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一般高校生の異世界ライフ  作者: テトメト
鬼とサーカスと少女の涙
21/47

護衛任務

「待っていたよアストの英雄リュージ君」


部屋で待っていたギルドマスターは口の端を片方だけ上げて軽く笑いながら俺たちを迎えた。


「まぁ座りたまえ」

「失礼します」


俺はギルドマスターに勧められるまま対面の席に座った。セシルは俺の斜め後ろに立って待機する。


「まずは自己紹介が必要か?俺はアストの冒険者ギルドのギルドマスターをやっているルドルフだ」

「俺は冒険者のリュージです。こっちは俺の奴隷でセシル」

「うむ」


こっちの事はすでに知っていたようでギルドマスター・・・ルドルフさんは一つ大きく頷く


「さて、何から話すか・・・いや、まずは礼だな。この町を救ってくれて本当にありがとう。」


ルドルフさんはソファーから立ち上がり俺に深々と頭を下げる。

さすがにびびった俺は慌てて立ち上がりルドルフさんに頭を上げさせようとする。


「いやいや、俺は自分の仇を討っただけですから、気にしないでくださいよ」

「いや、そうもいかん。聞いたところではオオカミ共の大量発生を伝えたのも魔獣の存在を知らせたのもお前さんなのだろう?お前さんがいなければ対応が後手後手に回り被害ももっと広がったことだろう。お前さんは間違いなくこの町の英雄だ」


その後も頭を下げ続けるルドルフさんをなんとか宥め、ソファーに座ってもらい仕切り直した。



「さて、今日お前さんに来てもらったのはいくつか理由があるんだが・・・一番簡単なものから済ませてしまうか」


そういうとルドルフさんは1つの皮袋をどちゃっと置いた。

中を見ると沢山の銀貨の中に数枚の金貨も入っていた。


「それは今回の事件での君への報酬だ」

「こんなに沢山・・・本当にいいんですか?」

「当然だ。お前さんはそれだけの働きをしたのだからな。返されても困るからどうか受け取って欲しい」

「分かりました。ありがたくいただきます」


俺は受け取った袋をセシルに預けルドルフさんに話の続きを促す。


「うむ、次が今日の本題なんだが・・・お前さんの二つ名がギルド本部で正式に決定された」

「へ?」

「また、それに伴いギルドランクもBに格上げになる」

「いや、ちょっ、まっ」

「実はもう新しいギルドカードをここに作ってある。今日から古いギルドカードは使えなくなるからそのつもりでいてくれ」


もう外堀埋まってるじゃないですかーやーだー。

ルドルフさんは銀色に輝くギルドカードを取り出し俺に手渡してくる。

ギルドカードには俺の名前とランクBの文字のほかに二つ名”剣舞ソードダンスのリュージ”と書かれていた。

特に断る理由も無いので出されたカードをそのまま受け取る。


「この二つ名ってどういう意味が?それとランクアップには特別な依頼を受ける必要があるんじゃ?」

「うむ、二つ名には基本意味は無い。まぁ通り名みたいなもんだな。ランクアップ試験についてだが・・・魔獣を単騎で撃破するような奴の何を測ると?それに二つ名持ちの町の英雄がいつまでもDランクというわけにもいかんだろう」

「なるほど」


町を落としかけた魔獣を倒したのがただのDランク冒険者だとギルドの体面とかいろいろめんどくさい事になるのだろう。



「いやーだが普通に受け取ってもらってよかった。どう説得しようかいろいろ考えていたんだが全部無駄になったな」

「?」


話が一段落した後ルドルフさんが張り詰めた息を吐き出すように言う。

受け取ってもらえて・・・というのはやはりギルドカードの事だろう。ルドルフさんは俺がギルドカードを受け取らないと思っていたのか?

ギルドランクが上がって変わることといえば、受けれる依頼のランクが高くなり危険なものばかりになり冒険者の宿の料金が上がるくらいで・・・・・・いいことなくね?


「あの~ギルドカードの件なんですがやっぱりなs」

「ムリだな」

「ですよねー」


まぁ金も入ったし問題はないか・・・


「ところでお前さん方これからどうするつもりなんだ?」

「んーとりあえずこの町を出ようとは思っていますけど行き先は特に決めていないですね」

「それなら王都を目指すといいだろう」

「王都?」

「ああ、王都では一年に一回闘技大会が開催される。お前さんならいい線いけるんじゃないか?」

「闘技大会か・・・面白そうだな」


俺が出るかどうかはともかく見物するだけでも楽しそうだ。


「じゃ、その王都とやらを目指す事にしましょうか」

「うむ、王都へは馬車なら1ヶ月もあれば着くだろう。次の大会は半年後だからゆっくり行けばいいさ。それと町から町への移動は普通商隊とかの護衛任務を受けるもんなんだが・・・まぁアストの英雄に護衛して貰えるってんなら依頼もくるだろうし探しといてやろう」

「あー」


ちやほやされすぎてうざいから町を出るのに依頼を探してもらうのもな・・・・。


「いえ、自分で何とかしますからいいですよ」

「そうか?じゃあまぁ気を付けてな。本当に助かった。ありがとう」

「いえいえ、こちらこそありがとうございました」


また頭を下げ始めたルドルフさんにこちらも頭を下げ返し礼を言った後部屋を出た。



一階へと降りつつフードを被り隠蔽を発動する。

取り敢えず宿へ帰ろうかとしたがカウンターに見覚えのある人物を発見して足を止めた。


「うーん、困りました・・・」


やっぱりだ。あいつフランじゃねーか。冒険者ギルドでなにしてんだ?

フランはカウンターの前を右に左にうろうろしていていてギルド職員もちょっと迷惑そうだ。


「ご主人様?」


前を降りていたセシルが階段の中ほどで立ち止まっている俺のところまで戻ってきた。そのまま俺が二階まで戻るとセシルも付いてきたので誰も見ていないことを確認して隠蔽を解いた。


「なぁセシル。ほらあそこ、カウンターの前でうろうろしてる子がいるだろう?あの子俺の知り合いだからちょっと連れてきてくれない?」

「はい分かりました」


俺の頼みに二つ返事で答えたセシルがフランを説得しに行き・・・すぐにフランと共に戻ってきた。


「やほーフラン久しぶりだな元気だったか?」

「あら、これはこれはアストの英雄にしてユニークスキル連続剣の使い手剣舞(ソードダンス)のリュージことリュージさんではありまんせんか」

「やめてくれよ・・・それ最近トラウマになりかかってるんだから。・・・んで?どうして冒険者ギルド(ここ)に?」

「そうですよ、そうなんですよ!ちょっと聞いてくださいよ!!」

「お、おう」

「今回の件は完全な事故だって事で積荷の代金はギルドが肩代わりしてくれたんですよ。そこまではよかったんです。でも理由はどうあれ積荷を届けられなかったので私の信用はがた落ち、信用が無い商人なんて馬の無い馬車ぐらい使えません。それに積荷代はともかく馬車の修理代は完全自腹でしたし超大赤字ですよ。さらにさらにやっと馬車が直ったと思ったら町は復興騒ぎで物価が急騰中。この町を出ようにも今護衛も無しに町を出る勇気はありませんし、護衛を雇うお金も無い。完全に詰んでますねーあはははは」

「あははははは」


そっかーフランの馬車が直っていて、町を出たくて、護衛を雇いたいがお金がない、と。

・・・ナイスタイミーング


「なぁフラン」

「はい?」

「その護衛任務俺たちが引き受けようか?」

「へ?・・・ぜひお願いします!!!」


というわけで旅の道連れがまた1人増える事になった・・・。

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