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納屋の中


少し邪悪な内容なので、苦手な方もいるかもしれません…


まぁ何となくそういう話なんだなと思いながら読めば、平気だと思います


この街は汚い。


だからこそ私と家族はここに隠れている。


隠れやすいからだ。


今日からこの納屋の中で、隠れ潜みながら暮らすことにする。



××月○○日


この街に来てから何年か経った。私の身体にも老いが見え始めている。


息子や妻などが私のために、食糧を色々なところから失敬してくれる。


しかし昨日、息子は食糧を調達しに行ったきり帰ってこなかった。


『狩り』に遭ったのかもしれない。近所に住む我らの仲間も狩られてしまっていた。


人とは愚かな生き物だ。仲間同士で殺し合うし、生き物を残酷に殺す。


怒りはわなわなと身体を伝い、手足を震えさせる。


こんな街に居てはいけない。


ここは食糧があるし、隠れる場所があって外より安全だ。


しかし大きなリスクが伴う。


奴らに見つかれば殺されてしまうだろう。


その前に楽して食糧を手に入れようとここに来たのが間違いだったかもしれない。


私は決心して納屋の外に出ることにした。


外で妻を待とう。




そう思って立ち上がった瞬間、首筋に硬い物が食い込んだ。


もがいたら突き刺さってしまいそうだ。


しかし逃げない訳にはいかない。

精一杯もがいた。


しかし、硬い物は余計に強く食い込むだけだ。


虚しくもがく私の目の前に、何かが立ちはだかった。


それは5歳くらいの男の子で、私を見て笑っている。


子供とは残酷なモノだ。苦しそうにしている私に嘲笑を浴びせる。


「パパ見てよ!ジョンが捕まえたよ!」


子供が親を呼ぶ。


すぐに子供の父親がやってきた。


そいつは私を見て不快そうな表情を浮かべると、やけに明るい声で言った。


「ジョン!よくやったなぁ!その溝鼠野郎にはほとほと困らされてたんだ」


私の後ろの硬い物が少し緩んで、


なー


というくぐもった声がした。


緩んだ間に逃げたかったのだが、もうすでに首には猫の牙が突き刺さっている。


見ているしかない。


「パパ!もちろんこいつは殺すんだよね?見たいなぁ〜」


子供はニヤニヤしながら言った。

父親はオーバーすぎるリアクションをして言った。


「もちろんさ!いい気味だよ!さぁ今回はどうしようかな…」


すると父親は猫から私をもぎ取って、どこかに連れて行った。



それから何が起こったか、私には知る由もない。


ただ、明日、無惨な鼠の死骸がどこかに転がっているのは確かだ。








頑張って比較的黒い話を投稿してみました


色んなジャンルに挑戦すべきですね


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