれで依頼を受けたことになったのだろう。
俺はさっそくウサギ狩りをするために南門へと向かった。
次回スキルの説明をします。




