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一般高校生の異世界ライフ  作者: テトメト
鬼とサーカスと少女の涙
20/47

剣舞のリュージ

二つ名が・・・!かっこいい二つ名が思いつかない・・・!!


「・・・はぁ」


魔獣との戦いから一週間。俺は宿で1人ため息をついていた。


「・・・はぁ」


魔獣を倒したあとすぐに気絶した俺は俺たちを追いかけてきたギルドマスターに助けられたらしい。

腹に大穴が開いた明らかな重症だったと思うんだが戦闘の翌日には普通に目を覚まし歩きまわれるぐらいに回復していた。・・・いまさらだが魔法ってチートすぎだよな・・・


「・・・はぁ」


てなわけで、怪我のほうはもう何も問題ない。完治だ。むしろ問題なのは中じゃなくて外のほうで・・・


「おっ、顔を出したぞ!」

「あの人が魔獣を1人で倒したって言うアストの英雄?」

「おうよ、襲い来るオオカミをユニークスキル連続剣でばっさばっさと切り倒す。その姿はまるで優雅に踊る妖精のようだったという・・・あの剣舞ソードダンスのリュージ様だ!!」

「「「おおー」」」


「・・・はぁ」


どうしてこうなった。

宿の前には俺の姿を一目見ようと大勢の町人が集まっていた。


俺が目覚めたときすでに魔獣を倒したアストの英雄リュージ様の話は光の早さで町中に広まっており、運び込まれていたギルドから一歩出た途端大歓声に迎えられた。その時は俺もいい気になっていて求められるまま、硬直キャンセル(町人逹は連続剣と言っている)を見せてやったり、握手してやったりしていたんだが、そのうち「俺を弟子にしてれ」だとか「私と結婚してください」とか、すごいのだと「昨日産まれたこの子に名前をつけてください」だとか、一時の熱狂だとは思うが流石に怖くなって部屋に逃げ込んだんだが、奴ら宿を取り部屋に張り込んできやがったから出るに出られずこの一週間療養という名目で立派な引きこもりになっていたのだ。


「・・・はぁ、どうしてこうなった・・・」

「皆さんご主人様に感謝しているんですよ」


外に買出しに行っていたセシルが帰ってきて俺の独り言に答える。


「おかえりセシル。毎日ありがとね」

「いえいえご主人様のお役に立てるのならこれくらい。それに今ご主人様が普通に外に出たら大騒ぎになってしまいますからね」


セシルが苦笑い気味にこちらを見る。一緒に出かけた日の事を思い出しているのだろう。あれは酷かった・・・


さて、この一週間俺は超人気の引きこもりになっていたのだが、ある意味俺よりもセシルの方が変わったかもしれない。


まずはその髪。出会った頃は汚れ、くすんだ茶色をしていた髪だが毎日きっちり洗って汚れを落としまくった結果今ではきれいな栗色のロングヘアーになっている。・・・最初にあの髪を洗ったときは本当に大変だった。お湯をかけてもかけても全然きれいにならなくて、あのときほどシャワーが欲しくなった時は無かった。ちなみにセシルは毎日俺が洗っている。それはもう、隈なく、隅々まで、舐めるように洗っている。俺の毎日の楽しみの1つだ。


また、俺に併せ毎日3食きっちり食べているおかげで血色もだいぶよくなり、心なしか肉付きも良くなった気がする。


まぁ何が言いたいかっていうと、セシルちよー美人って事だ。


「ご主人様?」

「ん~?どした?」


モフモフ


「いえ、その・・・ご主人様が急に私の頭を撫でられるので・・・」

「いやーやっぱセシルの耳はもふり心地最高だな」


セシルの垂れ耳を下からタプタプする。モフモフで暖かくていい感じだ。


「んっ・・・私の耳でご主人様が気持ちよくなってくださったら私も嬉しいです」

「セシル・・・なんていい子なんだ!」


はしっ


「ご主人様!」


ひしっ


部屋の真ん中でセシルと抱き合う。

最近の俺とセシルの関係は概ねこんな感じだ。端から見るとただのバカップルである。

元々セシルから俺への好感度はカンスト気味だったし、レイモンド逹の事で感じていたセシルへの罪悪感も、セシルに許され、仇を自分で討った事で振り切ったとまではいかなくてもこの一週間で気持ちの整理はつき、セシルに当たることはなくなった。

結果セシルの好意を素直に受けとるようになり、またセシルへ同じ様に好意を返すようになったため累乗指数的に仲が深まっていった訳である。



「ご主人様、そろそろギルドへ向かう時間ですよ」

「もうそんな時間か・・・」


セシルが買ってきてくれた昼飯を食べ終わり、一休みしているとすぐに出かける時間になった。

魔獣討伐の事で話があるとかなんとかでギルドマスターに呼ばれているのだ。正直早くこの町から出たいのだが、この呼び出しのせいで町から出れなかったのだ。


「うむ・・・外に出ないとダメかな?」

「ダメだと思います」

「だよな。しゃーない隠蔽を使うか」


俺もセシルもこの一週間ぼさっと過ごしていたわけじゃない。時間だけはあったから互いの持っているスキルで覚えられそうな物は覚え、上げれそうなスキルは上げておいたのだ。

現在のステータスはこんな感じだ


名前 神楽坂(かぐらざか)竜司(りゅうじ)

 種族 人間種

 性別 男

 Lv 15 → 27

 HP 580 → 820

 MP 310 → 490

 ATK 90 → 150

 DEF 38 → 62

 INT 43 → 67

 AGL 38 → 62

 装備 鉄の剣 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴

 ユニークスキル:勇者の素質 魔王の素質 鑑定 並列起動デュアルキャスト

 スキル:剣術Lv2→Lv4 細剣術(NEW)Lv3 回復魔法(NEW)Lv1 土魔法(NEW)Lv1 移動速度上昇Lv1 索敵Lv2→Lv4 隠蔽Lv1→Lv4 アイテムボックスLv1→Lv3 身体能力強化Lv1→Lv3 視力強化Lv1→Lv3 聴力強化Lv1→Lv3 暗視Lv1→Lv3 逃げ足Lv1 解読Lv2→Lv5 見切りLv1→Lv2 威圧Lv1→Lv2 一般魔法Lv1→Lv3 裁縫Lv1→Lv4 HP自動回復速度上昇(NEW)Lv1



名前 セシル

 種族 獣人種 奴隷

 性別 女

 Lv 14 → 25

 HP 615 → 890

 MP 273 → 416

 ATK 82 → 126

 DEF 26 → 48

 INT 21 → 32

 AGL 50 → 94

 装備 鉄のレイピア 皮の鎧 皮のグローブ 皮の靴

 スキル 細剣術Lv2→Lv4 索敵Lv2→Lv5 聴覚強化Lv1→Lv3 見切り(NEW)Lv3 裁縫(NEW)Lv2

 所有者 神楽坂 竜司


さて、俺がギルドへ向かうために使おうとしている隠蔽だが面倒なことにスキルは基本ON/OFFの切り替えしか出来ない。つまり、隠蔽を使っている間は道を歩く人にも店の定員にも見つからないちょー不便な状況になるのだ。

ちなみにこの状況なら泥棒し放題じゃね?って思ったがセシルに止められた。なんでももこの世界では泥棒行為をしたら即刻騎士達に連絡が入るらしい。すごい警備システムだな。


てな訳で俺は丈の長いローブを身につけ、目深にフードをかぶり隠蔽を発動する。すると俺を見ていたセシルの焦点がずれて後ろの壁へと移動する。


「・・・目隠し完了っとさて行くか」


俺が扉へ向かうと先行したセシルが扉を開けてくれる。


「では参りましょうご主人様」


セシルは俺のほうを見て言うが俺を見てはいない。

セシルは索敵のランクが高いからおおよそ俺がどこにいるのかは分かるのだ。

扉を開けたり人垣を進むためにセシルが俺の前を歩きギルドへ向った。


ギルドは相変わらず活気が満ちている。

セシルと俺はとりあえずノーラさんのところへ向かう。


「ノーラさんこんにちは、本日はギルドマスターさんにお伺いに来ました」

「あら、えーと・・・セシルさん?だったかしらリュージさんは一緒ではないのですか?」

「ご主人様ならここにいらっしゃいます」

「?」


ノーラさんは頭にはてなを浮かべているようだがこの場で姿を現す訳にはいかないのでセシルがなんとか説得しギルドの二階の応接室っぽい部屋へ案内してもらう。


「・・・もういいかな?」

「リュージさん!?」


二階に上がり人の目が無くなった後、フードを外すと隠蔽が解除されノーラさんとセシルに俺の姿が見えるようになる。


「ノーラさんお久しぶりです」

「え、ええ・・・リュージさんも元気そうで何よりです」

「ええ、まあおかげさまで」


ノーラさんは突如現れた俺に最初驚いていたが隠蔽を使ったことに気づいたのか落ち着きを取り戻しこちらの身を案じてくれる。


「ギルドマスターはこちらでお待ちです」

「ありがとうございます」


ノーラさんが1つの扉の前で止まりノックをする。


「入りたまえ」

「失礼します」


返事が返ってきた後案内された部屋に入るとギルドマスターがソファーに腰掛け待っていた。


「待っていたよアストの英雄君」


ギルドマスターは口の端を片方だけ上げて軽く笑いながら俺たちを迎えた。

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