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楽しいときほど早く過ぎる

「第二回戦は…」


「銀涅…銀涅…………と……石涅……!?」


二回戦目でいきなり…すごい組み合わせになってしまった。

二人はマジかよと頭を抱えつつすごい殺気というかそういう雰囲気をまとってプールへ入っていった。

「本当にくじ引きは嫌だぜ。決勝戦で戦いたかったからな。」

そう愚痴りながらもすごい気持ちよさそうな、爽快そうな顔をしている石涅。

それを聞いて、みて、うれしかったのか銀涅も爽快そうな顔をしていた。

正直どっちも早そうだから予想はつかないのだが、果たしてどちらが早いのだろうか。

「ここは魔法を使わないで真剣勝負だな。」

「あぁ」


りんのような不正(?)もせず猛スピードで進んでいく2人。

すごい量の水しぶきが舞っているため、二人はお互いがどこにいるのかがよくわからなかった。

プールサイドで行き先を見守っている人たちはどう思っているのだろうか。

先生は自分の真横に成績表が置いてあることに気づいた。

その成績表を拾い上げ、ボールペンを持った。

いや、もったはボールペンではなく杖だった。

最近魔法学校らしきエピソードがなかなかなかったのでちょうどいいのだろうか。

先生は杖で何かを書き始めた。成績をつけ始めた。

プールも体育の授業の一環なので体育の成績の見直しや変更をしているのだろうか。

兄弟二人はプールの中を猛スピードで駆け抜けていく。

すごい量の水しぶきがずっと顔面にかかりっぱなしになっていたことに気づいたはおは一歩下がって観戦を再開した。そんなはおを見て必死に笑いをこらえようとしていたりんは吹き出してしまった。

周りの人たちはなぜりんがそんなに爆笑しているのかがわからず困惑する。

特に銀涅と石涅。

試合中になんかおかしいことでもあったのかと不安になってしまうだろう。


「……おい…お前らりんにつられて笑ってないでさっさと勝敗を教えてくれ。」

プールから上がった石涅がりんにつられて笑ってしまったと見える残りの人たちに声をかけた。

大爆笑しながら…ちょっとまってねと言って石涅、銀涅以外の人たちが集合した。

丸く円になって何やら相談をしているようだ。すごい小声で。

なつ「…どうしよう…どうしよう…私りんちゃんが神々しすぎてプールみてなかった…。」

はお「…おいおいなつ…」

なつ「そういうはおはどうなのよ。はおもりんちゃんが神々しすぎて勝敗みてなかった?」

ゆい「でも大丈夫よ。りんちゃんがここにいるのだからそうなるのは必然的だから。」

ラム「一斉にこっち向かないでほしいの。ラムはいい子だからしっかり見てたの。」

はお「結果はどうだったのか?」

ラム「多分同じなの。水しぶきがでかすぎてよくわからないの。」

セコ「同率?って感じだった。あたしもちゃんと見てたよ。」

皆がそうやって小声で話し合っている内容は、銀涅達には完全に聞こえていないと思っている。

でも、現実はそう甘くなかった。銀涅も石涅もこの会話を全て聞いており爆発寸前だったのだ。

「おいてめ~ら!!なんで見てねーんだよ!」

銀涅が声をあげた。怒りと殺気…と何かが混ざった声だった。

それを見ていた石涅も銀涅が声をあげたなら最初に罪に問われるのは銀涅だと思い声をあげた。

「ふざけんなよ!」

二人に強く怒鳴られた一同はぶるぶると震えて後ずさりをし始めた。

「さっさと次ぎ始めて。」

先生の声によってこの一指即発(?)の喧嘩は幕を閉じた。

多分寮でこの争いの続きが起きるだろう。題して〈くだらない喧嘩の乱〉


そんな調子でドンドンと進んでいった。

第三回戦の勝者はひすい。第4回戦の勝者はなつ。第5回戦の勝者はセコだった。

第2回戦は互角だったし準決勝がやりずらいといういろいろな人の私情で勝者は出さなかった。

全部のブロックからの勝者が出たため準決勝がスタートする。

順番をシャッフルした結果…最初はりん対セコ。次がひすい対なつ。

この対戦カードについてはみんなが安堵した。

なぜならなつとりんが戦うことになったらりんが試合をしなくても決勝戦に進めるだろう。

もちろんひすいとなつが戦ってなつが勝ったら決勝戦で”譲る”ということがあるが。

それは起きないだろうとみんなが思っていた。

それは、試合の時にわかる。


勝者はりんとひすい。

セコは瞬間移動魔法を使用しようか一回迷ったものの、みんなが見てるしさすがに悪いかと思い控えた。

控えた結果負けた。セコはこのことを1分間だけ深く後悔することになった。

なつは魔法もずるもしなくても十分早いのだが、ひすいは別格だった。

決勝戦は【水爆弾爆裂少女りん】vs【不思議まじめ女子ひすい】の戦いになった。

りんは今回も水爆弾を使用するのだろうか。それかガチでやってくれるのか…。

りんは勝ったら何をしたいか。何がしたいという言葉を覚えているだろうか。↓

「私が勝ったらみんなで水爆弾を作って世界で一番強そうな人に投げて実験するの!だから勝たせてよね~!」りんはこう言っていたのだ。ゆいとなつ以外の人たちはりんの勝利を望んでいない。

水爆弾をりん一人で作るならまだしも”みんなで”という言葉が入っているのだ。

つくるだけならまだまし。

けれども…りんはそんなに甘くない。一番クラスで強そうな人…?いえ、ちがいます。

世界で一番強そうな人に投げてみたいといっているのです。

世界で一番強いといえば…。


「そうだ…私罰ゲーム決めてなかった。」

ひすいが誰にも聞こえないように静かにつぶやいた。

周りはギャーギャーギャーギャー騒いでいるので当然この静かな声が聞こえるわけもない。

二人は再び入水し戦闘用意をした。

「(ひすいって罰ゲーム何にするんだろ。)」


りんは今回不満そうな顔で泳ぎ始めた。毎回笑顔で泳いでいるのに今回は不満顔だ。

ポケットをごそごそしてみたり、くるくると回りながら泳いでみたりして探し物を探している。

当然探し物は水爆弾だ。りんは水爆弾を今回も使用したかったのだ。

でも残念ながら常備していた今日の用の水爆弾はすべて使い果たしてしまったのだった。

25メートル泳いだ時点で差は少ししかなかった。

りんはポケットに手を突っ込むのをやめ、くるくる回転するスピードを速めた。

プールサイドから見るとりんの姿は超高速で回るドリルのようにしか見えない。

りんの超高速回転泳ぎ(くるくる泳ぎ)によってひすいとの差はどんどん縮まり、ついに追い越した。

もうすぐでゴールだ。みんなが頭を抱え絶望したような表情で見守る中、破格のスピードで進むりんは突如として止まってしまった。

何があったのだろう。

ひすいはゴールした後りんのほうに向かった。

りんを魔法でプールサイドに引き上げて。

りんがなぜ止まったのかということはたおれているりんの目でわかった。

目がぐるぐるしている。

「…なるほど…。超高速回転泳ぎ(ぐるぐる泳ぎ)で酔ったのか…。」

「これが当然の報いとやら奴じゃないの?」

「なにラム。りんちゃんが悪いことでもしたの?」

「いや…(怖いの。反抗しちゃダメなの。推し狂者には絶対に反抗しちゃダメなの)」

「勝者はひすいになったけど…ひすい罰ゲーム何にするの?」

「正直何でもいい。」

「くじ引きしたら?」

「なんで全部くじ引きになるんだよ。」

「しょうがないじゃん!バリエーションがそれしか存在してないんだから!」

「じゃぁそうする。」


ひすいが箱に手を入れて一つの紙を引いた。

その紙を開くと衝撃の内容が記されてあった。


「……」

「どうだったんだよひすい。」

はおにそう言われたひすいは無言でが身を手渡した。

はおはその紙の内容を見て絶句してしまった。言葉が出ない。

内容は…『全部』

「ってことは私の水爆弾製作実験祭りもできるってことだ!」

「じゃぁあたしの世界一怖いスポット探検隊もできる!」

「ラムは1週間宿題やらなくて済むの。」

「俺の罰ゲームは最悪だったな…。俺結局負けたから買い出しだ…。」

「(よし。りんが魔法を使わなくなるが…なつとゆいによる地獄の推し語り会も…うわ…)」

「やった~~!」


プールの時間はあっという間に終わった。


皆は忘れてしまったかもしれない。次の時間は…生き残りをかけたテストだということを。

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