サイクロプス
祝5万PV突破!
最近まのわ読んでて投稿遅れてます。すみません
「・・・なぁセシル」
「はい」
「・・・村の周辺の森ってこんなにエンカウント率高いもんなのか?」
村人達に担ぎ上げられ入った森の中で俺とセシルは幾度も戦闘を重ねていた。
2人とも索敵を持っているから戦闘を避ける事も出来るだろうが、逃げまくった結果肝心のサイクロプス戦で他の魔物に囲まれたら面倒なことになりそうだったから途中からサーチ&デストロイに切り替えた。
「私もこの辺りのことには詳しくはありませんが・・・」
「プギィ!!」
「人里の近くでこんなに魔物が出るのは異常だと思います」
喋りながらもセシルは突進してきたイノシシを軽くかわしレイピアを突き刺す。
その一撃で絶命したイノシシは一切れの肉を残し溶けて消えた。
「おつかれー」
「いえ、私はたまたまとどめをさせただけでほとんどご主人様のおかげですから・・・」
魔物の正面をほとんどセシルが担当していたからMVPはセシルだと思うが・・・まぁいい。
俺たちは森に入ってからすでに10何度目かの戦闘をしていた。魔物は数こそ多いが個々は弱いので戦闘自体は雑談交じりにしていても問題ない。
もっともそれは冒険者だからであって普通の人には荷が重いかもだが・・・。
「にしても見つからねえな、サイクロプス。村人の話じゃここら辺で出るはずなんだが・・・お?」
索敵範囲の隅っこにでかい反応が出る。
あれがサイクロプスだろう。
「サイクロプス見っけ。・・・うーん、でもあれはちょっと・・・」
「どうかされたのですか?」
「いやな、敵が思っていたよりもちっと強そうなんだよ」
さすがにデビルブラッディーウルフを超えることは無いとは思うがそれに迫る強さがあるだろう。
「倒せない程ではないと思うが・・・このままだとちょっとは苦戦するかも」
「それほどなのですか?」
まあ正直一閃でゴリ押しできそうな気もするがデビルブラッディーウルフの時も調子にのって痛い目を見たからな。
「うーん。じゃあセシルに作戦を命じる。ちょっとお耳を拝借」
「はい、ご主人様」
セシルのピクピク動くもふもふの耳に考えていた作戦モドキを囁いた。
その魔物・・・サイクロプスは森の中で見つけた洞窟で傷を癒していた。
当たり前だがこんなに人里(人村?)の近くに本来サイクロプスは生息していない。もともとの生息地だった山奥に突然強い魔物が発生しその魔物との縄張り争いに敗れ生息地を追われた末に辿り着いたのがこの森だった。
たいした脅威もいないこの森でとりあえずは傷を癒し体力が戻りしだいこの辺りを新たな縄張りにしようと考えていた。
そして体の傷もほとんど癒えた頃その声を聞いた。
「出て来いやウスノロォ!」
その声を聞いた途端意識が真っ赤に染まる。その声の主は分からないが声を聞いた途端胸に沸き起こったのは恐怖。逃げることはできない。背を向けた瞬間殺られる。
その思いがサイクロプスの中に溢れ、埋め尽くす。
生き残るためには・・・殺すしかない!
サイクロプスはそう思い込まされ、重い腰を上げ洞窟の外のまだ見ぬ敵へ向けて歩を進めた。
洞窟の中からズシンズシンと地響きを響かせながらサイクロプスが姿を現す。
サイクロプス
Lv 28
おー怖ぇー
サイクロプスは優に4メートルを超える巨体を持ち、丸太を削って持ち手を作っただけの棍棒を下げ顔の上半分を占める単眼で俺を見下ろす。
「先手必勝!」
サイクロプスの視線を潜るように体を倒しサイクロプスに接近する。サイクロプスも俺に反応し棍棒を振り上げるが決定的に遅い。
「ッシ!」
低い姿勢から切り上げるようにスラッシュを放つ。サイクロプスはやっと棍棒を頭の上まで振り上げたところで今からではとても間に合わない。これは入ったかな?とちょっと思ったが勿論そんなに甘くは無い。振り上げた棍棒が唐突に赤く輝き一気に振り下ろされる。
「グオッ」
「っつ!」
振り下ろされる棍棒を無視するわけにもいかずスラッシュの標的を変えて棍棒を迎え撃つ。
俺の頭の上でぶつかり合った剣と棍棒は弾かれる事も無くギリギリとせめぎ合う。
今は辛うじて均衡を保っているが俺は下からの切り上げでサイクロプスは上からの振り下ろし。しかも基礎筋力はアイツの方が上だろうから遠からず俺は叩き潰されるだろう。
俺が1人ならな。
「セシーーーール!!!」
「はい!!」
俺の叫びに応じて背後の草むらからセシルが飛び出す。俺にだけ意識が向いていたサイクロプスはセシルの出現に対応できない。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
後ろから走ってきたセシルが俺の背を踏み台にして高く飛び上がる。
「はあ!!」
そのままスピアを発動させサイクロプスの巨大な目を貫く。
「ぐぎゃあああああああああああ」
サイクロプスは棍棒を取り落とし両手で目を押さえる。
「よしっ!作戦通り!」
「さすがご主人様です!」
これが俺の考えた作戦とも呼べない作戦である。目がでかい魔物は目が弱点である。これ定石な。矢があればなおよし。
「ぐおおおおおお」
目が潰されたサイクロプスはやたらめったら腕を振り回すが無論そんな攻撃は当たらない。こうなってしまえばサイクロプスも形無しで後はちくちくと攻撃して削りきって倒した。目さえ潰してしまえば後は余裕な魔物だったな。
帰りもまた魔物を狩りながら村へと戻った。ちなみにサイクロプスはサイクロプスの目という俺の顔ほどもある巨大な目玉をドロップした。セシルが貫いたはずなのに傷ひとつ無いその目玉は非常にキモかったが高値で売れるかもしれないのでなんとか持ち上げてアイテムボックスに詰めてきた。後一様サイクロプスが落とした棍棒も拾っておいたが役に立つかは分からない。
「おおお!村の英雄が帰ってきたぞー!!」
「「「おおおおおおおおおお!!!」」」
村に入ると周りを村人に囲まれ歓声を上げられた。
「それで冒険者様・・・その、サイクロプスは?」
「おう。倒してきたぜ、ほら」
そういって俺はアイテムボックスからサイクロプスの目を取り出しドスンと置く。その異様な存在感を放つ目玉に村人達が慄くがそれがサイクロプスの目玉だと気づくとまた歓声が上がった。
「「「おおおおおおおおお」」」
「まさか本当に倒されるとは!」
「しかもこんなに早く」
「ささっこちらに宴の用意ができております!」
そのあとは村人総出での飲めや歌えやのドンちゃん騒ぎだった。もうサイクロプスの恐怖に怯えなくても済むということで村人達にはみんなから順番に感謝の言葉を掛けられそれら全員の相手をするのはさすがに疲れた。酒も村長に強く進められたが明日には町に帰りたかったし一応未成年だから断った。この世界じゃ関係ないかもしれないがな。ちなみにセシルも酒は飲んでいなかったが飲めないのか俺に遠慮して飲まなかったのかは分からなかった。
「本当に行かれるのですか?」
宴会が終わりそのまま村長の家に泊めてもらって次の日。町へ帰る俺たちを村人達がまた総出で見送りに来てくれた。
「ああ。町で約束もあるからな」
「そうですか・・・それではお元気で。ありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
「いえいえ、それじゃ」
一斉に頭を下げる村人達に別れを告げ俺たちは一路ルーセルへと戻る。




