21.王墓2
「どうだ聞き覚えがあるだろう?」
「ちょ、ちょっと待ってください。聞き覚えというか……」
サンライズとムーンヴァーナそれは確か……
「あれ? お姫様のファミリーネーム、サンヴァ―ラじゃなかったけ? なんか似てるわね?」
クミースがそんなことを言います。
私は完全に思い出しました。
似ているのは、当たり前です。だって、
「はるか昔私の祖先、二つの王族のファミリーネームがサンライズとムーンヴァ―ナです。たしか二つの国の王が結婚したときにファミリーネームを混ぜたということでした」
普通であれば、ファミリーネームはどちらかの名前を引き継ぐもの。
ですが二つの王族はどちらが上というのは作りたくなかったため特別に名前を混ぜることにしたと……。
「つまりソウとウーツ様は私の……」
「祖先だ」
ソウは言い切りました。
「だから、ファミリーネームは知っていると言っていたのですか」
祖先ならば知っていて当然です。
「英霊召喚は、子孫でなければできないようになっている。他の奴に迷惑をかけないために、そういう風に設定しておいたからな」
私は一つの答えにたどり着きます。
「つまり、ソウとウーツ様が結婚?」
「何を言ってるんだお前は? 相棒と俺様は、男同士だぞ。仮に結婚はできたとしても、子供ができないだろう」
「そうですよね」
難しい問題です。
どういうことなのでしょうか。
「結婚したのは、俺様の息子とウーツの娘だ」
「なるほど」
簡単な話でした。
やっぱり私は勘が悪いかもしれません。
「ソウは……私のおじいちゃんですか」
「何世代前かはよく知らんがな」
ひい×?おじいちゃんです。
つまり私は、本当のひい×?孫娘ということです。
ヒントはいっぱいありました。
ペンダントは王座に隠してありました。
王族でなければ、そんなところに入ることはできません。
そもそも最初から二人は王と名乗っていました。
この国で王と言えば、私の一族だけ。
まず祖先であると思うのが普通です。
呆れられても仕方ありません。
「やっぱり過保護だとおもったのよね。おじいちゃんだったわけね。納得」
クミースの方が勘がよさそうです。
「ソウは、王様だったんですね」
「俺様は、別に王じゃない。王なのは俺様の嫁ヨウキの方だ」
女王と結婚したのなら王でもいいかと思いますが、確かに生粋の王ではないと言っていた意味が分かりました。
「せっかくだし、一つ一つ説明してやろう」
「お願いします」
「お前が俺様を初めて召喚した城があっただろう」
「はい」
「あそこがサンライズ城、太陽の国の城だ。知ってる通り、サンライズ城は、不便なところだったからな。王都は、ムーンヴァ―ナ城があるところの方になったんだ」
「だから、今では『旧』城と呼ばれているのですね」
「それから俺とヨウキは隠居することになって引っ越したのが第二都市アカツキ」
「ああ、だから第二の『都』なのですね。ということは、ソウが生前最後に過ごした家というのは……」
「お前が別邸といっていたあの家のことだ」
「ですよね」
だからソウは自分の家と言っていました。
私の家だから自分の家と言っていたわけではなく、間違いなく自分の家だったわけです。
ソウは普段から偉そうですが、別邸にいる間、格別わが物顔でいました。
飾ってある武器もソウが使う聖剣形状にそっくりなものばかりでした。
それはそのはずです。
間違いなくソウの武器だったのですから。
私が聖剣をもっているので、今はソウが鉈の代わりに、剣を持ってきています。
「私のことをいい女になるとかなんとか言ったのは……」
「お前は、ヨウキとウーツの嫁によく似ている」
つまり、本当に自分の子孫かどうか観察していただけなのでしょう。
「体で払えというのは」
「お前が勝ってに言い出したから、からかっただけだ」
よく考えると、私から言い出したのでした。
「初めて会った時、見返りに何をくれるんだと聞いたが、別になにもいらないんだよ、しっかりお礼を言えてお願いできるちゃんとした子孫ならな」
私は、祖先であるソウに助けなさいに命じたりしました。
私はお父様にもそんなこと言ったりしたことはありません。
不機嫌になって当たり前です。
私に対してだけ厳しいのは、身内なので当たり前です。
つまり、真実を知った私がしなければいけないことは……。
「ごめんなさい」
謝ることだけです。
「ふん。まあ、しっかり肩でも揉んだら許してやろう」
……。
孫娘がおじいちゃんにできる恩返しは肩もみぐらいです。
私は心を込めて、ソウの肩をもみました。
「あはは、あーおかし」
クミースは私たちのやり取りを見て笑っています。
私の顔が赤くなるのを感じます。
友達の前で、身内に怒れるほど恥ずかしいものはありません。
「魔女についても、詳しく話した方がいいんだろうが……」
ソウが少し言いよどみます。
「それは相棒の口からがいいだろう。相棒の肩もしっかり揉んでやるんだな」
それだけ言うと、ソウは、ゆっくり目を閉じました。




