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一般高校生の異世界ライフ  作者: テトメト
鬼とサーカスと少女の涙
26/47

一つ目巨人

「こんちゃーす」


フランと別れた俺とセシルはフランに教えてもらった冒険者の宿へとやって来ていた。


「いらっしゃい」


出迎えてくれたのは宿屋というよりはバーのマスターといった方がしっくりくる感じのダンディーなおじ様だった。


「二人部屋、ベットは1つでいい。空いてる?」

「ああ。丁度一部屋空いているな」

「んじゃ、頼むわ」


俺とセシルはそれぞれ銀と白のギルドカードを取り出しマスターに渡す。


「ランクBとランクDだね?それなら料金は・・・!?」


チラッとギルドカードを確認し料金を告げようとしたマスターがガバッと振り返り俺のカードを二度見する。


「剣舞のリュージ?君はもしかしてアストの英雄かい?」

「およ?俺の事知ってる?」


はやし立てられるのが嫌で町を出たのにこっちでも同じ扱いは困るんだが・・・


「ここは夜には酒場もやっていましてね。噂話レベルの情報ならいくらでも集まるんですよ」


ホントにバーのマスターだったらしいなこの人。俺の情報もあくまで噂レベル。そういえばマスターもギルドカードを見せるまでは俺が剣舞のリュージだとは気づかなかったしな。


「ふーん。で、いくら?」

「一泊で銅貨15枚だな」

「あいよ」


マスターに銅貨を渡し部屋を借りたが持ち物は全部アイテムボックスにしまってあるし、まだ日も高いのでとりあえずギルドへ向かう。


「ちーっす」

「いらっしゃいませー」


ギルドに着いた俺たちはとりあえず手近なカウンターに向かう。


「Bランクの依頼で二日くらいで終わるやつない?」

「Bランク、ですか・・・」


そう言って受付嬢はわりと不躾にジロジロ俺たちの格好を見てくる。

よく考えたら装備がまだ皮の鎧のままだったな。収入も入ったし今度見繕いに行くか。


「失礼ですがギルドカードを確認させてください」

「はいよ」


今度は俺だけがギルドカードを取り出し受付嬢に渡す。


「はい。確かにBランクですね・・・!?」


あっ、なんかデジャブ。


「剣舞のリュージってまさかあのアストの英雄のリュージさんですか!?」

「ちょっ、声が大きいって!」


ギルドは冒険者の宿と違い人も多い大きな声を出せばもちろん人目を集めるわけで、


「剣舞のリュージ?」

「それってあのアストの英雄の?」

「アストを襲ったオオカミ共を殲滅し、魔獣を1人で倒したとかってゆう化け物のことか?あいつが?」

「でも確かにBランクのギルドカードを持っていたぞ?」

「じゃぁ本当にあいつらがそうなのか・・・」


受付嬢の叫びを聞きギルド内がざわつきだす。てか誰だ化け物って言った奴。一閃で叩っ切るぞ。


「はぁ・・・。んで?いい依頼はあるのか?」

「そうですねぇ・・・あのリュージさんにでしたら一つ目巨人(サイクロプス)の討伐なんてどうでしょう?」

「サイクロプス?ってーとあれか?こう、でかくて、顔の半分ぐらいが目で、棍棒なんか振り回したりする」

「はい。その認識でほぼ合っています。何でもこの町から徒歩でも半日程の村の周囲の森で最近サイクロプスが出没するようになったそうで、その討伐依頼が村人から来ています」

「ほう。面白そうだな」

「私達としても村人に深刻な被害が出る前に討伐していただくとありがたいのですが・・・」

「じゃ、その依頼は俺たちで引き受けよう。いいか?」

「はい。私はどこまでもご主人様と共に」

「ありがとうございます。それでは手続きをしますのでお2人のギルドカードをお預かりしますね」


ギルドカードを渡し依頼を受けた後、依頼を出した村への行き方を聞く。

出発は明日にすることにして遠巻きに俺たちを見ている視線を振り切り一旦宿へと帰ってきた。


「あの、ご主人様。今日はもうお出かけにならないのですか?」

「ん?」


部屋で一息ついているとセシルが俺に問いかけてきた。

セシルから話かけてくるのは珍しいな。


「ああ。武器屋に行ってもいいんだが別に今のところは困ってないし今度でいいだろう」

「そうですか。・・・・その・・・はしたないとは思いますがお情けを頂けないでしょうか?」

「え?」


セシルは顔を朱に染め、太ももをもじもじさせながら言う。

そういえば馬車での移動中の二日程はセシルの相手をしてやれてなかったな。


「いいよ。こっちへおいで」


俺はベットへ腰掛け隣をポフポフ叩いてセシルを呼ぶ。

本当は明日に響くと嫌だから早めに寝たかったんだが、どうやらセシルは体力が有り余っていたようで結局俺が力尽きるまでずっとセシルに付き合った。



てなわけで次の日。


「ふぁ~あ。ねみぃ・・・」

「大丈夫ですかご主人様?」

「・・・セシルは元気だよね・・・」


女性のこの底なしのエナジーはどこから出るのだろう?


「ところで村はまだか?」

「まだ町を出てから3時間ほどですよ?ギルドの話では半日掛かるとのことでしたしまだなのではありませんか?」

「いやまあそうなんだけど、俺の予想じゃそろそろ着く頃じゃねーかと・・・おっ?あれじゃね?」


遠く道の彼方に、細く立ち上る煙が見えてくる。おそらくあそこが村だろう。


「?どこですか?」

「だからあそこに煙が・・・あっ」


そういえば俺には視力強化の補正が掛かっているのか。効果を実感しにくいから忘れてた。


「まぁ、もうちょいってことだ俺を信じろ」

「はい。分かりました」


それであっさり引き下がりしかも心の底から信じている様子だから驚きだな。セシルちょろい子。



それから小一時間後、俺達はやっと村の前までたどり着いていた。


「つ、着いた~」

「あんなに遠くから村を見つけられていたなんて流石ご主人様です!」

「お、おう。そうだな・・・」



セシルは純粋に誉めてくれているみたいだが、なまじ遠くから村が見えていた分もうすぐ着くんじゃないか?と思いながら一時間歩き続けた俺は若干グロッキーだ。セルフ焦らしプレイでもさせられてた気分だな。


「およ?あれ人じゃね?」


村の敷地に入って数歩畑仕事真っ最中な村人を発見した。


「第一村人発見。こんにちはー」


俺が声をかけるとその村人は作業の手を止めてこちらを振り返った。


「んあ?あんたらは・・・まさか冒険者だか!?みんな!!てーへんだー!冒険者がやって来ただー!!」

「あっ、やっ、ちょっ」


こちらに振り返った村人は突然取り乱し自分の畑を踏みしめながら村の奥へと走っていった。ちょっと傷つく。


「大丈夫ですご主人様!たとえ世界中の全員に嫌われても私だけはご主人様の味方です!!」

「・・・ありがとうセシル。でもあの人は別に俺の事を嫌っていたわけではないと思うぞ?」

「そうなのですか?」


即座に俺が嫌われていると考えて慰めにはいるのもどうかと思うがな。



「「「ようこそ冒険者様!」」」

「オゥッ!?」


村の中央では村人の殆どが集まり俺たちを待ち構えていた。


「やっとこの村にも冒険者が来てくれたか」

「これで森に入れるようになるわい」

「ありがたやありがたや」


なんかすでに戦勝ムードなんですけど・・・。


「すみません冒険者様。宴会の準備はまだ出来ておりません・・・」

「いやいやいやいや、宴会とかいいから!そんなことよりサイクロプスがどこに出るか?とかもっと建設的な話がもっと・・・」

「なんと!今すぐ出発されるおつもりか!」

「「「おおぉーーー!」」」

「えっ、やっ、ちょっ」

「オラ達のためにそこまでしてくれるだなんて!!」

「冒険者様!!」

「ありがたやありがたや」


周囲を取り囲まれ拝み倒される。散々歩き倒して疲労困憊なんだが・・・。


「おっ・・・俺に、任せとけーー!!」

「「「おおおぉーーーー!!」」」


てなわけで、休憩なしで山狩りが始まった・・・。


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