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一般高校生の異世界ライフ  作者: テトメト
勇者と魔王と愚かな選択
39/47

火炎剣

この前見たらなんと10万PV突破していました!

こんな拙い文章のド素人が書いた小説をたくさん読んでいただき皆さんありがとうございます!!

これからもリュージの活躍に期待していてくださいね。

ドラゴンゾンビとの戦いは長期戦に突入していた。

効率的にダメージを稼ぐのとブレスを出しにくくするために接近戦をしていたんだが当然ながら相手の攻撃回数も増えるし何よりドラゴンゾンビは自分がダメージを負いながらでもこちらを潰そうとしてくるのがキツイ。

そして実際ドラゴンゾンビにセシルの攻撃はまったく効いていないようだし、俺も火魔法に即効性がない以上対処的行動を取るしかなく・・・


「火魔法に・・・即効性が・・・無い・・・だと?」

「ご主人様?」


戦闘中に突然変なことを呟いた俺にセシルが怪訝に問いかけたが今はそれを気にする余裕は無い。

俺は必死であの時の事を思い出していた。

火魔法に即効性が無い。そんな事があるはずが無い。なぜならアイツは俺と連続剣を交えた高速戦闘で火魔法を臨機応変に使い、全方位攻撃まで仕掛けてきたのだ。これで対処的行動しか出来ない、即効性が無いなど可笑しすぎる。

となれば俺とアイツの火魔法の使い方の違いが問題だろう。そもそも火魔法の、たとえば火矢の発動の工程は、”発火””変形””発射”。と、大雑把に言って3つだ。

だがアイツの戦い方は常時”発火”を使い続けながら”変形”で炎を身に纏うか、纏った炎を”発射”してブーストするかの二択しかなかった。

つまり”発火”の工程は常時使用中なので省略可能。攻撃、あるいは回避には”変形”または”発射”の一工程しか使わないため発動までの時間が大きく短縮できる!!!


その真理に気付いた瞬間一気に俺の体を炎が包む。

そう。俺がやろうとしているのは鬼化して暴走していたロムがやっていた炎を纏って戦う戦法だ!


「ご、ご主人様!?」


突如全身から炎を吹き出した俺にセシルがビックリしてちょっと飛び上がりながら叫ぶ。

確かに傍から視たら火魔法に失敗して自滅しているようにしか見えない。


「大丈夫だセシル。俺の炎は俺を傷つけない」

「は、はぁ・・・」


実際火傷どころか炎の熱さすら俺は感じていない。だがちょっと炎が強すぎたか。MPがバカみたいな速度で減っているのが分かるし、何より前が見にくい。

そういえばロムは手足と髪にだけ炎を纏っていたな。攻撃と回避には手足の炎を使ってブーストを、防御とカウンターには髪の炎を使うといった使い分けをしていたように思える。だが俺はロムみたいに背中をカバーできるような髪の長さは無いしMP節約のためにも手足にだけ纏えばいいだろう。


炎を手足だけに限定すると消費魔力が一気に減ったがそれでも魔力を垂れ流し続けている様なものなので消費がでかい。ロムは角から魔力を吸収していたようだが俺に角は無いので体内にある限られた魔力で戦うしかなく長くは持たないだろうな。


「行くぞ!」


短期決戦を仕掛けるべくロムが使っていたブーストを使って一気に距離を詰める。

が、


「う、おわぁぁぁぁあ!」


見事に失敗した。錐揉みしつつドラゴンゾンビへと向け突っ込む。これ制御がかなりめんどくさい。要練習だな。

さて、突然火の尾を引きながらグルグル回転しつつ突っ込んできた俺に完全に虚を付かれたのか棒立ちになったドラゴンゾンビの胸に偶然激突する。


「グ、ルォォォォォォォオ」


やはり大したダメージは無かったのか激突した俺が地面に落ちる前に掬い上げるように前足での一撃が向かってくる。


「くっ!」


俺は咄嗟に両手を向かってくる前足に向け炎を”発射”する。

俺の手から飛んだ炎は狙いたがわず前足に命中一気に燃え上がり爛れ落ちさせる。また、空中からではなく俺の体に張りついた状況から発射した反動で俺は後ろへと飛ばされる。


くるっと一回転して着地した俺はすぐに発射した分の炎を手にもう一度纏わせる。

やっぱり咄嗟の対処能力が違いすぎる。さっきまでの俺なら前足の攻撃を回避できず直撃を避けられなかっただろう。

これなら勝てる。と言いたい所だがやはり決定力不足なのは変わらない。アイツを一撃の下に葬り去れるような一撃は無いものか。

とか、考えているうちにどっと体が重くなった。マズイMP切れが近い。


俺は即座にアイテムボックスから最後のMPポーションを取り出し呷る。

一気に飲み干した後空になったビンをその辺に放りドラゴンゾンビを睨む。

この炎を纏った形態は戦闘能力こそ格段に上がるがやはりネックは燃費の悪さだろう。ポーションを飲んだ直後だが体感では後十分も持たないだろう。


「ご主人様!」


さてどうしたものかと唸っている俺の元へセシルがゾンビドラゴンのもとから駆け込んでくる。・・・てか、顔怖いよセシル。可愛い顔が台無しだよ?


「もう!あんな危ないことばっかりしないでください!私ご主人様に当たったかと思って心臓が止まるかと思いました!」

「大げさな・・・でもまぁすまなかった」


別に一撃当たった程度で死ぬ訳じゃあるまいし大げさだとは思うが心配してくれたことは素直に嬉しかったから礼を言う。

さて、何を考えていたっけ、そうだアイツを一撃で倒す方法だ。ぶっちゃけここに俺の剣があればスラッシュ三回重ねの一閃なら十分リーチが足りて首を切り落とせるんだが無いものをねだってもしょうがない。

ん?そうだ。必要なのは剣じゃない。リーチだ。

俺は自分の手を見下ろす。炎を纏って(・・・・・)一回り大きくなった(・・・・・・・・・)俺の手を。


いけるか?必要なのはイメージだ。完全に切れる前に形が崩れてしまったら意味が無い。どころかMP切れで俺まで戦闘不能になってしまうだろうそうなったらセシルだけで戦線を維持するのは無理だ。俺達は全滅する。

それでも出来るのか?


「ご主人様・・・」

「セシル?」


突然セシルが俺の手を取ってくる。ドラゴンゾンビとヤツを倒す方法に完全に意識を取られていた俺はその突然の行動にビックリしてセシルを見つめる。

セシルはどこか寂しそうな顔で俺を見つめつつぽつぽつと話す。


「私にはご主人様がどんなことを考えているのかは分かりません・・・ですが、それがとても危ないことだというのはなんとなく分かります・・・そしてそれが必要なのだということも。なので私はご主人様を止めません。ですが必ず無事で帰ってきてください」

「セシル・・・」


いや別にそんなロムのときみたいに失敗したからと言ってすぐに死ぬような危険な橋を渡るつもりは無いんだが・・・無事に帰ると誓わなければ離さないとばかりに手を握り締めるセシルに言えるはずも無く。元々突撃するつもりも無事で帰るつもりもあったため特に断る必要も無い。しいて言えば死亡フラグくさいのがイヤだがそれは気にしたら負けだ。


「ああ、任せろ俺は絶対に無事で帰ってくるさ」


俺はセシルが握っている手をやさしく解きセシルのレイピアをひょいと手に取る。


「あっ」

「ちょっと借りるぜ。あのデカブツを倒してくる」

「はい。お気をつけて、ご主人様」


セシルに背を向け俺は駆ける。ロムは直感でやってたみたいだが今の俺じゃ炎でのブースとはうまく使えない。

俺は溜めがいるブレスが来ないように攻撃範囲外から一気に加速してドラゴンゾンビの股下を潜る。

ドラゴンゾンビは自分の下を潜った俺に対し太い丸太ほどもありそうな尻尾を振り回し叩き潰そうとするがそれは予想通りだ。

俺は尻尾が来るよりも一足早く両足をそろえ地面に着地。足裏から炎を”発射”することで上へと飛び上がる。

完全に俺の事を見失った様子のドラゴンゾンビの首元へと姿勢制御と若干の”噴射”を使い落ちてゆく。

ブーストを使った立体機動はムリでもこれぐらいはできるだろうと踏んだんだが今のところうまくいっているようで良かった。

だが本番はここからだ。俺は落下しつつも集中力を高めレイピアへと魔力を流してゆく。

俺の体を纏っているのと同じようにレイピアにも炎が流れ一回り大きくなる。だが、それじゃ足りない。レイピアへとさらに魔力を流しもう一回り、二回りとレイピアを包む炎が巨大化していく。イメージはスラッシュ3回分の一閃ぐらいまでの長さだ。


「っ!」


炎が大きくなるたびに剣の形が揺らぎ維持が難しくなる。手足を覆っていた炎を消し剣の制御へと全神経を集中させる。

そうしている間にも俺の体は落下し続けついに首を射程に捕らえた。


「火炎剣!」


ドラゴンゾンビの首に取り付く寸前大きく振りかぶっていた火炎剣を真横に薙ぐ。

剣がドラゴンゾンビに触れた端から順に焼き溶かし、剣は進んでいく。

だが、刃が進むごとに炎の形が徐々に崩れ、霧散しようとする。ここで剣の形から崩れたら炎は俺の制御を離れ唯の炎として首を焼いて消えるだろう。だがゾンビは確実に首を落とさなければ死なない。俺は意思力を振り絞って拡散していく炎を変形で留めさせる。


「くっそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

「グオォォォォォォォォォォォォオ!」


今まで攻撃を受けながらでも気にせず反撃をしてきたドラゴンゾンビだがさすがにこの攻撃は自分の命を刈り取るものだと分かったのか大きく体を揺さぶり俺を振り落とそうとする。

剣にのみ集中していてドラゴンゾンビの上に乗っかっていただけだった俺は真後ろへと吹っ飛ばされる。

最後の意地で剣を振りぬいたがそんな中途半端な攻撃では当然火炎剣が持つはずも無くドラゴンゾンビの首を三分の二程切り裂いただけで炎は消え。俺はドラゴンゾンビの背中を転がり落ちた。

手元のレイピアは俺の制御力不足の所為で溶け落ち使い物にならないしMPももう無い。

同じ攻撃はもう使えない。

これで、もう終わりだ。





ドラゴンゾンビは。


俺は落下しながらもニヤリと口元を歪ませる。なぜなら俺には見えているからだ。初めての致命傷にドラゴンゾンビは俺しか意識に無いようだがそれは下策だ。まぁもっとも見えていたとしても回避する手段は無いだろうがな。

それはブ-ストを使っているんじゃないかと見まごうばかりの速度でこちらに接近。ドラゴンゾンビに肉迫するやその巨体を軽々と駆け上がり顔の前まで飛び上がるとぐるっと一回転勢いをつけた後思いっきりハイキックをぶちかました。


「だらっしゃー!」


それは偶然にも配役が入れ替わったが最初にゾンビを倒したときと同じやり方だ。

セシルに蹴られたドラゴンゾンビの頭は元々体を揺すった所為で裂け目が広がっていたこともありあっさりとちぎれ傍らに転がってゆく。それに併せドラゴンゾンビの巨体もドウッと地面に落ちた。


俺達はやっとこいつを仕留めることに成功したのだ。

ちょっと前に”異世界カードのコレクター”という新しい小説を投稿しました。メインはリュージを書いていくつもりなので更新ペースは遅めになると思いますが暇だったら読んでやってください。

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