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14.魔王の伝説

 私は、散歩する足取りで、門番の横を通り過ぎながら、首を切り落としました。


「えっ?」


 あっけにとられているもう一人の門番に、剣を振るいます。


 スパーン。


 綺麗に首根っこから切れ落ちて、ころころ首が転がっていきます。


「さて開戦ですよ」


 石畳に真っ赤な血が広がっていくのを見つめます。

 ゾンビを殺した時よりも、血の量が多いです。

 私は足を取られないように、気を付けながら進んでいきます。


 他の兵士たちが、驚きながら、剣を私に向けます。


「うわぁああああああ」


 今まで命を懸けて、振るったことがないのでしょう。

 勢いも、覚悟も、なにも剣に乗っていません。

 絶対当たらぬ剣など、なにも怖くはありません。

 私は、受けることすらせずに、するりとかわすと、そのまま兵士の首を刎ねました。

 大地を真っ赤に染める絵具と化した兵士を踏みつけながら、私は進んでいきます。


「人は蘇らない。

 失った体も治らない。

 魔法はあれど、回復魔法のような都合のいいものは存在しない」


 だから、私に誰か一人でも、少し怪我をさせれば、勝ちです。

 でも、


「怖気づいたら負けですよ」


 怯えて、剣速が遅くなれば、あたるわけありません。

 私は、向かってきた兵士たちを次々と、刃を振るい、刻んでいきます。

 首さえ刎ねてしまえば、動かなくなる生きた人間など、ゾンビに比べてなんと脆いものでしょうか。


「殺そうと思うものは、殺される覚悟を」


 商人が歩いていました。

 なにかをしゃべろうとします。

 私は、無視して、刃を振るいます。


「力なき者は、常に死ぬ覚悟を」


 命乞いなど、聞くのも時間の無駄です。


 進んでいくと、ドレスで着飾った貴族の女が歩いていました。

 女王である、私に対して、偉そうな視線を向けます。


「ワタクシは、この国、伯爵の娘で……」


 自分の自己紹介を始めました、こちらは名前も覚える気はないというのに、それに何の意味があるのでしょうか。

 私の国に、貴族は一人もいません。

 爵位など、何の意味もないというのに。

 自分は殺されないと高をくくっていた、貴族の女の首を刎ねました。


「わぁあああああああ」


 すべての人間が、私から逃げようと駆けだします。

 

 私は、以前この城には、お姉様の結婚式できています。

 裏口などないでしょうに、どこに逃げるというのでしょうか。


 腰を抜かした女がへたり込んでいました。


「助けて……」


 この城の給仕でしょうか。

 誰か助けてほしいと懇願していました。


「理不尽な暴力に立ち向かえるのは、自分自身だけ」


 私は、ソウに習った言葉を唱えながら、剣を振るいます。

 戦えないとか、そういったものは関係ありません。


「倒すと決めたら、躊躇してはいけない」


 私が倒すと決めたのは、アステーリ国です。

 今日、この城にいる人間を全て倒すと決めています。

 愛する人すら、殺した私が、私の命を狙う国の人間に躊躇するわけありません。


「私は、世界一平等な女です」


 老若男女すべての者に死を。 


「さあ、自分達の王を呪いなさい」


 二度と間違いを起こさないように、恐怖と絶望の断末魔をこの国中に響かせるといいでしょう。


 理不尽には、理不尽を。

 城の石畳を真っ赤に染める鮮血のように、

 自身の残虐性が、心を占めていきます。


「私の狂気が、サンヴァ―ラを、世界を救います」

 

 伝説が再び、復活ののろしをあげます。


『なにがあっても、サンヴァ―ラ王国に手出ししてはならない。


 心優しき王は、魔王となりて、全ての民を滅ぼしつくすだろう』


 

ついにニルナが城に突入しました。


面白い、続きが気になる、とおもっていただけた方は、

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