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一般高校生の異世界ライフ  作者: テトメト
勇者と魔王と愚かな選択
42/47

憤怒ノ王

───コロス───


一言呟くたびに全身に怒り(チカラ)が駆け巡る。


───コロス───


全身に行き渡った憎しみ(チカラ)は行き場を求め体を心を蹂躙する。


「ガアアアアアァァ!!」


その圧力に耐え兼ね叫び声を上げ少しでも憎悪(チカラ)を散らそうとするが無尽蔵に沸いてくる憤怒(チカラ)の前には雀の涙ぼどの意味もない。


「リュージ!!しっかりして!リュージ!!」

「アデス!アデス!!あれ、あれ欲しい!!」

「ええ。ええ、ええそうですねルル。多少なりとも我々に怒りか憎しみを向けて貰えればと思いましたがまさかこれ程までに強く、純粋な憎悪の念を向けられるとは!鮮度が落ちる前に早く刈り取ってしまいましょう!」


外野が何か言っているが関係ない。ただただ、憎い。この世の全てが俺に悪意と敵意と殺意を向けている気がして全てへの怒りが俺を支配する。




──────ピシッ



と音が響いた。音の出所は俺の胸。俺の内側から響いた。



──────ピシッ



再び響いたその音は何かがひび割れる音。響いた場所からして俺の心が砕けた音。



──────ピシッ



否。その音は俺の心が砕ける音ではない。それはこの音が響くたびに溢れてくる灼熱(チカラ)が物語っている。



──────ピシッ



例えるならば雛が卵を割る音。種子が殻を破り芽を出そうとする音。それは今まで眠っていた素質(才能)が目覚める音。



──────パリン。



新たに目覚めた能力は俺の願いどうりに復讐(チカラ)を結ぶ。





「我、"魔王・・"神楽坂竜司(リュージ カグラザカ)が命じる・・・」



この世界では本来必要のないはずの詠唱。だが、胸を突いてあふれ出す言葉(チカラ)を俺は半ば無意識に呟く。



「《憤怒ノ王(サタナエル)》よ。我が憤怒を贄とし」



あれほど身を焦がしていた憤怒が突如行き場を与えられ前へと翳した俺の右手の前へと凝縮する。



「眼前の全てを焦土と化せ。《怒りの焔による焼死デス・バイ・ヘルバーニング》!!」


俺が翳した右手から生まれたのは漆黒の大蛇を思わせる黒焔。一瞬で肥大化した大蛇が全てを飲み込みながら高速で猛進。セシルを殺した悪魔共を一瞬で飲み込む。


「こ、この力は最上級悪魔の!?い、いや、この炎の本質は呪い!?精神(アストラル)体である我々の魂を一瞬で蝕む程の強力な呪いを黒炎に込めたと言うのですか!?」

「何?・・・これ!?・・・痛い・・・あつい・・・よ・・・」


今際の言葉もそこそこに悪魔共は黒焔に全身を焼かれ消し炭になった。

が、黒焔は止まらない。俺の内にある憤怒を全て吸い尽くさんとばかりに怒りが呼び起こされては焔へと変換され草原を焦土へと変えていく。呪いの焔で焼かれた大地からは一切の生命の気配が消え不毛の大地へと変貌していく。それと同時にむりやり感情を搾り取られ続ける俺の心はガリガリと音をたてて磨り減っていくようで・・・


「リュージ!!」


ドンっと体に衝撃が走り地面の上に転がされ上にまたがり取り押さえられる。


「リュージ!お願いだから元に戻って!私をまた一人にしないでぇ」


ひしっと俺に抱きつく小さなもの。

それから伝わってくるぬくもりを感じるほどに徐々に怒りが収まり周りが見えてくる。


「ロム・・・?」


俺の視界に入ってきたのはあいも変わらず禍々しい赤い月と俺の胸にすがりつき頬を濡らす小さな角の生えた少女。ロムだ。


「リュー・・・ジ?大丈夫、なの?」

「あ、ああ。大丈夫だ。心配かけたみたいだな・・・」


そう言うと俺はロムの頭をポンポンと撫でる。

ロムは俺が豹変したのがよほど怖かったのか再び泣き出してしまった。

ロムにはああいったが実際俺はここ数分に俺がやったことの実感が余りない。

意識が無かったわけじゃないから何があったかはきちんと理解しているし俺の中でまだ若干くすぶっている新たな力、魔王の力も感じることは出来るんだがどうも夢を見ていた感じというか、俺の体を別の誰かが操っていたような変な感じが・・・!!


ロムをあやしつつ上半身を持ち上げ俺が焦土に変えてしまった戦場後を見回していたとき見つけてしまった。立っていた俺の後ろ。唯一焦土になっていない区域で地面に座り込んでいるフランの足元に横たわるようにして眠っている一人の少女を。


「セシル・・・」

「リュージ?」


俺は自分の上に乗っているロムをそっとおろしフラフラとセシルの元へと向かう。

お腹に刺さった短剣以外に外傷も無くその傷もポーションの効果で塞がって居るため本当にただ眠っているようにしか見えないセシルは・・・笑っていた。

自分がもう死んでしまうと言うのに最後に俺なんかを救えたと笑って逝ったのだ。


「セシル!!」


俺の中にまた例えようなない感情の渦が巻き起こる。だがその渦はさっきまでの黒々と粘ついたような呪いのような感情では無く、もっと暖かい易しいような思いが俺の中を駆け巡り溢れそうになったとき俺はまたあの音を聞く。




──────ピシッ



と。








悪魔2人が引っ張った割りにあっさり退場。

やっぱ大罪系スキルはお約束ですよね。

あれ?何か忘れているような。

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