第五話
青甘です。
第五話です。
次回は閑話になります。
早速スキルを考えてみたが、まずは鑑定が欲しいな、知らないことで後手に回ることは避けたい。
次に欲しいのは瞬間移動だな、それも高速移動によるなんちゃって瞬間移動じゃなくて、場所から場所に空間を繋げて一瞬で移動できる、所謂〇〇〇〇ドア的なもの。
最後は、絶対に裏切らない戦友であり、癒しが欲しいから調教師?ブリーダー?みたいなスキルが欲しいな。
この三つのスキルがあれば、鑑定で先手を打つことで冬華を助けれるかもしれない、瞬間移動ですぐに冬華の下へ駆けつけれる、仲間がいればそれだけ冬華を守れる、癒しがあれば冬華の心を守れる。
「アルバス、欲しい力が決まったよ」
「早かったですね、では聞きましょう」
「まずは、相手の力や物の価値などがわかるようになる、鑑定の力が欲しい」
「わかりました、そちらの力は私が授けましょう」
《ユニークスキル:鑑定を取得》
「⁈、びっくりしたぁ、なんか急に頭の中に声が響いてきたんだが」
「それは私がサービスで創造した、秋季のスキルや魔法などを管理、サポートしてくれる人工知能です」
「そうなんですね、ありがとうございます」
アルバスからサービスで貰った、サポートしてくれる人工知能は、嬉しいし助かるけど、急に頭の中で声がしたら驚くし、正直に言うと怖かった。
「次に欲しい力は、場所と場所を一瞬で移動できる力です」
「では、そっちの力は我からだな」
《スペリオルスキル:自由自在を取得、それに伴い空間魔法、及び重力魔法を取得》
なぜかアーテルから貰ったスキル名が変わっていて、魔法までも取得したげど、理由は後で聞くとして、今は力を貰うことを優先しよう。
「最後に欲しい力は、あらゆる生物と会話ができて、対等な関係を築ける力です」
「では、そちらは私とアーテルの混合で力を与えますね」
《バドスキル:契約者を取得》
「これで、秋季へのスキル付与は終わりました」
「ありがとう、ところでユニークスキルとかスペリオルスキルとかバドスキルとか何?」
「私としたことが、そちらの説明を忘れていましたね」
アルバスはそう言うが、俺はこれまでのアルバスの言動から嘘だと思っている。
何も知らない俺が、急にユニークスキルやスペリオルスキル、バドスキルなどがあり…とか、説明を受けても混乱するだけで、良いことがないことはわかっているから、先にどんな力が欲しいかを聞いて、与えてから教えるつもりだったのだろ。
「まずスキルには、通常の〝スキル〟と〝ユニークスキル〟があり、そこから段階的にスキルが進化します」
「スキルとユニークスキルの違いは、何ですか?」
「スキルは誰でも、努力をすれば獲得可能ですが、ユニークスキルは、生まれつき取得している人もいれば、ある一定の条件を達成して獲得できる、という違いがあります」
スキル獲得は努力次第ということは、俺が異世界に行ってすべきことは、魔法とスキルを多く獲得することだ。しかしユニークスキルは、ある一定の条件を達成という曖昧な部分からも、優先順位を低く見ておく必要がある。
次に気になるのは、スキルの進化に条件があるのか、ないのかの話になるから、アルバスに聞いてみる。
「段階的にスキルが進化するには、何か条件があるのか?」
「あります。まずスキルとユニークスキルからバドスキルになり、その次にスペリオルスキルに進化します」
「と言うことは、俺はすでに一番上のスキルを取得しているということですか?」
「いえ、スペリオルスキルには、まだ上が存在ます」
「俺が貰ったスキルは、全て進化可能ということですか?」
「はい、可能です」
「その進化方法を、教えてもらえたりはしますか?」
「すみません、ルール上できません」
やっぱり進化方法を、教えてもらうことはできなかった。
アルバスが進化には、条件があると言いながらも、その条件を言わなかったのは、神や魔神のルール上言えなかったからだ。
考えれることは、もしスキルの進化条件が知れわたった場合、世界中で強力なスキル持ちが誕生して、世界の均衡が崩れて世界そのものが滅ぶとかかな。
でも、スキルの進化条件の手がかりはある。スペリオルスキルの取得時に、同時に取得した空間魔法と重力魔法だ。
自由自在のスキルが、スペリオルスキルになる前のバドスキルだったときに、進化に必要だったのが、空間魔法と重力魔法の存在で、だから同時に取得したと考えると、今までの話と整合性が取れる。
この推測の確認は、神と魔神のルール上取れないから、次に聞きたいのは魔法だ。
「わかりました、次は魔法について教えてください」
「いいですよ、魔法は主に六系統あり、火、水、風、土、光、闇とあります」
「俺は、そこから何系統使えますか?」
「全系統です」
「はい?」
「だから全系統ですってば!」
たびたび思ってたが、アルバスってたまに笑って済まそうとするときがある。
全系統が使えるのは、嬉しいことではあるが、俺だけこんなに優遇されて、冬華にも同じだけ与えられるのだろうか。
「アルバス、俺はもう色々と結構貰ったが、冬華にもこれだけ与えれるのか?」
「冬華さんは、秋季と違って、勇者召喚での異世界転移なので、私には会いますが、アーテルには会わずに転移します。なので私のみからのスキル付与です」
「俺の力を貰う権利を、冬華にってことはできませんか?」
「できません、ですが魔法適性は本人の素質なので、冬華さんも全系統扱うことができます」
「そうですか、それだけでも良かったです」
「では、スキルの付与が完了いたしましたので、これから異世界に行ってもらいます」
アルバスがそう言って自身の後ろに、白に黒の模様が入った扉を出した。
「この扉の先が、異世界になります」
「わかりました。では行ってきます、それと冬華に伝言をお願いします『兄ちゃんは、すぐに迎えに行く』と」
「わかりました。必ず伝えます。それと、行ってらっしゃいませ」
「あぁ、秋季のこれからが、多幸であることを願っている」
アルバスとアーテルから、それぞれ言葉をもらい、扉を通ったときに、アルバスから話しかけられる。
「今回、秋季を送るにあたって、私とアーテルからそれぞれ従者を送りましたので、仲良くしてくれるとありがたいです‼︎」
「は⁈、おいそれ聞いてな「それとプレゼントも用意してありますので、お楽しみに!」い…えぇ……」
俺は光に包まれながら、アルバスの最後の話を聞いて、初めての世界で右も左も分からない状態で、従者のサポートはありがたいけど、もっと早く言って欲しかった思いがあった。
そして何より、プレゼントの内容が気になりすぎる。
俺は、早くも意気消沈しながら、俺が貰ったスキルや魔法のサポートをしてくれる人工知能に、名前がないことを思い出す。
「人工知能さんって、長いし呼びずらいから、別の名前考えていい?」
《…》
人工知能とはいえ、あくまでもスキルや魔法のサポートだから、返事がないのは考えてみればそうかという感じだった。
AIは人工知能と意味が一緒だし、〇iriは何かが違うし、もう深い意味なんて考えなくていいか。
俺が秋で、冬が冬華だから、残るは春と夏なんだが、俺も冬華も夏が好きじゃないから、春でいいかな。
「人工知能さんの名前は『ハル』だ、よろしくなハル」
《……》
アルバスとアーテルから、それぞれ従者を送るって言ってたから、二名来るってことだよな。
女神と魔神が送る従者ということで、どんな人が来るのか楽しみで、ちょっとだけ期待している自分がいた。
??「いよいよ、本格的に秋季の物語が始まるね」
「それはそれとして、次回の閑話は誰の視点になるんだろうねぇ」