一回目の通しは…
「…木琴ムズイ…」
ラムは体育館の窓に向かってそうつぶやいた。先生の耳にちょうど聞こえるくらいの大きさで。
「大丈夫?あのね~こうでこうでこう!」
りんはその声が聞こえたので教えに行った。教えてるんだろう。
相変わらずりんの教え方は最悪というか…わかりずらいというかなんというか。
「(説明が下手…)」
「わかった?」
わかるわけねーだろそんな教え方で!!!そう突っ込みたいと思ったのは私だけだろうか。
いやそんなことはないはず。ないと信じてます。
「ありがとう…わかったよ…」
絶対わかってないよね。ラムは遠い目をしながらそう答えた。
りんにさっさとどっか行ってもらって頼れるひすいあたりに教えてもらおうと思っているのだろう。
わかったよと言われたのでりんは元気に自分の立ち位置に戻っていった。
なつとゆいは鉄琴とアコーディオンをさぼってカメラとノートにりんちゃんを収めていたのだが、それにりんが気付くのは多分、数億光年くらいかかるだろう。
あっそうそう。銀涅の楽器はティンパニで、石涅がオーディションに受かったみたい。
二人ともいい勝負だっ他っぽいしどっちが勝ってもおかしくなかったみたい。
けどそういうときってあるあるなんだけど、日ごろの態度がいい方が選ばれるってやつ。
銀涅も石涅も喧嘩ばっかであんま変わんないが、まだ石涅のほうが態度がいいらしい。
「ティンパニは太鼓の数が多いんだよ!」
「5個だっけ?」
「あぁそうだ。」
ティンパニって何個で演奏すんのが普通だっけな。…3個だと思ってたんだけど…
調べてみると5個らしい。そして銀涅の前にも5つの横向き大太鼓みたいなものが並んでる。
「大丈夫だ。俺なんて88個も鍵盤あるんだぞ?」
「ピアノと打楽器は違うだろ。」
ピアノは指がたくさん動いたりペダル踏んだり黒鍵弾いたりいろいろしたりして大変だが、ティンパニなど打楽器は力を込めて叩いたり、優しくたたいたりなどの強弱などが大変だ。
「たしかに…わたしピアノと打楽器って何が違うかわかんないけど。」
そうなのか。
納得しずらい案件だなそれは。打楽器とピアノの違いが分からないのは重傷だぞ。
「りん大丈夫かお前。」
流石にこれはそういうしかなかった。絡むとめんどくさいのは知ってるが今回ばかりは絡むべき案件。
「ダイジョーブ!」
でました。不安にさせる不思議な魔法。「りんちゃんのダイジョーブ」
効果:味方の精神を乱す・不安にさせ脳みその機能を一定期間低下させる。
やだなこの技。
「お前のダイジョーブは大丈夫じゃねーんだよ!!!」
「なんで?ダイジョーブっていえばダイジョーブになるって誰か言ってたよ?」
「それはマジでいう人によるんだって!お前が言うと不安になるんだ。」
「え?何それ差別?」
「違うって…」
めんどくさい会話だな。そう思いながら私も、ラムもセコも、ひすいも銀涅も石涅も遠い目をしながらスルーをしようと頑張っていた。なつとゆいは…うん。わかるよね。
「うるっさい。黙って。」
ひすいがボソッと鋭い矢を飛ばしてきた。りんは私は何も悪くないといわんばかりに堂々としていた。
はおはすいませんとひすいに向かって謝った。謝るならひすいだけじゃなくてみんなに謝れ。
とある場所
「失敗した…。」
頭を抱えながら一番よさそうな席に座る誰か。
「大丈夫だって次は結構強い子たち送りますから。」
それに近寄って慰め資料を渡す誰か。
「誰が向いてるか?意外とあのA組とやらが強いじゃないか。」
「せんせーが倒しちゃったみたいですよ。だからA組が強いかはよくわかんないですね~。」
「そうか。報告ありがとう。」
「あれかな…。あの子。探知が得意な子。魔王様~覚えてますか~?」
「ああ、あいつか。アイツはそれなりに強いから実力を測るのにちょうどいいんじゃないか?」
「それとも…前行ったあの子の記憶をちょっとだけ覗いてもっと粘ります?」
「それだと時間が足りない。」
「とりまじゃぁ私はとりあえず出向かなくていいって感じですかね?」
「そうだな。お前が出向くのは最終段階だ。何しろお前は強すぎるだろ。」
「おほめ頂光栄!じゃぁ選抜してくるから朗報を待っててくださ~い。」
「そうする。」
「あと…でももう一人いっちゃってるんじゃないでしたっけ?」
「……じゃぁ選別しなくても大丈夫だ。朗報を待って居よう。」
「でもちょっと不安だから~遠くから意地悪してまきま~す。」
窓の外では雪が降る。切ないような儚いような。さみしいような。
曇った空は心の模様。魔法学校のように晴れ渡ってはいない。でも今はそれでいい。
「ちょっと一回みんなで合わせてみようか。」
皆がさぼりすぎていたのに気づいたのか、先生はみんなで合わせることを提案した。
「ええぇええぇ!?」
りんが大声をあげた。多分サボりすぎていたから何も弾けないのだろう。吹けないが正しいかな。
「1・2・3・4」
先生が指揮を振った。きれいで形の整った指揮。
最初は悲しいようなピアノのソロで入るのだが…………………………
シーン
はおさんピアノから手が離れてますね。ひけないんだね。じゃぁもっと練習してくれ。
そんなことにもお構いなしにどんどん進む。先生そこは止めて練習するべき。
次はフルートが入るはずなのだが…
りんさん?あなたは何をしているの???ちょうちょを目で追っていますね。
こちらもダメだけどお構いなしに進んでく。
で…大太鼓がババババン!
ババババン
すごいねすごい。初めて指揮にはまったよ?
で…ティンパニが盛り上げて…この兄弟やるじゃんか。
リコーダーが入ってーーーーーあっそういやオルガンいないな。しょうがないか。セコができるわけないもんな。あと木琴もいない。てっきんとあこーでぃおんもいないね。
その二人は多分りんを撮影中だと思う。だめだこのクラス。音楽会のやる気ゼロじゃん。
「すとーっぷ!!!!」
先生がいきなり指揮を止め大声で叫んだ。
「ほんとにやる気ありますか?もうこれ音楽として成り立ってません!」
そのとーりですよ先生。大太鼓とティンパニとリコーダーだけで曲は完成しないよ。
「だってちょうちょが邪魔なんだもん。」byりん
「楽譜が読めない」byラム
「入り方がわかんない」byセコ
「りんちゃんが可愛すぎて…」byゆい
「あぁぁぁぁ」byなつ?
…( ^ω^)・・・ちょっとびっくりだよ。このクラスの混沌さには慣れてるつもりだったけどびっくりだよ。音楽会直前でこんなことある?ここまで未完成でやる気のないクラスってあるの?
「ちょっと石涅さん銀涅さん、ひすいさん以外職員室に来てくださいね?」
よかった。ちゃんとまじめにやってた人たちは連行されないんだ。
そんな感じでりん一行は職員室に連行されていった。感動したのはその説教中も三人は練習をしていたこと。
《1時間後》
「はぁ~~~~~めっちゃ疲れたんですけどぉ!」
りんのため息が聞こえたと思ったらぞろぞろとやらかし連中が帰ってきた。
「だってわかんないのはしょうがなくないの?」
セコは不満をぶちまけた。
「ちょうちょが邪魔なのもしょうがないのよね!だって目障りっていうか…集中力がそがれる!」
「それは違うだろ!」
久しぶりのクラスそう突っ込みだ。
楽譜が読めない⇒フリーズ。わかる
ちょうちょが邪魔⇒フリーズ。意味不
りんが怒られるのは納得。てかめちゃくちゃ納得した。
「じゃぁ練習するしかないな。よっしひすいさん!Help!」
「…わかった…」
ひすいはあきれたような顔をしたものの手伝った。リコーダーって案外なれれば簡単らしいから。
ほかの人のサポートに行ってもいいと思う。ピアノが自力で弾けません。なぜてをあげた。になるけど。
「ねぇ石涅!ちょうちょがいても集中力がそがれない方法ってあるの?」
「…」
フリーズ。だってこんなこと聞かれて誰が答えれるんだ。
「ス魔ホで調べろ。」
「ス魔ホ最近壊したからないよ~~~。」
衝撃の事実発覚。りんさん。お高いス魔ホ破壊。どうしておたかいものもこわすのかな。
「ス魔ホ貸すからさっさと調べろ。あっそうだ絶対に壊すなよ!」
フラグを立てないで?
「このス魔ホもう壊れてる気がするんですけど。」
りんがつぶやいた。なんとりんが触る前から壊れてるというのだ。
「はぁ?ふざけんなよ。俺のス魔ホはさっきまで使えてたぞ?お前エアで壊したか?」
「どうしてそんなに疑われなきゃいけないわけ?!」
それは今までの行動だろ。と全員が思っただろう。今までたくさん破壊しているのだから疑われるのは当たり前だ。
「あ…」
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「ベット戦争しなきゃ☆」