表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英霊召喚に失敗して私の勇者を乗っ取られました ! 王女の私が、世界を救ってみせます ――聖剣と悪の血統者――  作者: 名録史郎
ep1.冥界の扉を閉めるまでは

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/90

41.魔女

 塵も残さずに、ジャイアントゾンビが消え去っていきます。

 スルトソードを振りかざしながら、私はゆっくり歩を進めます。


 数えきれないほどのゾンビが再び目の前に復活します。


 が、


 私が軽く一振りすると、炎の舌が、なめとるように、ゾンビやスケルトンが消えていきます。


「っつ」


 魔女が手に持つ杖を高くかざしました。


魔杖変形「冥王の花嫁(ペルセポネ)


 魔女が、熱波を防ごうと、氷の結晶を模した形に変形させて冷気を放ちます。

 世界を滅ぼすほどの灼熱の業火の前に、極寒の冬程度の冷気がなんの足しにもなるはずはありません。


 私は、魔女にゆっくりと歩みを進めていきます。


魔杖変形「冥王の鎌(ハデス・デスサイズ)


 杖に、実体を持たないガラスよりも透明で、恐ろしいほどの冷たさをはらんだ刃が出現します。

 一目でわかります。

 効果は即死です。


「死になさい」

 魔女が私に向かって、大鎌を振るいます。


聖剣変形「運命の剣(ウィ―ザルソード)


スパーン。


 私は、魔女が鎌を振るよりも早く腕を斬り飛ばしました。

 アイギスの盾でも防げたでしょうが、防ぐまでもありません。

 そもそも攻撃をさせなければいいのですから。


 魔法使いが私のような剣士に、間合いに入られた時点で勝負は決まっています。


「そん……な」


 シュウシュウ音を立てながら魔女の腕が復活していきます。

 カラカラと転がっていく、魔杖を追いかけようとします。

 私は魔女の足を切り落とし、転ばせました。

 本来、転ばぬための道具を拾おうとして転ぶとは滑稽です。


「随分不幸そうな顔をしていますね」


 切り刻むと、面白いように回復していきます。

 もはや、回復しない方が楽になれるほどです。


「助けて……」


「何を言っているんですか? 私はあなたの子孫ですよ。命乞いされたとき、どうするかなんて、おばあ様が一番知っているでしょう」


 命乞いは蔑ろにするのが、魔女流でしょうに。

 魔女が、苦しみ転げまわる姿に、私は露ほども罪悪感を感じません。

 私は自分の中にいる残虐性にもちゃんと気づいています。


「私は当然誰かが助けてくれると思っていたり、王族をないがしろにされたら怒り狂ったり、一度手にしたものは人に返す気がなかったり、結構性格悪いと思うんですよ」


 ソウが言ってくれたように、

 誰かのために戦いたいと思うのも本当です。

 確かにこの世界の平和を願う心もあります。

 ただ力を得たことで、元々わがままだった性格は悪化したようにも感じます。


「それは……」


「私の本性をちゃんと理解した人はみんなこういうんですよね」


 私は魔女であるネガイラおばあ様に教えてあげました。


「性格はヨウキおばあ様似だって」


「は?」


 自分の名前が出ると思ったのか、ネガイラおばあ様は呆けた顔をしました。


「誰一人として、性格が悪い例にあなたのことをあげる人はいませんでしたよ」


 私だって信じられません。

 祖先や古代種の皆さんは、ネガイラおばあ様程度のことを性格が悪いとは思っていないのですから。


「ウーツ様は言いましたよ。あなたは責任持って倒すと、でもね。ヨウキおばあ様は絶対敵にまわしたくないといっていました」


 ウーツ様は、魔女を止めたかっただけです。

 私のために。

 それに対して、ヨウキおばあ様のことは戦いたくないとはっきり言いました。


「ソウはあなたを倒すことは、苦戦したとか大変だったなんて言ったことはありません」


 ウーツ様と一緒に戦っていたのだって、そっちが楽に倒せるからです。

 やろうと思えば、一人でレーヴァティンで、亡者ごと殺しつくすこともできるはずでした。

 ソウにとっては、魔女を倒すことは、どうしようもないだだっ子を叱りつける。

 その程度のこと。


『未来を切り開くのは、過去の亡霊である俺様達じゃない。今を生きるお前だ。ニルナ』


 だから、私に未来を選ばせてくれた、ただそれだけです。


「ネガイラおばあ様、あなたは歴史に名を残した悪女ですが、祖先や昔の人達は誰もあなたのこと、怖いとも思っていませんでしたよ」


 ルーンさんは、魔女側についたことを後悔し、ボーレンさんは、魔女が復活したと聞いてため息をついて呆れただけです。

 誰も恐れてもいません。

 もはや私も怖いとは思っていませんでした。


「あなたが考えるとびっきりの絶望なんて、その程度なんですよ」


 魔女は何かに視線を泳がせると、

 いいことを思いついたと言わんばかりの顔で私を見ました。


「勇者を蘇らせたいとは思いませんか?」


 まるで、世界の半分をあげるから助けてほしいとでもいうみたいです。


「ワタクシなら何度だってあの子を蘇らせてあげますわ」


 ここで魔女を、殺せば、冥界の扉を開く秘術は失われるでしょう。


 勇者は好きでした。

 死んでものすごく悲しいです。

 ただ、

 

「振られた男をいつまでも引きずると思ったら大間違いです」


 私は前に突き進む女です。

 過去は振り返りません。


「不幸すらも、私の大切な想い。それを穢す者は許しません」


 壊れた心が、絶大な魔力を生み出し、自分の紫の瞳が力強く輝くのを感じました。


聖剣変形「最高神の槍(グングニル)


 怒りが、鋭く聖剣を変形させます。


 私は、魂破壊効果のある槍を魔女に振り下ろします。


 魂の一片も残らないように。

 可能性の一つも残さないよう。


 世界の半分程度で許すわけないでしょう。

 私は、女王ニルナ・サンヴァーラ。


 世界のすべてを捧げなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ