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prologue1

大昔書いた作品を改訂してupしました。

もしかしたら知っている人がいるかも・・・

 この世界には神も居なければ天使も居ない。もちろん、死神なんて以ての外!

 そう、思っていた。あの日までは・・・・



 うん。なんだろう、この人。

 私こと篠崎杏は現在病気のため入院中。

 記憶が正しいのならついさっきまで私の体はお医者様の手術を受けていたはずだ。この手術が成功すれば私の病気は治るらしい。もちろん、こうして生きているのだから手術は成功したはずなんだけど・・・

 口には酸素を体中にはなにやらいろいろな機械をつけて現在面会謝絶状態で横たわっている私の目の前に黒衣のフード付きマントを羽織り、なにやら身の丈ほどある物騒な鎌を持った少年が現れたのですよ。しかも、何もない場所から!

 だって、ここ、個室よ。しかも面会謝絶の部屋ですよ。どっから現れたのさ、少年!

「・・・・・意識を取り戻したのか。」

 うほぉ!やば!!なにこの低音ボイス。超鼻血ものなんだけど。やばい。萌え死にそう。うわぁー、フードからちょこっとしか見えないけど顔も結構かわいらしいな。なんて言うの?まだ、青年になりきれていない少年って感じ。もろ、私のココロにメガヒット!

「うぉう。この嬢ちゃん。オレ達の姿が見えてるんじゃねぇ?」

 また、どこからともなく金色の小鳥が現れて少年の肩に乗って話しかけている。

 というか、すごいなぁ。腹話術かな?本当に鳥さんがしゃべっているみたい。

「失礼な!オレ様はどこら辺の鳥とは違うんだぜ。もちろん、しゃべるに決まってるだろ。」 へぇー、おもしろいなぁ。あれ?なんか、今、心読まれた?

「くだらないおしゃべりはここまでだ。」

 それまで無言だった少年が突然話し出した。

 うわぁー、やっぱ鼻血モンだ。カメラがあったら絶対に撮ったのに。

「無駄だ。そんなものでは僕らの姿は写せない。」

 どういう事?

「僕は死神。それの命を刈に来た。」

 ・・・・・・・・・・・・・へ?死神ですと。そんなもの、この科学が発達した現代にいるわけないじゃん。だいじょうぶかなぁ、この人。

 ていうか、人を指さすなんてしつけがなってないぞ!

「信じる、信じないはどうでもいい。僕は自分の仕事をするだけだ。」

 よく、小説とかで「温度を感じない声音」なんて表現をよく見るけど実際はそんな表現で表せないよ!なに、この感情がこもってないって言うか熱がないって言うかとにかく静かな声は!

 うわぁーい、なんか少年が持っている鎌を振り上げてくるよ。

 え?何これ。私、せっかく手術してもらったのに死ぬわけ?そんなの嫌だよ。

「いいや。死ぬのは君じゃない。」

 それって、どういう事なの?

 少年は私の問いには答えずに鎌を振るった。

 薄れていく意識の中、窓から入ってくる月明かりに照らされた金色の死神が私を見つめているのが見えた。

 ああ、なんて綺麗なんだろう・・・・





「全く、人外はオレ等の管轄者ねえっつうの。」

 闇の色が薄まりつつある時間、とあるビルの屋上で金色の小鳥が同じく金色の瞳と髪を持つ少年に向かって話しかけている。

 その少年の顔には一切感情が浮かんでいない。まるで人形のように自身と同じ色の小鳥を見つめている。

「なんだよ、この腫瘍の魂を捕って来いって。だいたい奴らに魂なんかあるのかよ!まぁ、あったから刈り取れたけど。」

 少年は小鳥から視線を外し、ただ遠くを見つめる。

「人を殺すよりはマシだ。」

 小さく呟かれた何の温度もない声。その声は小鳥にも届いていた。

 小鳥は小さくため息をつくと、少年の肩に乗る。

 しばらくの静寂の後、ふと金色の小鳥が天空を見つめる。

「おい、次の仕事が来たみたいだぜ。」

 天空を睨みつけるように見つめながら報告する小鳥を一瞥すると少年は立ち上がった。

 日が昇りはじめ、それをまぶしそうに見つめる。

「クルス?」

 それは少年を他のモノたちと識別するための記号。

「問題ない。行くぞ、クー。」

 クーと呼ばれた金色の小鳥は怪訝そうな顔をしたが何も言わなかった。

 一人と一羽はそのままビルから飛び降りる。何の躊躇もなく。

 重力に従い、少なくとも少年の体は地面にたたきつけられるはずであった。

 しかし、その体は地面にたたきつけられることなく、まるでそこに誰もいなかったが如く闇に消えた。








「あれ?今、人がいたような・・・」

 ランニングウェアを着た少女はもう一度人影が見えた屋上を見る。しかし、そこには誰もいなかった。

「気のせいかな?」

 首をかしげると、そのままランニングの続きを始めた。



― 予感がこの時あった。何かが始まる予感が・・・・ ―

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