大丈夫じゃない
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(流石にきちーーわ)
堂鈴祭もあと3日。校内はもう学祭一色であり、どこか浮き足だっている感じだ。ただ、自分はその空気にを感じつつも疲労が溜まっていた。相変わらず作業は自分一人であり、昼間の仕事もいつもより早くあがる関係上出勤が早まっている。いくら自分が若いとはいえ流石に堪え、思わず溜息を付く。すると、目の前に千納時が生徒と話している姿を捉えた。が、口調はいつもの調子であるものの、顔が完全に強ばっている。それは話しを終わった生徒達も思ったらしく、自分とすれ違う際に、彼が怒っているように見えたと話しながら通りすぎていったのだ。確かにあの整った顔からのバキバキな目で見られたら、圧が凄いわけで、人によっては怒っているように見えるかもしれない。しかし、裏を返せば、いつも変わらない千納時の異変は緊急事態に等しい。多分彼自身気づいていない可能性もある。
すると体が勝手に彼に近づと、千納時も自分に気づく。
「都築、俺も今から準備室にっ」
彼の言葉の途中で、自分は千納時の手首を掴む。すると彼の形相が驚きへと変化する。
「ちょっと、良い?」
千納時の返答を聞く前に自分は回りを見渡し近くにあったベンチに行くと、手首から手を離すと共に彼の両肩に手を置き座らせる。
「都築?」
「とりあえず、座って動くなよっ」
一言千納時に言い、ダッシュで視界に入った自販機でスポーツドリンクを二本買うと、すぐさま彼の元へと向かい目の前に立つ。相変わらず千納時は何が起きたかわからないといった表情でこちらを見ていた。そんな彼の前にボトルを差し出す。
「うんっ」
「俺に?」
「そうだけど」
いきなりの事で、彼も自分の行動の意図が理解出来ないようで再度首を傾げる。
「頑張りすぎだからな!!」
「俺、の事?」
「他に誰がここにいんだよ」
半信半疑の彼にボトルを無理矢理渡し、自分は鄰に座り飲料を一気に飲む。その姿を横で暫し見つめていた、千納時が軽く笑う。
「俺、いつもの通りにこなしていたつもりだったんだが」
「そりゃ、仕事はこなしているさ。ただ余裕ありませんって感じだったけどな」
「はははは。そっか」
すると、彼もボトルを開け飲料を口に含み、一回息を吐く。
「有り難う。助かったよ都築」
彼はつぶやきエンジ色に染まりつつある空を暫く見つめる事暫し。そのままの姿勢で自分の名前を呼び告げる。
「久々だな。こんな感じ。でも最近君といると凪が悪いのが穏やかになっていくんだ。不思議だと思わない?」
いきなり疑問をなげかけられると同時に、満面の笑みをこちらに向けられる。いつもの彼の笑みに、嬉しくなる気持ちと少し照れくさくなり、視線を反らす。
「そ、そんなの自分にはわかんねーしっ」
「確かに」
「何だそれっ だったらこっちに疑問なげんなよっ」
互いに笑いながら、たわいのない会話を暫しした所で、準備室へと足を進めていくと、目の前に角俣が現れたのだ。
「角俣ーー」
声に反応し、彼が振り向くとこちらに近づく。
「都築、千納時学年長、お疲れ様です」
「角俣もお疲れーー って言うか角俣今行く所? 自分等も今からなんだけどさ。にしても大詰めでクラスの出し物と両立だからだ大変だよな」
「クラスの方はそうでもないのだが、柔道の模擬戦を文化祭の時にする関係で、部活の方が忙しい」
「うわ、それ大変っ」
会話の途中で寒気を感じ言葉を切ると共に、その元となっている方向を見る。それは角俣も感じたらしく、自分同様、千納時に視線を送る。すると、先程までの表情から一転、今日一ぐらいの胡散臭い笑みを浮かべて自分等を凝視しているのだ。思わず苦笑いをし首を傾げると、彼がそのままの表情で口を開く。
「二人はいつからそんなに仲良くなったのかな?」
(すっげーー 怒ってるんですけどっ)
急転直下の出来事にただたどうして良いかわからず、自分は再度苦笑を浮かべた。
「伸也、田沢。明日から文化祭はじまるっていうのにマジやばいからな!!」
「優斗。わかってるけどさーー」
「兎に角。今日は準備最終日。その意味わかるよな」
自分の後ろに、二人が渋い表情を浮かべついてくる。明日からとうとう堂鈴祭が始まるのだ。結局二人は準備には一回も参加していないものの、店番はあるわけで、その確認と手順のレクチャーをやるためである。ただこの状況で彼等達が手順諸々をやってくれるかは不透明。実際、店番等を除外する話しもあったが、それだとあまりにも人が少なくなってしまう事もあり、今回無理やり連れてきた。ただ、これでうまくいく気が全くしない。自分は一回溜息を吐きつつ、準備室前のドアを開けた。
「お疲れっす」
すると、教室半分に一年学年役員が製作した学校の特色を説明が展示してある横に、屋台の雰囲気を醸す、輪投げと白い布の引き二段の射的場が並ぶ。その前には既に三人が用紙を見ながら確認をしていた。
「相変わらず早いっすね」
「そんな事はないよ。俺も今3年から解放されてここに来たばかりだから。それより……」
千納時が背後の二人をじっと見た。二人は彼を見ることなく室内に入りつつ、三人のいる所の近くまで行く。
「とりあえず、集まったので最終確認始めるけど」
「ねえ。千納時君。話す前にちょっといいですか?」
「何、住川さん」
「これから、店番とかの話しもあるとは思うけど、あの二人、本当にローテーションにいれるの? 準備にも顔出していないし、絶対に来るわけない。まあ最初の印象通りですけど」
「はあ? お前等全日制の生徒はいつもそうやって見下してるから気にいらねーだよ!! なんでも見た目とかで決めつけて判断しやがって!!」
言葉の勢いのまま、彼は、彼女の前へと向かう。
「やめろ伸っ」
自分が止めに入る前に、住川は彼の圧に怯え後ずさる。と、射的の台に勢いよくぶつかったのだ。
「きゃっ」
声を上げ倒れると同時に布が破ける音がし、彼女の体重が台に掛かる中、角俣が住川の手を掴む。そのお陰で、彼女は完全に転倒する事はなかった。とりあえず、安堵するものつかの間、自分等の目のお前には、斜めに崩れたような形になった台が視界に入る。暫し沈黙の後、角俣に腕を捕まれたままの住川がへたりと座り込む。
「ど、どうしようっ、明日からなのにっ、私っ」
声を振るわせ、下を向く。
「お、俺っ、悪くねーしっ」
「そ、そうよっ、だって、あの人がこの前もそうだけど、喧嘩腰な事を言って来るからでっ、それに実際に壊したのは私達じゃないわよ」
自分は二人を見る。
「だからって、伸と田沢は悪くねーとはいわせねーぞ!! お前等一回も準備きてねーだから、意見言えるような状態じゃねーし。まあ、確かに思う事は結構あるけど、それはやったやつが言うから周りが賛同してくれる話だろ」
その言葉に気まずそうな表情を浮かべる2人に対し、自分はやんわりと微笑む。
「それよりもだ。せっかく全員久々に集まったんだし、これどうにかしようぜ」
自分は伸也と田沢の背後に周り二人の肩を抱き笑う。
「で、どうするよ」
「はあああ、わかったよ。とりあえずこの台、何で出来てるわけ?」
伸也は自分から離れ、台を見る。
「ふーん。簡易的な折りたたみスチール台かーー これなら俺日頃から板金仕事してるから直せそうだな。補強すればちったーー 強度増しそうだし」
ツブツブ呟く彼に対し、田沢は破けた布を手にして、自分を見た。
「ねえ、優。これ屋台風にしなきゃ駄目。コンセプト変えても良い?」
「だって。どう3人」
「因みにどんなコンセプトにしたいんだい?」
「ゴスロリっぽく。今ってホラー流行っていうから。私、ゴスロリメインのアンテナショップの店員だから結構そういうアレンジ嫌いじゃないの」
「二人はどうだい?」
「明日からだからな。形になれば良しだろう」
「わ、私もですっ」
「うん。俺も輪投げとコンセプトが変わってしまうが、そのギャップも面白いと思う」
「って事でやりますかっ」
その後、自分等6人は遅くまで、作業に勤しんだ。
次回2月3日20時30分以降投稿
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