奴隷商
と言うわけでやってきたのはは奴隷商。
武器屋の親父(見た目髭生えた小学生)に簡単な地図どころか紹介状まで握らされて若干にやけつつやって来た。奴隷の存在も奴隷商の存在も知っていたが俺が奴隷を買うという発想が出なかったのはやはり奴隷と言う存在が無い日本から来たからだろう。
セシルは偶然拾ったようなもんだし。ロムは報酬というていで押し付けられたしな。いやまあ俺が望んだことだけども。
「むふふ・・・」
買う、俺が自分で選んで奴隷を買うのかー。なんかいいな。こう、うまく言えないが。報酬金で懐には余裕があるし足りなければちょろちょろっと依頼をすればいいんだし可愛い娘がいいなー。
「くふふ・・・」
「なんかリュージが楽しそうなの!」
「そうですね。この町に来てからご主人様はずっと楽しそうで私も嬉しいです」
店主が来るまでの間ちょろっと部屋に通されて待っているんだがセシルとロムは俺の後ろに立っている。
俺的には隣に座ればいいと思うんだが、セシルがどうしてもというので後ろに立たせてロムもそれに倣った形だ。気にしなくていいのにな。
「当店の主のディランでございます」
「あ、どうもリュージです」
「ロムだよ!」
「・・・」
そう時間も置かずに1人の人間の男が入ってきた。
セシルは軽く頭を下げ、ロムは元気に挨拶をする。
てっきりドワーフが店主かと思っていたが目の前の優男が店主らしい。
「さて、この店は奴隷を扱っていると聞いてきたのだが?」
まどろっこしい駆け引きが嫌いな俺はサクッと話を進める。奴隷商とはいうがこの商館は見た目ふつうの建物だし今のところ1人も奴隷を見ていない。
「はい。そうでございます」
「そうか、では1人奴隷を紹介して欲しいんだが」
「ええ、紹介状にて存じております。あの奴隷をご購入していただけるとか」
ん?あの奴隷?まるで俺が買う奴隷が確定しているみたいな言い方だな。
「えーと?ここにはドワーフの奴隷は一人しかいないのか?」
「?いえ、ここは立地の関係上ドワーフの奴隷も多く扱っております」
「・・・俺はドワーフの奴隷を買いに来ただけでまだ誰を買うかは決めていなかったんだが・・・」
困惑顔の俺に対してディランは苦笑いだ。
「やはりそうですか。実はですねご紹介されていた奴隷は紹介主様の親族の方なのですよ」
「ふーん」
えーと、つまり?あの武器屋の親父はセシルやロムが奴隷なのに身奇麗なのを見て自分の身内を勝手に俺へ勧めたと?・・・いやまあ可愛い子ならいいんだけどね。
「その奴隷なのですがドワーフで若い女なのですが、スキルを使うことが出来ないのです」
「使えね!なにそれマジ使えねえな!」
鍛冶が出来ないドワーフとかドワーフである必要性なくね?
「ふぅ・・・ええ、ここに買い物に来る方はその多くがドワーフの奴隷をお求めになられるのですがやはり鍛冶スキルが使えないとなるとどうしても売れ残ってしまいましてね・・・やっと買い手が見つかったかと思ったのですが残念です」
「あっそ」
なんかいってるが俺が欲しいのも鍛冶が出来る奴隷だ。俺には関係ないな。
「それでは本日はどのような奴隷をお求めで?」
「んーそうだな。ドワーフの可愛い娘で。あ、あと《付加》と《彫金》だっけ?そのスキルを覚えているやつ」
「ふむ・・・・・・」
?ディランのやつなんか考え込んでるな。この町の奴隷商に来る客の要求としてはそんなに突飛なもんでもないと思うけどな。
「そうですね、まずドワーフなら誰もが持っている《精錬》や《鍛冶》と違い《付加》や《彫金》を持っている者が希少だということはお分かりになられますよね?」
「うむ」
「ましてやそれを覚えているのがドワーフともなればその価値は飛躍的に上昇し金貨を千枚積んでも手が届かない程です」
「せっ!?」
千枚はさすがに高すぎね!?さすがに買えねーな。
「そうか、そんなにするのか・・・」
「ええ、それが若い女ともなると相場はさらに倍になるでしょう」
「倍!!?」
無理だ今の俺には絶対買えない。今は諦めよう今は。
「んじゃ、しゃーない。ドワーフで可愛い子ならいいや」
「いえ、少々お待ちください。ただいま当商会には顔までは保障しかねますが偶然にもお客様のご要望に合致するかもしれない。商品がございます。しかもお値段は相場の4分の1金貨500枚で提供いたしましょう」
「マジで!?」
500枚ならギリギリ買えんじゃん。
「はい。それではさっそく連れて来させますね」
そう言って部屋を出たディランは直ぐに1人の少女を連れて戻ってきた。
こちらでは珍しい日本人のような綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女は、暗い顔を長い前髪で若干隠しているのがちょっと残念だが、日本では勿論美少女率の高いこの世界でも間違いなく美少女の分類に入る子だった。が今はそれよりも、スキルだ。
名前 メル
種族 小人種 奴隷
性別 女
Lv 1
装備 無し
ユニークスキル 精錬Lv1 鍛冶Lv1
スキル 付加Lv1 彫金Lv1 槌術Lv1 剛腕Lv1
所有者 ディラン
すげえ、レベル1でユニーク含めスキルが6個もある。レベルが1なのも俺の特性を考えれば大歓迎だしこれはお買い得すぎる。・・・お買い得すぎる・・・
「・・・おい。そいつさっきのスキルが使えないやつじゃないだろうな?」
「・・・まぁ、そうなんですけどね」
「はぁ~」
世の中そんなに甘くはないか。ご都合主義なんて存在しないのか、くそ。
「いやスキルは本当に覚えているようなんですが、なぜかスキルが発動しないんですよ。どうにもMPが足りないようなのですがこればっかりはどうにも・・・」
「あ?MPが足りないならレベルを上げればいいんじゃないか?」
「レベル・・・修練度のことですか?そもそも一度もスキルが使えないもので修練度を上げることも出来ないのです」
「?いやスキルのレベルじゃなくて本人のレベルをだな」
「???」
ディランの顔にはてなが浮かぶ。あれ?この感じなんかデジャブが・・・
「・・・セシル。レベルって言葉の意味分かるか?」
「はい。ご主人様がときどき使われる言葉ですよね?意味は・・・戦闘能力の高さでしょうか?」
「いやいい。もういい分かった」
この世界にはレベルの概念がない?そういえばステータスプレートにはレベルは表示されていなかったな。俺がレベルを知っているのは鑑定の能力でだ。そして鑑定はユニークスキル。つまり俺しかレベルが見れない?
そして目の前の少女メルはスキルがあれどレベルが低くてMPが足りないからスキルが使えない。つまりレベルを上げれば?
・・・ご都合主義バンザイ!
「ふむぅ・・・スキルを使えないのは残念だがなかなか好みだな。でも金貨500枚は高価すぎるんじゃないか?」
俺は勿論奴隷の相場なんて知らない。でも金貨500枚がドワーフの普通の相場だとすれば鍛冶のスキルすら使えないただのロリだと思われているメルの相場はもっと低くいんじゃないかと思っただけだ。
俺のセリフから俺がメルを買う気だと気付いたディランは訝しげだった顔を一変。嬉しそうな顔で話に食いつく。
「そうですねぇ、《鍛冶》が使えないとしてもドワーフの特性としての筋力の高さは問題ないですしね金貨400枚でどうでしょう」
おい一気に下がったぞ、どんだけぼるつもりだったんだ。というかそんなに手放したいのか。
「うーん、でも攻撃用のスキルも使えないんだろう?」
「・・・370枚で、」
「うーーーーーーん」
「350枚ですこれ以上は下げれません」
「まぁいいか。あ、それと後ろの2人の奴隷紋の更新もセットでね」
「・・・いいでしょう。それではこちらが契約書になります」
俺はディランの出した契約書をさらさらっと読んで特に問題がないことを確認にしてメルを購入した。
奴隷紋はセシルの盾になるという項目とロムの能力使用禁止の項目を解除。メルには俺の命令の絶対厳守を刻んでとりあえずメルの装備を買いにあの店へと向かった。




