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自由騎士アーウィンの物語 第一章「アルムスの末裔と幽霊騒ぎ 後編」


剥奪された騎士資格を取り戻す為、アルムスの村にある秘宝を持ち替える使命を受けた元騎士アーウィン。


 宿泊していた宿屋で起こった殺人事件のせいで足止めを食らったアーウィン達は、おざなりな捜査をする衛兵達とは別に、自分達で事件を解決する為に動き出した。





「私達がこの宿屋を出ちゃいけない……それは分かる。だが、足止めしたからには、さっさと真実を調べてもらいたいんだ!」


 アーウィンは荒々しく、拳をカウンターに叩き付けた。怒りに満ちた眼差し――――――視線の先に油紙でもあれば、火がつくのではないかと思わせるほどだ――――――で眼前の人物を串刺しにする。

 だが、アーウィンと向き合っている、その男は怯まなかった。


「我々衛兵隊はな、こぞって街道の警備に当たらなければならんのだ。このような事件に関わりあっている暇はない」

「街道警備? ロザミアの衛兵が、なぜ街道警備なんかするのだ。衛兵達の管轄は、街の中だけのはずだろう」


 アーウィンは尋ねたが男は取り合おうともしなかった。


「とにかく私が良いと言うまで、この宿を出てはいかん。いいな」


 言い捨てると、男は踵を返して二階に上がっていった。その後ろから背中を蹴飛ばしてやりたいという、あまり騎士らしからぬ衝動に駆られたが、アーウィンは何とか思いとどまった。

 二階に上がっていった衛兵は、ケルビンが泊まっていた部屋へ向かっていた。

 部屋の前には、数人の泊り客達が見物に来ている。それを強引に押しのけて、衛兵は中に入って行った。

 衛兵に少し遅れて二階にやってきたアーウィンは、野次馬に混じっているサレンとマイラの姿を見つけた。


「やっぱり駄目だった。しばらく、ここに足止めを食らう事になりそうだ」


 近づいていって、アーウィンはサレンとマイラに声をかけた。


「まあ、あの衛兵の働きぶりに期待するとしよう」


 悔しそうなアーウィンを慰めるように言うと、サレンは部屋を覗き込んだ。

 すでに死体は運び出されているが、現場はそのまま保存されている。それを確認するだけ確認すると、なんと衛兵はすぐに部屋の外に出てきたのだ。

 まったく何も調べようとせずに、である。

 そして野次馬達が見守る中、衛兵は懐から巻物(スクロール)を取り出すと秘術錠(アーケイン・ロック)を扉にかけた。


「此処を捜索するのは三日ほど後になるだろう。何しろ、我々衛兵隊は、街道の警備で忙しいのでな」


 何が忙しいものか……とアーウィンは衛兵の言葉に小さく舌打ちした。それに気づかぬ振りをして、衛兵はふとマイラに向き直った。


「そうそう、そこの半妖精(ハーフエルフ)。おまえだったな、死体を見つけたというのは」

「そうだけど?」


 衛兵の横柄な口調に、呼ばれたマイラよりも、横にいるアーウィンの方が緊張して身構えた。


「給士娘の話では、この部屋から幽霊が出て行ったとの事だが……お前がこの部屋には入れたと言うことは、扉の鍵は開いていたのか?」

「もちろん。決まってるでしょ」


 けろりとして、マイラが答えた。実は、鍵は掛かっていた。彼女はそれをピンで外して、部屋に入ったのだ。

 それを知られてしまえば、マイラへの容疑は決定的なものになってしまう。何かまずい事を言い出すのではないかと、マイラの横にいるサレンは、ハラハラして野次馬に混じっているパーミルを見た。幸い、パーミルは白い顔をうつむきかげんに伏せ、黙ったままであった。


「ふむ。確かに鍵穴には、何かでこじ開けたような跡があるが……」


 考え込んでいるような表情を作って、衛兵は言った。

 思わずマイラは天を仰いだ。よりにもよって、こんな無能者に、自分の不手際を見つけられるとは……! 盗賊(ローグ)としての自尊心を傷つけられて、マイラは憮然となった。

 マイラの内心も知らず、衛兵は何やら思案を続けるようだったが、


「では、私は戻る。くれぐれも、この宿を出てはならんぞ」


 そういい捨てて、すたすたと現場を去っていった。そして、後には何処か間の抜けたような沈黙だけが残されたのである。



 事件を直ちに捜査しないうえ、足止めを食らわさせた衛兵の不熱心さに、泊り客の不満は爆発する寸前だった。

 それをなだめる為か、宿屋の若い主人は腕を振るって、昼食に豚の丸焼きやら鹿のローストやらを、泊り客に無料で奮発した。

 食べ物で誤魔化すつもり? とマイラはぼやいたが、足止めは主人のせいではないのだし、わざわざご馳走してくれるというのを断る理由もない。アーウィン達三人と、彼らに誘われたパーミルとは宿屋の主人の好意を受けることにして、先ほどから一階のテーブルに陣取っていた。


「それにしても、このままじゃあ、何時までここにいなくちゃならないのかわからないよ。此処は一つ、僕達の手で犯人を見つけて見せるべきだと思うんだ」


 鹿肉を皿に訳ながらサレンが言った。


「ねえ、アーウィン。あんたが、ダントーイン帝国の騎士だって名乗り出るわけにはいかないの? 身元がはっきりしてるんなら、あの衛兵だって、外に出るのを許してくれるかもよ」

「それは……できない」


 アーウィンは黙然と答えた。今のアーウィンが騎士だと名乗れば、それは身分の詐称である。少なくとも、彼がアルムスの村に赴き、村の秘宝を皇帝陛下の下に持ち帰るまでは……。


「足止めを食らって困っているのは、皆同じなんだ。僕達が捜査するといえば、他の泊り客だって、犯人を突き止めるのに協力してくれると思うよ」


 場をとりなすように、サレンが言った。


「犯人が、この宿屋に……」


 黒い瞳に脅えの色を浮かべて、パーミルが周囲を見回した。


「ケルビンを殺したのが、幽霊の仕業じゃないとすればね」


 マイラが、面白くもなさそうな口調で言った。


「それに、調べるというけどな、サレン。ケルビンが泊まっていた部屋には、秘術呪文(アーケイン・マジック)の鍵がかけられてるんだぞ」


 アーウィンが言った。するとサレンは、柔らかい金髪を揺らして悪戯っぽく笑った。


秘術呪文(アーケイン・マジック)で閉ざされた扉は、秘術呪文(アーケイン・マジック)であけることが出来るのさ。誰かに見つかると、ちょっとまずいけどね」


 魔術師(ウィザード)は自信ありげに言った。


「そういうこと。あたしとサレンで、ちょっと例の部屋を調べてくるよ。客達が二階に戻らないうちにね」

「おいおい……」


 心配そうなアーウィンに、マイラは片目をつぶって見せた。


「大丈夫。ヘマはしないって」

「鍵穴に傷痕を残すようなヘマはね」


 サレンがからかうと、マイラはすねるような表情を作った。


「……まあ、とにかく行ってくるよ」


 そう言うと、マイラはさりげなく立ち上がり、客達の注意が逸れている時を見計らって、二階へと上がっていった。じゃあ、と言葉を残して、サレンがそれに続く。

 後には、アーウィンとパーミルの二人が残された。

 昨夜、出会ったばかりの二人である。

 なんとなくぎこちない沈黙が落ちた。


「何かわかるといいんだが……」


 パーミルを気詰まりに感じさせてはと、アーウィンが取ってつけたように言った。


「そうですね」


 ちょっと作り笑いめいた微笑で、パーミルが答える。


「アーウィンさんも、アルムスの村に行かれるんでしたよね」

「ああ……」


 まだ、パーミルに自分の使命について明かすつもりはなかったので、アーウィンは短く答えた。そして、私のことはアーウィンでいいよ、と付け加えた。


「昨日言った様に、私も村に戻るところなんですよ」

「そうだったな。じゃあ、あのアルムス達の末裔と言うわけなんだね、貴方は……」

「あなた、だなんて。私の方が、どう見てもアーウィン……さんよりも年下なのに」


 パーミルは、恥ずかしそうに笑った。

 その笑顔を見たアーウィンは、奇妙な事だが、ふと彼女の旅にも何か深い事情があるような気がした。


「旅人達の街道を作った人々の偉大さは、吟遊詩人(バード)達が語っている事だからね。その子孫達も、やっぱり敬意を払うに値すると思う」

「私の祖先たちが、偉大な人々だと……?」


 パーミルは、なぜか複雑な表情を見せた。その理由がわからないまま、アーウィンは彼女を励ますように頷いた。


「ああ、彼らがいたからこそ、カルラディアは東西の交流ができたんだ。それに、このロザミアだって、街道が出来て初めて興った国なんだから」

「ええ……」


 パーミルは微笑んだ。


「あ。あの娘は……今朝、幽霊を見たといってた給士の人だわ」


 パーミルの視線は、アーウィンの後ろの方に向けられていた。それを追う様に、アーウィンは顔を振り向かせた。

 そして彼は、ちょうど暇そうにたっているその給士娘に手を上げて、自分達のテーブルに呼んだ。


「サレン達ばかりに苦労はかけられないからね」


 アーウィンはパーミルに言った。


「ああ、ちょっと時間を取らせてすまないんだが……君が見た幽霊の話というのを、詳しく聞かせてくれるかな?」


 やってきた給士娘に、アーウィンは質問を始めたのだった。




「あの二人、どんな話をしているんだろうね」


 殺されたケルビンの部屋の前に着くと、マイラはくすっと笑った。


「アーウィンは、不器用なくせに気を使うからねえ……」


 サレンも笑ったが、すぐに表情を引き締めると、自分の部屋から取ってきた魔術師の(ウィザード・スタッフ)を構えた。

 美しい旋律にも似た秘術魔術の詠唱が、彼の薄い唇から流れ始める。

 ほどなくして、青白い光が一瞬だけ扉を包み、そして消えた。


開錠(ノック)秘術魔法(アーケイン・マジック)で開いたよ」


 ふうっと息をついて、サレンがいった。


「ごくろうさま」


 マイラは言って、そっと扉を押し開けた。それから二人は周囲に誰もいないことを確認して、部屋の中に入っていった。

 此処から先は、盗賊(ローグ)であるマイラの仕事だった。彼女は屈みこんで、死体のあった場所を調べたり、部屋の隅に置かれた荷物の袋を改め始めた。


「僕は、もう戻っていようかな」


 マイラの捜索振りを所在無さげに眺めながら、サレンが呟いた。


「だめだめ。あんたには、後で扉に魔法の(アーケイン・ロック)の呪文をかけてもらわないと」


 荷物の中身を調べながら答えたマイラが、ふとけげんそうに手を止めた。


「これは……」


 彼女が取り出したのは、白っぽい液体を満たした小さなガラス瓶だった。封は切られていない。


「それがどうかしたのかい、マイラ」

「ちょっと、心当たりがあってね」


 少し考えてから、マイラは瓶の封を破った。そして栓を開けて、彼女は小瓶を鼻先に持っていった。

 目を閉じると、マイラはまるで香水の配合を見る調香師のように、掌で瓶の口元を仰ぎながら匂いを嗅いだ。


「……間違いないね」


 ゆっくりと目を開けて、彼女は言った。その琥珀色の瞳が、鋭く光っている。


「これは毒薬だよ。それもかなり強い、ね。暗殺者(アサシン)達がよく使うやつで、お酒なんかに混ぜて飲ませる毒なんだけど……

「そんな毒を、どうしてケルビンがもっていたんだろう?」


 マイラが疑問に思ったのも、まさにその点なのだった。

 彼女は小瓶を袋に戻すと、さらに入念に部屋を調べ始めた。一通り調べ終えて、マイラは首をかしげた。


「どうかしたのかい」

「ないのよ。……金目の物が。銀貨が五十枚ほどもってただけで」

「おいお、マイラ。泥棒するつもりかい」

「そうじゃないのよ」


 マイラは舌打ちして、サレンを軽く睨んだ。


「旅をするんだったら、いくら何でももう少し持ってて当然じゃない。宝石とか、貴金属とかの形でさ。それが見当たらないのよ」

「ケルビンが身に着けてたんじゃないのかい」

「違うと思う。死体が運び出された時には、そういった物は何も身に着けてなかったはずだ物。だいたいね、サレン。あんただったら、指輪や首飾りしたままで寝る?」

「言われてみれば、確かにそうだけど……。じゃあ、マイラ。たぶん……」

「そうよ。あたしが言いたいのも、たぶんサレンと同じ事よ」


 そう言って、マイラは注意深く、部屋を元通りの様子に戻し始めた。

 それを終えてから、サレンとマイラは部屋を後にしたのだった。もちろん、扉に魔法の(アーケン・ロック)をかけておくことを忘れずに……。



 サレンとマイラが一階に戻ってきてから、アーウィン達四人は、宿屋の人々や泊り客達に、事件の事を聞いて廻った。

 そして夕方ごろになって、彼らは隅のテーブルに固まって座り、それぞれが得た情報を交換し始めた。

 外出もかなわず、他に楽しみもないためだろうか。一階の酒場には早くも泊り客のほとんどが詰めかけ、酒や早めの夕食を注文し始めている。

 だが、やはり不安なのだろう。彼らの雰囲気は、どこか落ち着かないものだった。幽霊にせよ、人にせよ、ケルビンを殺した者は、いまだこの『イン・シルバーフォックス』にいるのである。


「……というわけで、ケルビンは殺される三日前から、この宿に泊まっていたそうだ。その頃から幽霊の事について、色々主人に尋ねていたらしい。其方は何かわかったかい?」


 そんな客達の様子を見回してから、アーウィンは中間達に尋ねた。


「いろいろとね」


 声を潜めて、半妖精(ハーフエルフ)のマイラが言った。


「ケルビンの荷物を調べたら、毒薬が見つかったのよ。暗殺者達(アサシン)達の使うやつがね」

「ケルビンが、暗殺者(アサシン)だとでもいうのかい」

「まさか。毒が欲しいんなら盗賊ギルドで買えばいい。闇市っていうのもあるしね。気になるのは、ケルビンが何の為に、そんな物を持っていたかってことよ」

「元商人と毒薬……確かに妙な取り合わせだな」


 アーウィンが言った。


「まあ、この事件とは関係がないのかもしれないけどね」


 慎重に、マイラは付け加えた。そして彼女に代わって、魔術師(ウィザード)のサレンが言葉を引き継いだ。


「それから、ケルビンは旅の途中なのに、金目の物を持ってなかったんだ。普通なら、宝石なんかを持ってるんはずなんだけど」

「なるほど。と言うことは……」

「そう。奪われたんだと考えるのが、一番自然じゃないの。つまり、ケルビンを殺したのは人間よ。幽霊が、お金を欲しがるはずがないもんね」

「しかし、この宿の給士娘は、確かに幽霊らしき姿を見てるんだ。部屋を出て、廊下を歩く金髪の女性の後姿を」


 それはアーウィンが先ほど、パーミルと二人でいたときに仕入れた情報である。長い金髪を持つ女性は、泊り客の中にはいない、それは確認済みであった。


「あの時の娘さんの脅えようは、普通じゃありませんでしたよ」


 遠慮がちに、パーミルが言い添えた。昨日見た夢のことを話そうかと一瞬迷ったが、彼女は黙っておく事にした。


「たしかに……あの部屋の鍵は、確かに閉まっていた。あれをあけたのはマイラマイラなんだから。鍵を開けることなく部屋に出入りしたとなれば、やっぱり幽霊の仕業じゃないのか」


 なんとなく薄ら寒そうな表情で、アーウィンが言った。


「まあ、他にも方法がないわけじゃないけどね」

「と言うと……?」


 小首をかしげたパーミルに、マイラはうなずきかけた。


「簡単な事よ。合鍵を使って出入りすればいい」

「鍵? でも、鍵は部屋の中にいるケルビンさんが持ってて……あ!」


 納得した様子のパーミルを見て、マイラは得意げに微笑んだ。


「そう。鍵は一つきりとは限らない。予備の合鍵を持っている人間がいたって不思議はないでしょ」

盗賊(ローグ)ってやつは、鍵といえばいつも、七つ道具でこじ開けることしか考えてないと思ってたよ」


 おかしそうに言ったサレンは、ふと真顔になって、


「予備の鍵を持っているといえば、まず考えられるのが……」

「そういうことね」


 マイラはちらりとカウンターの奥をちらりと見た。

 彼女の視線の先では、主人が客とにこやかに話をしながら動き回っている。


「なるほど。しかしなあ……」


 アーウィンは腕を組んだ。


「予備の鍵を使って泊り客を殺したりしたりすれば、真っ先に疑われるのは主人じゃないか。そんな馬鹿なことをするかな」


 アーウィンが疑問を口にした。それに賛成するように、パーミルも小さく頷いている。


「幽霊の仕業に見せかけようとしたんじゃないの、きっと。ありそうな話じゃない。この店は暇そうだし、借金でも抱えてるのかもよ」

「でも、確かに幽霊を見た人がいるのですよ」


 パーミルがごく控えめに反論する。


「そうなんだよね……」


 マイラは黙り込んだ。カルラディアには不死の怪物(アンデッド)が実在する世界である。本当に幽霊がいたとしても、なんら不思議はないのだ。誰かが幽霊を操ってケルビンを殺し、金品を盗ませたということも考えられるのである。


「まだ、結論を出すには早すぎるよ。もう少し調べてみないと」


 サレンが言った。

 衛兵の応対から考えると、彼らが解放されるのは何時の事なのか、知れたものではない。アーウィンは、一日でも早くアルムスの村に着きたくて、かなり焦っていることだろう。とりあえず、手がかりがある限り、サレンは衛兵に代わって事件を調べるつもりでいる。


「それにしても、僕はどうも気になるんだ。ケルビンが持っていた、あの毒薬がね……」

暗殺者(アサシン)の使う猛毒よ。ケルビンは誰かを殺すつもりだったのかしらね」

「ケルビンが殺された事とは、関係がないかもしれないかもしれないんだろう。まあ、少なくともあの毒は、人の生命を奪うための物なんだろう……」


 何気ないアーウィンの呟きを、ふとサレンは聞きとがめた。


「人の生命を奪う物……」


 サレンはなんとなく、漠然とした事実の姿を垣間見たように思った。


「なあ、アーウィン。確か、ケルビンは殺される三日前にこの宿を訪れてるんだったね。彼は幽霊を見たのだろうか……」

「さあ、ありえることだろうけど……それがどうかしたのか、サレン」


 アーウィンの問いに、サレンは曖昧な笑みを浮かべた。


「いや。ちゃんとしたことがわかるまでは、言わない事にするよ。もし間違ってたら恥ずかしいからね……」



 アーウィン達は夕食を済ませると、サレンを残して二階に上がって行った。

 それを見送って立ち上がったサレンは、意外な人物が入ってくるのを見た。


(法の神グラックスよ。ご加護をありがとうございます)


 サレンは心の中で自身が信仰する神に感謝を捧げた。今日、客達に足止めを指示して立ち去ったあの衛兵が、また戻ってきたのだ。


「すいません。ちょっと頼みたい事があるんです」


 衛兵に近づいていって、サレンは声をかけた。


「何だ、君は?」


 返ってきたのは、うさんくさげ声と視線だった。


「この宿屋に出る幽霊っていうのが、どうしても気になるんですよ。何でも、先代の主人の頃の、泊り客の幽霊だとか……。そこで、貴方に立ち会っていただいて、此処の宿帳を調べたいんです」


 無言でサレンを見ていた衛兵は、ふと彼の胸に下げられた聖印に目を留めた。


「グラックスの司祭殿か」

「ええ。なんとかお願いしますよ」


 衛兵は鼻を鳴らした。グラックスの信者なら、書物と睨めっこしてるのがお似合いだ! そう言いたげであった。

 しかし、さすがにサレンの頼みを断りはしなかった。宿帳をしらべるくらい、たいした手間でもないからだ。それに、ここまで下手に出られては、断り辛いということもある。

 と言うわけで、サレンは衛兵と一緒にカウンターまで歩いていって、その奥で働いている主人を呼んだ。


「ちょっと、昔の宿帳を見せて欲しいんですが……」

「宿帳を?」


 サレンの言葉に、主人は怪訝そうな顔を見せた。


「ええ。此処の娘さんの見た幽霊っていうのが、どうしても気になるんですよ。だから、調べてみたいと思いましてね」


 サレン一人が言ったなら、恐らく主人は断っただろう。しかし、彼の横には衛兵がいる。

 ちょっと待ってください、といって、主人は奥の部屋に引っ込んだ。それからしばらくして、彼は両手に羊皮紙の束を抱えて戻ってきた。


「どうぞ、ご覧になってください」

「では、ちょっとお借りしますよ」


 主人から宿帳を受け取り、サレンはカウンターの隅に腰を下ろした。古くなった羊皮紙を傷めないように、そっと頁を捲る。

 衛兵もサレンの隣に座って、一応宿帳を覗き込んでいる。だが、調べ物に没頭しているサレンは、やがて衛兵の存在すら忘れていた。


(ここにあるはずなんだ。ロザミアに帰る場所のあるケルビンが、あえてこの宿屋に泊まった理由が……)


 はたして、サレンは求めているものを見つけた。

 十年前の泊り客の名簿に、ケルビンの名前が記されていたのである。


(このときも、ケルビンはわざわざ宿に泊まっているんだ)


 そして、そのすぐ横には女文字で、ソフィアという名前が……。

 それは、幽霊になったという女性の名前である。今、幽霊となってこの宿に出没すると言う事は、彼女はもう死んでいるのだろうか?

 サレンは一心に考え込んだ。

 殺されたケルビンと、このソフィアと言う女性とは、なんらかの関係があったのだろうか。もしそうだとしたら、ケルビンはどういう目的で、わざわざこの宿にやってきたのだろうか。


(幽霊となったソフィアさんに、会いに来たんじゃないだろうか)


 ふと、サレンは思った。


(だとしたら、あの毒は……)


 サレンの頭の中で、一つの推測が形作られてゆく。真相の全てがわかったわけではない。だが、ケルビンが何の為にあの毒薬を持っていたのかについては、見当がついたような気がする。

 サレンは宿帳から顔を上げて、衛兵に言った。


「……もう一つだけ、頼みたい事ができました」

「何か?」

衛兵は憮然としたが、次の瞬間には喜んで協力してくれるであろうことを、サレンは確信していた。


「労せずして手柄を立てられる、良い機会ですよ。僕は考えたんですよ。つまり……」


 サレンが推測を語って聞かせると、衛兵は目の色を変えて外に飛び出して行った。


(ソフィアと言う女性の死には、きっとケルビンが関わっているにちがいない。あの衛兵に過去の記録を調べてもらえれば、何かわかるはずだ……)


 衛兵が、望みどおりの真実を運んできてくれる事を、サレンは神に祈った。

 法を守護するグラックスこそが、彼の祈るべき神なのであった。



 ちょうどサレンが宿帳を調べ終わった頃。

 マイラは姿隠し(インビジビリディ)の呪文を使って、カウンターの奥にある厨房に忍び込んだ。

 客の目には触れない場所であるせいか、其処は意外なほど散らかっていた。洗ってもいないまな板や包丁が、調理机の上に雑然と置かれている。大きな鉄釜のふちには、乾いたスープがこびりついている。何種類もの料理の発する臭いが交じり合って、マイラの嗅覚を刺激した。

 厨房には誰もいなかった。料理人も兼ねている主人は今、カウンターに出て客達の相手をしている所なのだ。厨房の奥の方には、さらに主人の私室へと通じる扉があった。

 其方に歩み寄ろうとしたマイラは、ふと調理机の上に目をやった。

 其処には、解体された鹿の脚が、これはさすがに目立たないように置かれていた。

 それを見て、マイラは激しく顔をしかめた。無残な物を見て、嫌悪を覚えたからではない。

 思い出したのだ。ダソミアの森での忌まわしい出来事を。

 取替え子の半妖精(ハーフエルフ)として、両親にさえも忌み嫌われる日々に嫌気がさし、マイラは生まれ育った帝都ギランを飛び出した。そして、自分を受け入れてくれる場所を求めて、森妖精(エルフ)達が数多く住むダソミアの森へと旅立った。森妖精(エルフ)達ならば、あるいは自分を同胞として認めてくれるかもしれない……そう考えたのである。

 旅の途中で、マイラは一人の同行者が出来た。冒険者風の格好をした青年である。妹のマーリを除いては、マイラに親切にしてくれた、ただ一人の人間だった。わざわざ寄り道をして、彼はマイラをダソミアの森まで送り届けてくれたのである。

 長い旅の末に、ようやく二人はダソミアの森の端までたどり着いた。その日は、其処まで来たところで太陽が沈んだので、森の中で野営をすることにした。

 屋外で夜を明かす時はいつも、二人同時に眠る事はなかった。森にすむ魔獣や妖魔の襲撃に備えるためだ。だが、旅の疲れが溜まっていたせいか、見張りに立っていたマイラの連れが、つい眠り込んでしまったのである。

 何者かに寝込みを襲われることは、幸いにしてなかった。しかし、焚いていた火が風に煽られ、手がつけられないほどに大きくなってしまったのだ。慌てて目を覚ました時には、すでに遅かった。炎は闇の中で踊り狂い、周囲の木々を飲み込んで、ますます激しく燃え上がった。

 その時十数人の森妖精(エルフ)達が、風のように現れたのだ。

 彼らは精霊魔法(スピリット・マジック)によって水の精霊(ウィンディーネ)の力を借り、呆然とする二人には目をくれず、必死になって炎を消し止めた。そして、何とか炎を鎮めた後で、初めて森妖精(エルフ)達は二人に向き直った。

 彼らの瞳には、凄まじいほどの憎悪が宿っていた。


「すまない。でも、わざとしたことじゃないんだ……」


 二人を取り囲み、じりじりと近づいてくる森妖精(エルフ)達に、マイラの連れの冒険者の声は尻すぼみになった。


「森を荒らす侵入者……死ね」


 後になってマイラが知ったことだが、二人が遭遇した森妖精(エルフ)の部族は、森を荒らす侵入者や魔獣などを捕えると切り刻んで森の糧とするのを習わしとしていたのである。

 マイラの同行者は弁解すら許されず、文字通り細切れにされて殺された。

 絶叫が上がり、血しぶきがほとばしった。大切な仲間がなぶり殺しにされるのを見ながら、マイラは恐怖のあまり、身動き一つ出来なかった。切り刻まれた獣などを見ると、今でもあの時の光景を連想してしまうほどだ。

 体に流れる森妖精(エルフ)の血に免じてかどうか、マイラは危害を加えられなかった。しかし、森妖精(エルフ)達と共に暮らすなど、到底不可能だと彼女は思い知らされた。

 仲間の復讐を考えたこともあったが、結局マイラは帝都ギランに戻る事にした。そして、悲しみと絶望を少しずつ癒しながら、再び人間達に混じって暮らし始めた。自分を受け入れてくれる場所を探し続け、そして彼女はようやくそれを見つけた。

 盗賊ギルドである。

 器用さと俊敏さに恵まれた半妖精(ハーフエルフ)の彼女は、盗賊達に混じって生きているうち、彼らの持つしたたかな判断力と冷静さを身につけていった。

 しかし、切り刻まれた獣などを目にした時だけは、マイラは別人ともいえるほど性格が変わってしまうのだ。恐ろしく高慢で、病的なほど潔癖になってしまうのである。日頃は嫌悪し、押さえつけている森妖精(エルフ)としての性が顔を覗かせるのだろうか。

 今のマイラはまさしく、優れた盗賊(ローグ)としての観察力を失っている状態だった。

 調理台の上には、血にまみれた包丁が無造作に置かれていた。獣肉を料理した時の血なのだろうと、マイラは気にも留めなかった。そして、彼女は私室への扉に向かった。

 七つ道具を取り出し、鍵をこじ開け始める。

 いまひとつ作業に集中できない。こんな汚い部屋に留まる事が、今のマイラには耐え難かった。息をするたびに、むかむかと吐き気がこみ上げてくる。一呼吸ごとに、胸に黴が生えて行くような気がした。

 幾分震える手で、ようやくマイラは鍵を外す事ができた。

 主人の私室に入ってみると、其処は厨房と同じく乱雑に散らかっていた。いくら独り身の男の部屋だと言っても、酷すぎるほどだ。


「汚い」


 自分の漏らした呟きに、マイラは気づいていなかった。

 物音も高く、マイラは部屋を調べ始めた。宿の主人に見つかっては、などと言う考えは思いつきもしなかった。


(なぜだろう……探せば探すほど、部屋が汚くなっていく)


 片付けているのではないのだから、当然である。むろん、こんな状態で手がかりなど見つけられるはずはない。舌打ちしたマイラは、再び激しい吐き気に襲われた。

 片手で口を押さえて、マイラは厨房の方に走っていった。慌てて閉めた私室の扉がばたんと大きな音をたてたが、気に留めている余裕はなかった。

 調理台の近くに行くと、マイラはその下にあった屑入れに、先ほど胃に収めた夕食を全て吐いてしまった。

 吐くものがなくなって、咳き込みながら顔を上げようとしたマイラは、、ふと屑入れの其処に光る金色の物を見つけた。

 血と汚物にまみれたそれを、マイラが顔をしかめつつ引っ張り出そうとした時、ランタンを手にした部屋の主が、血相を変えて厨房に飛び込んできた。


「なんだおまえは!この泥棒女め!」


 怒鳴る主人の鼻先にマイラは手にした物を突きつけた。


「笑わせるんじゃないよ。あたしが泥棒なら、お前は人殺しじゃないか」


 マイラは冷たく言い放った。


「な、何だと……」


 主人は鼻白んだ。マイラが見つけたのは、長い金髪のカツラであった。それをぽいっと投げ捨てて、彼女は唇を歪めた。


「これをかぶって、幽霊に変装したんだろ。あんたの体型じゃ、後ろから見れば女に見えないこともない」

「そんな物証拠になるか!だいたいおまえは、何の権利があって俺の部屋を荒らしてるんだ!」


 主人は喚いた。その声を聞きつけて、厨房の方から四人の人間がやってきた。

 アーウィンとサレンとパーミル、そしてあの衛兵だった。


「観念するんだな。店の経営が苦しくて、お前がかなり借金してる事はわかっているんだ」


 厳しく叩き付ける様に、アーウィンが言った。


「くだらん。強引なでっちあげだ……」


 と、主人がせせら笑ったその時。

 彼の手にしたランタンの炎が、風もないのに激しく揺らめいた。そしてあたかも何物科の吐息に吹かれたかのように、フッと消えてしまった。


「何かいる……」


 パーミルは囁いて、ぞくりと身を震わせた。アーウィンもその気配を感じ、緊張して身構える。

 闇の中、青白い光が浮かび上がった。それは徐々に大きさを増し、おぼろげな人の形を散りつつあった。


「……ケルビン!」


 宙に浮かんだ、青白く透き通るその人影は、まさに殺されたケルビンの姿だった。

 ケルビンの手がゆっくりと持ち上げられ、絶句している宿屋の主人を指差した。


「幽霊だ」


 サレンが呆然と囁いた。


「お前が私を殺したんだ」


 地の底から響いてくるかのようなその声に、宿屋の主人は腰を抜かしてへたりこんだ。


「わ、悪かった。俺が悪かった。だから助けてくれえ!」


 絶叫している主人の肩を押さえて、サレンはケルビンの幽霊に向き直った。


「……もう、ソフィアさんへのお詫びはすんだのですか? 十年前、貴方が死なせてしまった、かつての恋人へのお詫びは……」


 サレンは静かにそう語りかけた。


「些細な言葉の行き違いだった。ソフィアは、私の言葉を信じてくれなかった……」

「ソフィア? かつての恋人? ケルビンが殺した?」


 唐突な会話の展開に、アーウィンが頭を抱えて言った。


「今の奥さんとの結婚は、ケルビンの両親が決めたものだったんだ。そして、その時ケルビンには将来を言い交わした、ソフィアと言う女性がいた……」


 それは、衛兵がサレンに頼まれてかこの事件の記録から引っ張り出してきた、十年前の出来事だった。


「ケルビンは、十年前のある日、ソフィアさんと一緒に子の宿に泊まった。両親の決めた相手とではなく、ソフィアさんと結婚するつもりだと、彼女に説明する為に。でも、ソフィアさんはケルビンの言葉を信じなかった。そして、彼女は自ら生命を絶ってしまった……」


 十年の歳月は、その事件を忘れ去らせた。しかし、記録には残っていたと言うわけだ。


「このイン・シルバーフォックスに幽霊が出ると聞いて、わざわざやってきたのか」


 ようやく納得したらしい様子で、アーウィンが言った。再び頷いて、サレンは言葉を続けた。


「貴方が持っていた毒は、自らの生命をため……自分も幽霊となって、ソフィアさんに詫びる為。違いますか」

「そう……気づいていたのか……いずれにせよ、私はここで死んで、ソフィアに会うつもりだった。ソフィアには、わかって欲しかったのだ……」


 ケルビンがそう言った時、闇の中に、もう一つの青白い光が浮かび上がった。

 それは寂しげな雰囲気の、うら若い女性の幽霊だった。


「おお、ソフィア……」


 ケルビンは声を湿らせた。そして、彼は立ち尽くす人間達に言った。


「私は、お前と一緒になるつもりだったんだ。どんな事をしても……」


 ソフィアの幽霊は何もいわず、ひっそりと微笑んだ。


「いまからでも……遅くはない。これからやり直そう」


 頷いたソフィアは、差し出されたケルビンの手をそっと握り返した。

 二つの青白い人影が、ゆっくりと一つに重なり、薄れていく。


「私を殺したその男を、恨んではいない……その男が殺さなかった所で、私は自ら死を選んでいたのだから……私は生命を失った代わりに……」


 ケルビンの言葉の途中で、一つになった青白い人影は輪郭を崩し、消えていった。

 そして、部屋には闇だけが残された。



 その翌日、ようやくアーウィン達は『イン・シルバーフォックス』を後にすることが出来た。

 絡み合った二つの事件を、僅か一日で解き明かしたのだから、まずまずと言うべきかも知れない。

 事件の真相は、アーウィンは達が着き止めたとおりであった。多額の借金を抱える『イン・シルバーフォックス』の主人は、裕福そうな身なりをしたケルビンに目をつけていた。彼が幽霊に執着していると知って、幽霊の仕業に見せかけて殺そうと計画したらしい。

 そしてケルビンが携えていた毒は、彼が自ら生命を絶ち、自分が死なせてしまったかつての恋人に、幽霊となって侘びを言うつもりで用意した物であった。

 主人の変装による偽物の幽霊と、過去から訪れた本当の幽霊。それらがいりまざっていたため、ややこしくなったのだ。

 だが、何はともあれ、事件は解決した。


「さあ、行こうか、みんな」


 旅人達の街道を作ったアルムス達の末裔パーミルを加え、四人となったアーウィン達は、昼下がりの光を浴びながら、街の通用門へと歩き始めた。

 遥か西を目指して。

 次の目的地は湖岸の王国ザレスだ。ロザミアからは、およそ二週間ほどの道のりである。


「あの二人は、見えざる星々になったんだろうか」


 サレンが口にしたのは、カルラディアで信じられている死者の行く末だった。死者の魂は天に昇って見えざる星となり、この世界を観続けるのだ。


「それにしても、今回はマイラとサレンに世話をかけっぱなしだったな」


 いままで仲間のやり取りを聞いていたアーウィンが、溜息混じりに言った。


「なあに、そのうち、アーウィンの剣の腕が必要な時が来るよ」


 柔らかい金髪を揺らして、サレンは笑った。


「そうそう、仕方ないよ、アーウィン。あんたは、頭を使うのは不得意なんだからさ」


 マイラのからかいに、アーウィンは何か答えようとした。しかし反撃の言葉が見つからなかったので、彼は黙って苦笑しただけだった。マイラのちょっとした性癖のことを、アーウィンも、そしてサレンもまだ知らないのである。


「どうしたんだい、パーミル。さっきから黙っているけど」


 気遣うように、サレンが黒髪の少女を見つめていった。


「あ、いえ。なんでも……」

(あの夢は、何だったのかしら……ケルビンさんたちのこととは、関係がなかったみたいだけど……)


 単なる夢で片付けるには、異様なほど現実感のある夢だった。

 あの黒い長衣を纏った者から発せられる禍々しい気は、今でも、ありありと思い出させるほどである。

 悪魔に背筋を撫でられたような寒気を、パーミルは覚えた。


(あの夢はもしかして、私の未来を……)


 ふと心に浮かびかけた思いを、彼女は慌てて振り払うのだった。




後編書き上げるのにかなり苦労しました。

次回は自由騎士アーウィンの物語ではなく、別の冒険者の物語をアップしたいと思います。

アップ予定は9月末か10月上旬予定です。

これからもよろしくお願いします。


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