第一話
俺は今、異世界に居るはずだよな。
この鳴り響く爆音、切り裂かんとする斬撃の雨、岩をも簡単に砕けるぐらいの力が込められた拳が全て、自分に向けて放たれている現実が間違いなく、異世界に来ていることを物語っているのだろう。
しかしこれは決して死闘などではなく〝模擬戦〟そう、紛うことなき模擬戦なのだ。
模擬戦のはずなのに内容は過激、苛烈、過剰やり過ぎなほどにやり過ぎている、何故だろうか前の世界では頭は悪くなかったはずなのに、ここ一ヶ月で脳筋になってしまった気がする。
そんな現実逃避をしていると、模擬戦の相手をしてくれている二人が声をかけてくる。
「主人様、模擬戦闘の最中に考え事とは随分と余裕でいらっしゃいますね。余程退屈なご様子ですので、今から攻撃速度を二倍にいたしますね」
「うわぁ、それは遠慮したいなぁなんて・・・」
「却下いたします」
「はい、すみません・・・」
「あるじー、悩み事?。悩み事があるなら僕、聞こうか?」
「いや、大丈夫だよ。ありがとうノエル」
「それよりも出来れば、今もなお攻撃が過激になっているシラユキを止めて欲しいのだが」
「・・・・・・あるじゴメンね、僕でも今のシラユキを止めることは出来ない・・・」
「そっかぁ・・・」
(分かっていた事だが、やっぱりダメだったか)
今も心配そうな顔をしながらも、俺への肉弾戦と影を使っての斬撃の攻撃をやめることはない、黒髪の少女は魔神様から従者として頂いた子で、契約時にノエルと名付けた。
そして今も後方から地面にクレーターができる威力の氷魔法と斬撃の雨を降らしている風魔法、逃げ道を塞ぐように降る雷魔法を駆使しながらも、ノエルに筋力上昇、速度上昇などの支援魔法を行使している、白銀髪の女性は女神様から従者として頂いた子で、契約時にシラユキと名付けた。
しかし何故従者に、この過剰なまでの修行を強いられているのかというと、遡ること一ヶ月前のこと。
俺は双葉秋季、秋季今の季節は秋の終わり頃の中、現在今年から同じ高校に通っている愛する我が妹からの返信を待っている。
しかし‹兄は家に着いたので、いつでも連絡して大丈夫だ›とメッセージを送ったとしても、生徒会で忙しい妹のことだ、返信はまだ来ないだろうなと思いながらも家でやることは限られてくる、(まぁひとまずは、一日のノルマの筋トレでもやっておくか)と思っていると、突如自室の中心から眩い光が発せられ思わず目を背ける。
「なんだこれは!、何が起こっている!!」
困惑していると、収まりつつある光から黒い輝きを放っている人影が飛び出して・・・・・・
何故か土下座をしている、しかも背中に蹴られた跡もある、自身に起こっている現状と目の前の疑問で頭が混乱していると、先程までの光がなくなり、そこには明らかに土下座をしている男性を蹴ったであろう状態で立っている、白い輝きを放っている女性が居た、いや何故、本当に何故、これ以上考えることは辞めよう、頭が痛くなってきた・・・・・・。
そんなことを思っていると、土下座をしている男性が話し始めた。
「誠に!申し訳ございませんでしたぁ!!」
「・・・・・・・・・は?」
「・・・・・・すみません。事の次第は私から話します。アーテル、貴方はもう暫くその格好でいてください」
アーテルと呼ばれた男性が土下座謝罪の後、黙って動かなくなったことで、更に困惑や疑問で頭が埋め尽くされている俺を、知ってか知らずか白い輝きを放つ女性が、俺に申し訳無さそうに話し始めた、アーテルという男性には辛辣気味で指示をしていたけど・・・怖い。
「まずは私の名前を、私は女神で〝アルバス〟そこの馬鹿は魔神で〝アーテル〟と言います。気軽にアルバスやアーテルと呼んでかまいません、以後お見知りおきを」
挨拶を終えるとともに会釈をしている女性がアルバスで、整った顔に特徴的な金色の瞳で、金色のロングヘアー、白い肌に細い腰とそれに合わないほどの大きな胸、程よく肉の付いた健康的な脚、所々に金色の装飾の付いた白のワンピースのような衣装、手には金色の杖、体には纏うように半透明の白い羽衣、一見おっとりとしたお姉さんに見えるが、どことなく恐怖を感じさせる雰囲気がある。
そして土下座のまま微動だにしない、馬鹿と言われようとも反論もしない男性がアーテルという魔神、顔は今だに見えないが黒髪の短髪で、日に焼けた程度の淡い褐色肌に黒の浴衣のような衣装、その上からでもわかる引き締まった健康的な体、背中には広げれば六畳間の部屋を簡単に突き抜けるほどの大きな黒い翼が、これでもかと折りたたまれている、そして横には黒色の杖が置かれている。
「よろしくお願いいたします、私は双葉秋季と申します」
(魔神ってことは同じ神だよな、それを馬鹿呼ばわりとは何をしたんだ、このアーテルって人は)
「そんなに堅苦しくなくても大丈夫ですよ。それから〝これ〟が何をしたかは今から説明したいと思います。神や魔神の違いも後ほど説明いたしますね」
(あー、この俺の聴きたいことを的確に言ってくあたり思考を読まれているかもな、自称神を名乗るヤバい奴らかとも思ったが、この感じは神本人であるか、神に近しい何かだよな)
「安心してください、〝自称〟ではなく本当に神ですから」
「あ、はい・・・」
(確定した。完全に読まれてる自称とか思ってすみませんでした。俺の妹もそうだけど、なんで美人の笑顔って時々怖く見えるのだろうか・・・妹よお兄ちゃんは不思議でなりません・・・・・・)
初めまして青甘です。
今回、初めてラノベ小説を書いたので、読みにくいなどの部分があると思いますが、これから成長していきますので、最初のうちはご容赦ください。
私が好き勝手に書いたラノベ小説で読者様が楽しんでいただければ幸いです。