後編
ただひたすら主人公の独白
髪や瞳の色以外でも僕と他の死神との間には大きな違いがあった。
死神にとって他の命を奪うことは自分自身の罪に対する懺悔だ。
けれど、僕はそれが嫌で嫌で仕方がなかった。
誰も殺したくない・・・
この鎌を振り下ろしたくない・・・
しかし、それは許されないことだった。
だから、僕は感情を捨てたんだ。
本来、死神に感情は必要ない。
感情があるから苦しい思いをする。
そう、何度も何度も自分に言い聞かせてきた。
そして、ようやく感情なんてモノを忘れた頃、僕は出会ってしまった。一人の少女に・・・
◆◆◆
その少女は死期が近いわけでも超人的な力を持っているわけでもない、普通の『人』。
少なくともアカシックレコードには何も書かれていない。
それなのに彼女は死神が見えた。死期を感じることができた。
普通、死神はよほど霊力が高いか死期が近い人間しか見ることができない。後者に至っては極希だ。
少女はそのどちらにも当てはまらない。
けれど、彼女は・・・舞は僕を見た。
「クルス君の色はきっとこれから死んでいくモノ達にとっての希望の光の色だね。」
そう優しい笑顔で笑いながら言った。
君は、知っているだろうか。
その言葉で僕がどれほど救われたのか。
その言葉がどれほど僕の胸を暖かく感じさせたのか。
初めて会ったあの日以来、舞は時々仕事場に現れ、邪魔をするようになった。
彼女は勝手に人の運命を変えてしまうのだ。
おかげで最近は上司に怒られてばかりいる。
それでも、僕は待ってしまう。彼女が来るのを・・・
運命を変えることはいけないことだと分かっていながら。
彼女に何かを期待してしまう。
それも、悪くない。
僕の使い魔クー曰く「お前の止まってた時間が舞ちゃんのおかげで動き出しただけだよ。」だそうだ。
僕は一体彼女に何を期待しているのだろうか。
クーに尋ねても「自分で考えろ!」の一点張りだ。
もしかしたら心の中で信じているのかもしれない。彼女の言葉を・・・・・・・・・
――金色の死神は異端の証
でも、本当は金色の死神は希望の証なのだと・・・・・・――