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その役職(な)は死神  作者: 亜里沙
第2奏 闇と光
28/30

闇との邂逅 2

11/6旧「闇との邂逅3」の話です。内容に変更は全くありません。

 クルスを包んでいた金色の光が消え、目を開けるとそこは先ほどまでいた場所と同じただ闇が広がっていた。

 だが、先ほどの場所とは圧倒的に違う。確かに大きな闇の力がそこに存在している。


「ここが、クロノスの本体・・・」


 その時クルスの体に闇の触手のようなものがからみついてきた


――異端の死神め!

――奴がいるから俺たちの呪いは解けないんだ!

――助けて・・・助けて!!私はまだ死にたくないの!!

――何が神様よ!あなたなんて人殺しと変わらないじゃない!

――何故だ・・・何故こいつみたいなのが生まれたんだ!


 それは自分が死神として生き始めた頃から毎日のように耳にした他の死神達からの言葉や人間達の叫び。


(くそ・・・・やめろ・・・・僕は・・・・・僕は・・・・・・・・!!)


 どんどんクルスの体に闇の触手がからみつく。


『ふふふふふ・・・どんな光でも闇はある。闇があるからこそ光があるのだ。お前達のやってきたことは所詮無駄なあがき。諦めろ。』


 頭に直接響く重く暗い声。そこには深い深い闇がこもっているように感じられた。


『呪いは成就する。我をここに封じた愚かな者達に同じ思いをさせてやる!!』


 声は狂ったように笑う。

 そうしている間にクルスの体がどんどん闇に浸食される。


(うるさい・・・・うるさい!僕は・・・・僕は!)


『さぁ、闇に身を委ねろ!さすれば苦痛も何も感じなくなるぞ』


(そうだ・・・このまま闇に呑まれてしまえば楽になれる・・・・だけど、それで良いのか・・・・?)


 薄れていく意識の中一人の少女が今にも泣き出しそうな顔で何かを叫んでいる。だが、クルスの耳にはその言葉が聞こえない。

 ただ、その顔が必死で、そしてどこかすがるようで・・・クルスの脳裏から離れない。







               ◆◆◆



 扉の外では舞が一人座っている。その様子をハデスはじっと見つめていた。


「クルス君・・・」


 その時、扉の隙間から少しずつ闇が出てき始めた。


(やはり、クルスは呑まれてしまったのか)


 扉の封印はどんどん弱まり、闇が少しずつだが確実にこちら側へ浸食しだしている。

 そして、その闇は扉の前で祈るように手を組んでいる舞の側まで近づいて来る。しかし、舞は一歩も動くことなく、ただ眼を閉じて祈り続けている。


(信じているのか?ただのヒトの娘が・・・)


 ついに闇が舞の体に触れ始める。けれども、舞は全く動かない。


「クルス君。負けないで。」


(そうだ・・・・我らが信じなくてどうする。あの子には重いモノを背をわせているというのに)


 ハデスもまた意識の中で祈る。

 少年の無事を・・・・

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