後部座席の子供たち
久しぶりに満天の夜空に星が輝いて見える。
昨日まで梅雨続きで朝から夜まで曇り空だったから。
田舎だから学校がある街の中より星が綺麗に見える。
学校からの帰り道、バスを降りて夜空を見上げながら自宅に向けて歩く私の横に、車が止まった。
目を車に向ける。
近所の小父さんの車だった。
運転席から小父さんが顔を覗かせ私に声を掛けて来る。
「今帰りかい? 後数百メートルもないけど良かったら乗って行く?」
「ありがとうございます。
でも、夜空が綺麗なので星を見ながら帰ろうと思います」
「ハハハ、ロマンティックだね。
それじゃ気をつけて帰りなさい」
そう言って小父さんの車は走り出し私から離れて行く。
フー。
あー怖かった。
あの小父さん、昔、交通事故に巻き込まれている。
信号を無視して交差点に突っ込んで来た車の横っ腹に激突して、相手の車に乗っていた子供が3人亡くなった。
その子供たちだと思うのだけど、血まみれの子供が3人、小父さんの車の後部座席に座っていたのよ。