おりゃ競争だっ!塩と海?と罰ゲーム
……りんの水爆弾騒動から数分後…
みんなはプールを取り囲みながら静かに立ち尽くしていた。
一人は絶望した表情で、一人は困りながら周りを見て。
遠い目をしながらりんを見つめる人。白目でくらくらと揺れる人。
先生はまだ驚きと衝撃から立ち直れずに立ち尽くしていた。
刻々と過ぎていくプールの授業の時間。
プールが好きでマジで授業楽しみでした!と思っている人にとってはこの時間は地獄だ。
周りが立ち尽くしている。その状況を自分に打破する力はないと思いあきらめるセコ。
らむの肩を強く握りながら失神寸前だったセコはみんなより早く立ち上がったのだが…。
「(あ”あ”…ちょっと待って…もしかしてあたし以外立ち尽くしちゃってる感じ…?)」
セコは恐る恐る目を開け周りを見渡すと、今にも死にそうな表情の人がたくさんいることに気づいた。
ラムは気を失ってはいないものの方が大きくガタガタと揺れ顔色が悪い。
「(え…あは…あ…はお気絶してる…。どうしよう…。先生…は、だめだ…だめだったぁ~…)」
先生ならもしかしたら復活しているかと思ってそっちの方を見るも…先生のバットは怒りと驚きのあまり粉々に粉砕されており、先生の顔は暗すぎてよく見えない。
でも何も動かないのでまだ固まったいる。
「や・ば・い!!尊い!あ”あ”~…よし!ただいま戻りました~☆なつですっ!」
一人ぼーっと周りを見渡すセコの次に理性が戻ったのはなつだった。
目が開いて最初に見たのは案の定りん。
その次にヤバい尊いと叫び…ほほを両手で強くたたいた。
叩いた後自分が戻ってきたことをみんなに…セコに伝えた。
「なつちゃん!」
「あれ!?セコちゃん?」
二人は理性の戻った人の気配を感じ取ったのでお互いのほうを見た。
お互いを見た後二人は名前を呼び合った。
なつが戻ってから続々と理性が復活していく人が増えてきた。まず街の人たち数人が復活した。
野菜を落としてしまったお母さんは急いで汚れた野菜を拾い、スーパーに文句を言いに行った。
「ちょっと…スーパーの店員さん!?この野菜…規格外野菜とは書いていないのに規格外野菜なんですが?今うちの家値上がりで大変なんです。規格外野菜の価格に変更していただくか…新しい野菜を渡してもらうか…最悪警察呼びますよ!」
よぼよぼのおじいちゃんはふらふらと揺れながら自宅のドアを開け家に戻った。
「ばぁさん…ちょっと腰をやってしまったようだから…湿布を張ってくれ…。」
泣いていた子供も再び元気と笑顔が戻り全力疾走しだした。
「わーいわーい!鬼ごっこ再開だ!待って今のなし無し!たんまだよたんま!!」
その次に目覚めたのはりん。りんはもともと目覚めていた可能性もあるが大声を出した。
「いいいいいいいいいいえええぇええええええ~~~~~~~~~いいぃぃぃ!」
とんでもない大声を出した。その声に反応したA組の目覚めていないメンバーも起きた。(理性が)
「…たく…驚かせるんじゃねーよ…。」
石涅は頭を抱えながらりんにたいして文句を言った。文句を言ったものの、はおの言った文句同様スルーされる。りんはのんきに花歌うたいながらプールに塩を投入していた。
「ちょっと待てりん…今問うプールに投入しているのは…なんだ?そして何をしようとして…」
はおも復活した。誰よりも死にそうな表情で。目覚めて最初に目にしたのは…りんがのんきに紙袋に入った塩をプールに投入している状況だった。
「え?もしかしてこれでも気づかない?凡人だとは思っていたけど…もしかして…bkだった?」
「…(最悪だ。今は悪夢を見ているようだな。りんにバカと言われるのは悪夢に違いない。)」
りんにバカと言われたのが納得できず自分のほほを強くつねってみたはお。
だが強くつねりすぎてほほが真っ赤に腫れてしまった。
「じゃぁ結局何なの?」
ひすいが質問した。はおや石涅の質問や言葉にたいしてはスルーしたり煽ったりするものの、ひすいやセコからの質問などにはそういうことはしない。それを理解しているひすいは、はおの聞きたかったことを聞いた。
「決まってるでしょ!塩を入れてるってことは…!」
りんはちょっとためながら言った。でも最後は途中で止め、一番聞きたかった場所を言ってくれなかった。多分みんなで考えろ。か、言わなくても分かるでしょ。のどっちかだ。
「…う…うみ…海だ!(作れないけど…形だけ海だ)」
「…うみ…なの!(海のような海水プールになるの)」
「うみ!(海には…ならないけど…一応海!)」
「…うみ…うみか…うわ…(真実を告げるべきか…告げないべきか…)」
10人と色の回答。
りんは水にただ塩を入れるだけで海が作れると思い込んでいるが現実そうではない。
海は塩だけでなく、自然の生態系、波の流れ、独特な鉱物成分などが組み合わさってできているから。
人類では再現するのはとても困難なのだ。とくに生態系とか鉱物成分とか。
「残念だけど…りんちゃん。その天才的な発明は素晴らしくてすごいけど…海は作れないんだよ…。」
ゆいが泣きそうな表情で真実を告げた。みんなが言うのをためらっていた真実を。
「おい銀涅…」
「なんだよ石涅…」
「塩が入ったってことは…競争…水が入ったとき…きつくねーか?」
「あぁきちーな…。なんてこった。」
「あ…はい…。りんさんの超危険物の内容も聞けて禁止レッテルも貼れたのでプールを再開しましょう。」
「はーーい」(一同)
「いいか石涅。りんに邪魔されたが今回こそ真剣勝負で本番だ!」
銀涅は石涅のほうを見た。その言葉を聞いた石涅は望むところだという表情を見せプールを見た。
そんな二人をうらやましそうに眺めていたりんは、とうとう我慢ができず…
「わ・た・しもやる~~~~~~~~~!!」
りんはまた大声をあげて、石涅と銀涅の罰ゲームと財布をかけた戦いに参戦表明した。
「…は?え…あ…は?」
「だ・か・ら~私もやるって言ってんでしょ!ほかにやる人いないの?」
銀涅と石涅は了承をしていないのに勝手に話を進めてしまうりんを遠い目で眺めることしかできない一同。だが振られたからにはやるしかないという感じなのでみんなやるといった。
「でもレーン足りなくない!?」
「そうなの。(よし。これでやらなくて済むの。そしたらすぐに陸に上がって休憩するの)」
「でも!せっかくみんな意思表示したんだから…トーナメントにすればいいんだ!」
ラムはやりたくないという一心だったのにセコの一言で風向きが変わる。
これじゃぁできないねという雰囲気だったのに、確かにトーナメントならできるねという雰囲気に変わってしまった。ラムは絶望した。
「じゃぁ魔法でちょちょいのちょいでくじ引きつくるからちょっと待ってて~!」
なつが元気にそう言った。杖をタオルの置き場所まで取りに行っているとき…。
ゴソゴソゴソ ガサガサ ゴソゴソゴソ バッ
「よし!みてみて!くじ引きの箱が出てきた!」
なんとびっくり。りんの例のポケットから水爆弾だけでなく、くじ引き箱まで出てきてしまった。
りんのポケットは4次元ポケットなのかもしれない。
だがこれだとなつが杖を取りにいった意味がなくなってしまう。
でもなつだからりんちゃんすごい天才!神々しい!とか言って許してしまう気がする。
「みんな~戻ったよ~!」
なつが戻ってきたときみんなはまた、なんといっていいかわからないような顔をしていた。
そんな状況にりんとなつは首をかしげるも勝手に理解して通常のテンションに戻る。
「って…りんちゃんが作ってる!まぁいっか!推し様が持ってきたくじ引き箱を使える日が来るとは私はなんて幸運なんだろうね~。ねぇゆいちゃん。」
「ほんとそうよ!私たちは今年も来年も再来年も運勢が2番目にいいはずだわ!」
とてもハイテンションで興奮しながら会話をするなつとゆい。
それをまた遠い目で見つめるりん以外のメンバー。ひすい、はお、銀涅、石涅はドン引き。
ラムとセコは…またラムの肩を強く握りながら後ろにセコ隠れていて、こちらもドン引きしている。
で、一番いいというのはりんなのだろう。
「じゃぁ引くぞ~第一戦目は…りん…たい…あ”あ”…」
はおが読み上げていたが、りんと対戦する相手の名前を見てよろよろとよろけ倒れた。
ひらひらと落ちた紙を拾ったひすいは相変わらず無表情のまま読み上げた。
「りんの対戦相手はそこで絶望して座り込んじゃったはお。」
「(りんとやったらぶっとぶ気しかしね~…終わった)」
りんは大きくガッツポーズして喜んだ。そのあと大声で…
「これは私の勝ちよね!だってはお泳げないもの!溺れそうになってるところしか見たことないもん!」
「ちょっと待てはお。お前負けたら炎天下の中みんなの必要なものスーパーで全額自腹で買ってきてもらうことになるんぞ…て…9人だから負ける人が8人もいるのか…?」
石涅は銀涅と決めた罰ゲームを発表するも、人数が増えたことによって狂っていることに気づく。
「あぁじゃぁ。勝者一人が敗者8人の罰ゲームを決められるようにしよう。」
「私が勝ったらみんなで水爆弾を作って強そうな人に投げて実験するの!だから勝たせてよね~!」
「俺が勝ったらりんが1日だけでもいいから魔法や水爆弾が使えない。ってのにするぞ!」
選挙かよ。
「まぁ…正直何でもいい。」
「俺が勝ったらさっき言った罰ゲームを全員で実行してもらうぞ。敗者全員でな。」
「俺が勝った時も石涅の野郎と一緒だ。」
「あたしが勝ったら…みんなで肝試しがしたい!」
セコがそう言った。肝試しがしたいと。
「待ってくれセコ。それは勝っても勝たなくても先生のことだからいずれやるぞ。」
「じゃぁ世界で一番怖いスポットね?」
「…うん。」
「ラムは…ラムの宿題を敗者全員が1週間やってくれる権利が欲しいの。」
「私は~みんなにりんちゃんの良さを1日中伝えられる券が欲しい!」
「私も右に同じく!」
「でも…りんちゃんの魅力を語るのは…罰ゲームじゃないけど…まぁいっか!」
『第一回戦』
「位置について~よ~いドン!(これであってるかわからないけど…)」
その一言とともにりんとはおは一斉にスタートした。
バシャバシャと大きく跳ねる水しぶきは、プールサイドにもたくさん降りかかっていた。
謎にりんのほうだけ水しぶきが大量に出ているが、そんなことはお構いなしに進んでいくはお。
お構いなしに進むはおを置いていくりん。すごいスピードでだ。
もちろんりんだけ謎に水しぶきが大量に出ていて、すごい速いスピードで進んでいる理由はちゃんと存在しているはずだ。
有力な説としてはりんのポケットは4次元ポケットのようにいろいろなものが入っている。
水爆弾の常時保持数は3個。まだ今日は1度も使用していない。
だから最低3個持っている。最大数を見ると10個あることになっているのだ。
すごい威力が持ち味の水爆弾。この水爆弾を使用しながら進んでいるとすればこの水しぶきの威力と進んでいるスピードに関しては納得できる。
だが、仮に水爆弾を使用しているとしても、必ず一つの問題が発生するのだ。
その問題は…りん自身の体が水爆弾の威力に耐えられず負傷するということ。
爆発魔法並みの威力の物をまじかで食らうと、通常の人間ならば即死か意識不明の重体。もしくは、もうそれがその人化も見分けがつかなくなってしまうほどの悲惨な状況になるのだ。
「おりゃメガ根性~~~~~~~~~~~!!」
理解した。
水爆弾は使っている。その威力はもろに食らっているが…メガ根性とやら物で耐えているらしい。
「これって不正じゃないの?」
セコがそう言った。もちろんなつとゆいはとても怖い目つきでセコをにらむ。
なつとゆいはりんのやることに文句を言うなという鋭い目つきで。
その鋭く怖い目つきでにらまれたセコはなぜ反省しなくてはいけないのかという疑問を内心抱きながらも反省し、謝罪した。謝罪をした後なつとゆいに、謝る相手が違うと怒られたのは言うまでもない。
あっという間に1回戦が終わった。
もちろん勝者は…圧倒的なスピードでたどり着いたりん…なのだが。
不正疑惑が浮上して少々口論になっている。
この口論に決着がつくのかはわからないが口論を無視して第二回戦が始まる。
「第二回戦は……」
ちなみに小説家に人は椅子から落ちて気絶しましたが、あの後すぐに意識を取り戻したらしいです。でも椅子から落ちるときに手がパソコンに触れてしまい…押したボタンが悪くデータが消えてしまったそうです。
ずっと家で騒いで泣いてわめいていたら近所の人が苦情を入れに来て「ふざけんな!」と言いながら喧嘩をしているそうです。 説教されていた子供やしていた先生は驚きのあまり「もどろっか」となり説教は消え教室に戻っていきました。救われた子は一人だけいましたね。




