ドワリム
「はじめましてドワリムの町ー!」
「はじめましてー!」
「もう!リュージさんもロムさんも恥ずかしいのでやめてください!」
上級悪魔3人(3体?)と死闘を繰り広げた日から3日。俺達は無事ドワリムへと到着していた。
といってもまだ城壁の中にも入っておらず荷物検査の馬車の列の最後尾に並んでいる段階だが道中の苦労を思い出しついつい馬車の上で手を振り上げ叫んでしまった。ロムと一緒に。
フランに叱られてしまったのでしょぼんと肩を落としつつ馬車に座りなおしつつここ3日の事を思い出す。と言ってもそんなに変なことがあった訳じゃない。
せいぜい2度ほど魔物に襲われたり、襲ってきた魔物へと駆け出したセシルが止まり切れずに魔物をぶっ飛ばしたり、殴りつけた魔物が爆散したり、手加減するための練習としてセシルの相手をした俺とロムが死に掛けて危うくリリーフをもう一回使わなければならなくなりかけたりしたが概ね平和に過ごして来れた。
回想中にも列はどんどん進み門番にルーセルとの間には最近厄介な魔物が居ついているらしいという、ありがたい話を聞きつつ入った
ドワリムの町はまさしく俺の想像どうりの職人の町・・・ではなくレンガと色ガラスで彩られたとても美しい町だった。
「キレ~」
「はい。とても美しいです」
「ですよね~。このドワリムの町は世界三大美都にも数えられるほどの大変美しい町なんですよ~」
あれ~、おかしいよね?普通鉱山隣接の鍛冶が発達した町って言ったらこう・・町中のでかい煙突から煙がでまくっていて、昼夜問わずトンカチの音と怒鳴り声が飛び交っているようなイメージがあるんだが・・・
「・・・なあフラン?ここがドワリムでホントにあってるんだよな?鉱山都市の・・」
「?ええ、そうですよ?なにかおかしな事でもありましたか?」
「うん、いやまあなんというか・・・」
街道を進む馬車からちらりと周りを見渡す。
道を行く人々はほとんどがドワーフなのだろうロリっ子かまたは地面に届きそうな程の長いひげを生やしたショタっ子が明らかに自分よりもでかかったり重そうだったりするものを軽々と持ち運んでいる。
だがまぁそれぐらいはロムで見慣れている。ロムは本気出したら俺達が全員乗っている馬車を持ち上げて放り投げることぐらいは出来るらしいしな。
そして通り沿いにある店はやはり武器屋、防具屋、鍛冶屋が多い。他ガラスや宝石を使ったアクセサリー店が軒を連ねている。あと、酒場。
そんなに似た店を並べてどうするのかと思うものの確かにここを見れば鍛冶主体の鉱山都市で間違いないだろう。
「こう、イメージと違うというかね?ドワーフの住む鉱山都市って言ったら怒鳴り声とトンカチの音が響き続ける賑やかな町のイメージが・・・」
「?トンカチですか?確かにドワリムは建築も優れていますが常に何かを建てている訳ではありませんよ?」
「いやいや、建築じゃなくて鍛冶の音がね?」
「???」
フランは俺が何を言っているのかまるでわかっていないようだ。
何故だ。この世界では鍛冶の仕方が違うのか?・・・あ
「えーと、フラン?一応鍛冶のやり方を教えて欲しいんだが・・・」
「?鍛冶のやり方ですか?私もそんなに詳しくはありませんが・・・えーとまず、素材となる鉱石を《精錬》スキルでインゴットに加工して、そのインゴットを《鍛冶》スキルで武器や防具にします。えーと、それから《彫金》スキルや《付加》スキルで特殊な能力を付けることもあるそうですが《彫金》スキルは練習しだいで成功率が上がりますが《付加》スキルはほとんど成功しませんしどちらも失敗したら素材の武器は消えてしまうので特殊能力付きの武器は非常に高値で取引されていますね。特に魔剣と呼ばれるものはちょっとした別荘が建てれるほどの値段で取引されることもあるそうですよー」
「ですよねー」
私も一度くらいそんな商品を扱ってみたいものです。と言って遠い目をするフラン。
そのフランの隣で同じように遠い目をする俺。そりゃあ異世界ですもんね?元の世界のテンプレが全部あるわけじゃありませんよね?でもまさか鉱石段階から全部スキルだけで出来るなんて・・・
とそこで俺の瞳にギラリと光が戻る。全てスキルで出来るのならば・・・俺でもできるんじゃね?
俺の持つユニーク《魔王》(《憤怒ノ王》の入手と共に、素質の文字が取れた。同じく勇者の素質も《勇者》になっている。能力はさほど変わらないが)の効果で俺はあらゆるスキルを習得することが出来るしスキルの成長速度も早い。これは1つマシンガンや戦車やクロスビットや人型決戦兵器を作るしかあるまい!
俺はさっとセシルとロムに目配せをする。ロムは何のことか分からず首をかしげているがセシルは心得たもので苦笑いをしている。
「んじゃフラン!俺達は武器屋によっていくからあとよろしく!」
「すみません。フランさん!」
「あっ!リュージ待って!」
「ちょっ!リュージさんまたですか!?」
さっと馬車を飛び降りた俺に続いてセシルが。後を追うようにロムが飛び降りてくる。
「はっはー!また冒険者の宿で会おう!」
後ろでぎゃあぎゃあ言っているフランを無視してピューっと近くの武器屋に転がり込む。
「おう、らっしゃい」
ドワーフのずんぐりむっくりな店員が迎えてくれた武器屋はアストの武器屋とは比べ物にならないほど小さくて狭いものの壁一面に一品物と思われるユニークな武器の数々が飾られており見ているだけでも楽しそうだが今日の目的はそれじゃない。が、まずはやるべきことをやっておこう。
「とりあえず普通の鉄の剣とレイピアを・・・そうだな予備含めて2本ずつくれ。ロムは・・・武器何使うんだ?」
「んー?私は武器使わないよ?だいぶん前に溶かしちゃって躾けられてから苦手なの」
「そうか・・・じゃあ今はいいか。って事でその4本をくれ」
「はいよ!まいどあり!」
剣を店員の言い値で買い、一本ずつ腰に下げてもう一本はアイテムボックスにしまっておく。
俺が武器を作れるようになるまでの繋ぎでしかないが一応心配なので二本買っておいた。金はあるしな。
「んっん~ところで武器屋よちょっと相談があるんだが」
「はい?何でございましょう?」
店員はそれはすばらしい愛想笑いで答えてくれる。完全にカモだと思われていそうだが今はいい。
「んーと何だ?鍛冶をするところを見せてもらいたいんだ。出来れば精錬をするところから」
「はい?」
「ああ、俺は剣を作るところを見たことが無くてな一度見てみたかったんだ」
本当はスキルを盗むためだがそんなことはいえないのでただ興味があるからということにする。
さっきまではいい笑顔だった店員もこの問いかけは予想外だったのか不審げな顔をした後俺の話を聞いて納得と申し訳無さそうな顔をする。
「申し訳ありませんが鍛冶の過程をお見せするわけにはいきません。当然ではありますが同じ武器屋でもそれぞれに秘伝の配合やこだわりがあります。どこの店に行っても作業場すら見せてもらえないでしょう」
「そうか・・・くっ」
店員の言葉にそんなもんかと若干へこみつつそれならばとドワーフである店員を鑑定してさらにへこんだ。
名前 ドルド
種族 小人種
性別 男
Lv 251
装備 なし
ユニークスキル 精錬Lv2 鍛冶Lv3
スキル 剛腕Lv1 身体能力強化Lv1
《精錬》も《鍛冶》もユニークスキルじゃん!まあそうだよね!誰でも使えるならドワーフである必要ないもんね!ロムの《鬼の血》と同じような扱いだよね。ちくせう
「そりゃそうか・・・はぁ~」
「ご主人様お気を確かに」
「リュージだいじょうぶ?」
目に見えて落ち込んだ俺にセシルとロムが慰めに入る。
ふぅ。しかたない。ここでだだをこねてもかわらないしな。とりあえず鍛冶は今は諦めてやることやるか。
「はぁ。じゃあ次は2人の奴隷紋の再設定に行くか。なぁ奴隷商ってどこにいるか知っているか?」
「!・・・奴隷?このお二方が、ですか・・・」
店員・・・ドルドは驚いたようにセシルとロムの間で視線を行ったり来たりさせている。
まぁそれもしょうがあるまい。俺が言うのもなんだが2人とも美少女だし、町行く奴隷みたいにみすぼらしい格好はさせていないからな。ぱっと見は分からないだろう。
ドルドは2人の間で彷徨わせていた視線を戻すと何かを考えるような様子になった。
何を考えているのかは知らんがいくら詰まれても2人は売らんからな!
「おい、早く奴隷商の場所を・・・」
「・・・お客様でも鍛冶をまじかで見ることが出来るかも知れません」
「・・・何?」
それは俺がひとまず諦めて心の奥底に追いやっていた思いを再び浮上させる。だが《精錬》も《鍛冶》もユーニークスキルであり俺には覚えられないと分かっている今はどうしても見たいわけじゃない。
訳じゃないが、
「一応聞いておこうか」
「買えばいいんですよ」
「・・・何を?」
「《精錬》と《鍛冶》の使える・・・ドワーフの奴隷を」
目からウロコが落ちるとは今のような状況の事をいうのだろうなと鈍る思考の片隅でそう考えた。




