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その役職(な)は死神  作者: 亜里沙
第1奏 始まりの詩
16/30

prologue

ここから話は大きく動き出します(多分・・・)

 その部屋には入り口付近にのみロウソクが数本壁に掛かっているだけで、その奥は全てを呑み込むかのような闇があった。その闇の中にこの部屋の主はいた。

 本来、光があろうが無かろうが主には何の意味もなさない。ただ、主以外の者が困るから光が入り口付近にのみ置いてあるのだ。

 その時、ドアを叩く音とともに一人の女性が部屋に入ってきた。見た目は20代半ばくらいか。ロウソクの明かりに照らされ見える髪の色は漆黒だった。そして、その瞳もまた髪と同じ黒曜石のような艶のある色をしている。


「一応、部屋の主の許可を取ってから入ってもらいたいものだが、ペルセポーネ。」


 闇の中から苦笑を含んだ声が聞こえてくる。


「緊急の用だと聞きましたので。それに私を呼んだのは他ならぬあなた様でしょう、ハデス様。」


 感情を感じさせない無機質な声音。

 闇から深いため息が漏れる。


「お前を呼んだのは他でもない。クルスのことだよ。」


 「クルス」の名前が出ると、彼女の体が僅かに強ばる。


「最近、クルスが仕事を失敗しているそうだな。しかも、1回だけではない。2回、3回とだ。」


 彼女は何も答えない。だが、明らかにその顔には険しさが浮かんでいる。


「しかもその原因が人間の娘だと聞く。ペルセポーネ、クルスはの子供。このままではと同じ道を歩むことになりかねん。上官として、そして育ての親としてあの子をと同じ道を辿らせるな。」


 ペルセポーネは闇に向かって深く礼をとった。


「分かりました。必ず、何とかして見せます。」


 そして、彼女はそのまま部屋を後にした。







「ペルセポーネ様、これがアカシックレコードによる新しいリストです。」


 ペルセポーネはそれを受け取り、何気なくそのリストを眺める。

 主には何とかすると言ったが、実際何とかできる当てがあるわけではない。

 冥府の者が生者に手を出すことは固く禁じられている。故に、自分からクルスの害となる娘に対し何かすることはできない。

 クルスに対してはすでに再三にわたって注意等の指導を行っているが全く効果が見られない。


「どこで、育て方を間違えた・・・」


 漆黒の死神達の中で唯一の金色の死神と言うこともあり、色々と苦労をしているのは知っていたが、それでも・・・否、だからこそまじめに仕事をしていたはずだった。

 それなのに・・・・


「ん?」


 ふと、リストの中のある名前に目が留まる

 ペルセポーネはしばらくの間その名を食い入るように見つめていた。


「ペルセポーネ様?」


 様子のおかしい上官に心配した部下が彼女の名を呼ぶ。

 その言葉で我に返るとその死神にリストを渡した。


「分配の方はお前に任せる。だが、この名前の者だけは私がやるのでリストから外しておけ。」


 それだけ言うと、彼女は部下を残して部屋を出て行く。

 残された死神は上司が示した名前を見つめる。


「白木・・・舞?」






本文に書けなかったのでここでちょっとアカシックレコードによるリストについての補足説明・・・


 一番上の部署でアカシックレコードからその日死ぬ生き物のリストを作り、それをもとにどの死神にどの命を担当させるか分配を決め、各死神の使い魔にアカシックレコードを通して通達する、という仕組みなのです。

 アカシックレコードから直接指示が下されているわけではないと言うことだけ分かってもらえればOKのはず・・・

 まぁ、全て創作なので気にせず読んでいただければと思います。

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