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第八話

 青甘です。

 第八話になります。

 とりあえずは、シラユキとノエルたちとの契約は終わったけど、次は何をするかだな。

 しかし俺は今さらながらに、自分がどこにいるのか知らないことに気がついた。

 見渡せる限りは、遠くの方にかろうじて木々があるだけで、草原が広がっていた。というか、さっきから人どころか、動物や虫すら見当たらない。



 「シラユキ、ここってどこなのかわかる?」


 「ここは、〝拒絶の孤島〟と呼ばれており、この世界の中心にあたります」


 「なんで、拒絶の孤島って呼ばれてるんだ?」


 「それはね‼︎、ここが巨大な島で、この島の周りを海が囲っているからだよ‼︎」


 「はぁ、ノエルそれでは説明不足です」


 シュン



 ノエルが、拒絶の孤島と呼ばれている理由を答えてくれたが、シラユキに説明不足を指摘されてしまい、わかりやすく落ち込んでしまった。

 俺は、シラユキが補足説明を行う前に、ノエルの頭を撫でておくことにした。



 「ノエル、説明ありがとうな」


 「⁈、ムフー‼︎」


 「補足説明をいたします」


 「あ、あぁ、頼む」



 ノエルの頭を撫でると、今は尻尾がないはずなのに、尻尾を振っている幻が見えるくらい喜んでくれたが、代わりにシラユキの機嫌が、悪くなったのが空気感で伝わってくる。

 あっちを立てればこっちが立たない状態だった。

 というか残りの二人は、アムがノエルの行動にはらはらしていて、ベンタは我関せずという感じで、今にも寝そうになっていた。

 俺がどうしようかと考えている間に、シラユキがこの島の補足説明をしてくれる。



 「この島を囲っている海は、常に荒れている状態で、大きな渦も多数存在しており、天候もこの島を囲うようにして、荒れている状態で大雨に落雷、竜巻が常に存在しており、あらゆる国と荒れている海との間の海域には、凶悪な魔物も多数存在しており、誰もこの島に近づくことすらできないということで、いつしか『この島に〝近づくな〟と拒絶されているよう』だと、噂が流れ始め、そこから拒絶の孤島と呼ばれるようになりました」


 「説明をありがとう」


 「でしたら…」スッ


 「あ、はい、お疲れ様」



 シラユキが頭を俺に向けてきたので、俺は感謝の意を込めて撫でておく。

 そして俺はふと、今一番聞かなければならないことを思い出した。

 俺はシラユキを撫でることをやめて、質問をする。


 「シラユキ、俺の妹がどこの国に、勇者召喚されるか知ってるか?」


 「はい、そちらはアルバス様から聞いております」


 「どこの国だ?」


 「人族の三ヵ国あるうちの一国、カアコクス王国にあたります」



 今回、余計なことをしてくれた国はカアコクス王国って言うのか、よし覚えた。

 というかノエルが、暇になったのかケルベロスの姿に戻って、駆け回っていた。

 ベンタはもう寝てしまっているし、アムは二人の対応に追われていた。

 と言うよりも三人って、別々でも頭は一つになっているとはいえ、元?の姿に戻れるのか。

 そんなことよりも、人族の国って言い方をするってことは、他にも種族がいて、国もあるってことだよな、どんな国だろう。



 「シラユキ、他の国とか国の位置は、わかる?」


 「はい、存じております」


 「簡単にでいいから、教えてもらってもいいかな?」


 「かしこまりました。まず先ほど申し上げました人族の国は全て、この島から見て北側に位置しております」


 「あ、そうなのか」


 「はい、次にこの島から東には獣人の国があり、南はエルフと精霊の国、西側には魔族の国が存在します」


 「なるほどねぇ、国はその六ヵ国のみなのか?」


 「いえ、詳細に言いますとまだ、特殊な国と強大な小国などが存在します」


 「あー、そこらへんは気になるけど、今はまだ説明を聞かなくてもいいかな」


 「はい、今はまだ気にしなくても、よろしいかと思います」


 「ありがとう」



 感謝を述べると、シラユキは少しだけ頬を染めていた。

 それにしても、海にいる魔物の話もそうだけど、獣人とかエルフに精霊、魔族って俺の知らない種族が多すぎる。

 しかし冷静さを取り戻し始めたからか、色々思い出してきていた。

 その一つとして、アルバスたちからプレゼントを渡されていたことに気がついた。



 「シラユキ、アルバスたちからプレゼントを、渡されているんだが、何か知らないか?」


 「そちらでしたら、主人様の自由自在スキルに、預けられているはずです」



 預けられてるって、俺は何も聞いてないんだが…

 とりあえず、スキルの確認も含めて、ハルに聞いてみるしかない。



 (ハル、自由自在のスキルの確認をしたい)


 《スペリオルスキル:自由自在の説明を実行します》

 《自由自在とは、空間や重力を自由に操ることが可能です》


 (空間を操るとは、具体的に何ができる?)


 《空間を操ることで可能なことは、自身の行ったことのある場所から場所に、瞬時に転移することが可能、自身の見える範囲のものを、瞬時に自身の元へ転移させることも可能、又その逆も可能、異空間を創ることができ、その異空間にものを、自由に出し入れすることが可能です》


 (俺がいた世界に転移することは、できるか?)


 《スキルでは不可能です》



 やっぱりそう簡単にはいかないか、でもスキルでは不可能ということは、スキルじゃない〝別の何か〟が必要なんだな。

 それにしても、空間だけの能力でも結構便利だな。

 あとは重力の方だが、こっちは何となくどういう能力なのかは、想像がつくから自分で試して、確かめていけばいいか。

 じゃあ、気になることは異空間を創る能力のことだけど、多分だけど俺は、自分で創る前に持っているんだよな。



 (ハル、異空間に何か入っているか?)


 《卵が保管されています》


 (⁇、取り出してもらっていい?)


 《了解しました》


 「⁈、マジで卵じゃん…しかも黒色に白模様の」



 俺は、ハルに頼んだとはいえ、急に目の前に黒い円ができ、そこから卵が落ちてきたことに驚いて、慌てて手を出して、卵を受け止めた。

 それで、この卵は何の卵なんだと思っていると、初めてハルから話しかけられた。



 《鑑定スキルの使用を推奨します》


 (あ、その前に、鑑定スキルの確認をお願い)


 《ユニークスキル:鑑定の説明を実行します》

 《鑑定スキルの使用時、目で見た相手や物などの情報を知ることが可能です》


 (どこまで見ることができる?)


 《使用者の知りたいことを、全て見ることができます。》


 (鑑定を妨害されることは、あるのか?)


 《使用する相手に、妨害スキル、反射スキル、隠蔽スキルなど含め、その他上位スキルがある場合、見ることは不可能です》



 便利だけど、使用する場合は注意がいる。

 特に反射スキルは、もし言葉通りのスキルなら、逆に俺の情報が見られる可能性があるから、使い所は気をつけないといけない。

 さて、ハルが鑑定を推奨したということは、この卵には特に危険がないと考えて、いよいよ卵の鑑定をしようと思う。



 「卵を鑑定」


 《鑑定結果、名前なし、親:秋季、種族???、備考:秋季の魔力を一定以上与えると、秋季の戦闘をサポートするパートナーが誕生する》



 ハルで、スキルや魔法の管理をサポートしてもらって、戦闘は卵から生まれてくる子が、サポートしてくれるって至れり尽くせりだな。

 それに親が俺になっていて、名無しということは、名前は俺がつけるってことだよな。

 でも魔力の使い方なんて知らないから、そこを教えてもらってからだな。

 


 (ハル、スキル説明や鑑定、ありがとう)


 《…》


 「シラユキ、俺、魔力の使い方を知らないから教えてもらっていいか?」


 「かしこまりました。では、お手に触れてもよろしいでしょうか?」


 「?、どうぞ」



 俺は、シラユキに何の意図があるかわからないが、とりあえずシラユキに、手を向けて出すと手を軽く握られた。

 すると、握られた手から温かいものが流れてきて、それが体全体へ巡る感覚を覚える。

 少し不思議な感覚だったが、この温かいものが魔力なのか、シラユキに確認をする。



 「シラユキから流れてくる、温かいものが魔力であってる?」


 「はい、それが魔力になります。今度は主人様ご自身で、魔力を体全体に循環させてくださいませ」


 「わかった、やってみるよ」



 さっきシラユキに、魔力を体全体に循環させてもらっていた際、みぞおち付近に温かいと感じていた、魔力の塊みたいなものがあったから、そこから体全体に温かいものが循環するような意識で、魔力の循環に集中する。

 すると、驚いた声のシラユキから話しかけられる。



 「凄いです。主人様」


 「何が?」


 「主人様は、魔力の全くない世界から来たはずですが、私との魔力循環の練習を一回行っただけで、ここまで完璧になさるとは思いませんでした」


 「あるじ!、凄いね‼︎」

 「ん…すごい、びっくり」

 「す、すごい、です!」



 集中するために、目を閉じていたので気づかなかったが、いつのまにかノエルが戻ってきていて、ベンタも起きていたので、アムも二人の対応から解放されていた。

 そして、みんなで俺の魔力循環の練習を見ていたようだ。

 というか魔力の流れって、他人から見えるのか。

??「ノエルちゃんたち、すっごく可愛くない?!」

  「ケルベロス姿のノエルちゃんたちの、毛並みがどれだけモフモフなのか、気になります!」

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