表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

掲示物

「あ!しまった」


時は昼休憩。天音が突如声をあげた。

現在生徒会では、学校の入り口近くにある掲示板へ貼り出すの作品を制作していた。今月は詩と折り紙を1/4の大きさに切り、それを貼り虹を作るといった感じの作品を作ることになっていた。

と言うのも、この掲示板に飾る作品は大体の季節ごとに換えるものなのだが……何で生徒会こんなことをしているのだろう。普通飾るなら美術部の作品とかじゃないのか?と、まぁ疑問ではあるのだが、伝統と言う事らしい。……うん。そう言うものだと思って、深くは追求しない。


「どうしたの?天音ちゃん」


咲耶さんが天音に訊ねると、天音は机の上を指差した。全員の視線が先ほど切り終わった折り紙の山に集まる。


「切ったのはいいけど、色の違い判る?」

「え?」

「色の違い?」


私は切られた折り紙の山をよくよく観察する。そして気づいた。この折り紙の山は、二十五色の綺麗なグラデーションの順に並んでいた。しかし、各々で適当な枚数を手に取り切ってをした後の現在は、ある程度同色でまとまり七つの山ができていた。本来であれば二十五色、二十五の山が出来ていないといけないのだ。


「違い……っ!そう言うことか」


他の役員たちもどうやらその事に気付いたようだ。場の空気が凍り付く。


「……取り敢えず昼休憩も終わるし、今日はここまでにしよう!明日は続きからで、作り始めるの予定だったけど……」

「色の仕分けからね。大丈夫よ、みんなでやれば何とかなるわ!」


咲耶さんと美咲さんの言葉に同意し、この場は解散する事にした。



            ◇◆◇◆◇



「さぁて、自分の仕事だね」


時は移って放課後。私は生徒会室にいる。他のメンバーが部活動に勤しんでいる間に、私が雑務を終わらせようと言うわけだ。


「……ん、大丈夫」


色の違い判るかが鍵であったが、問題なく見分けられる。

私は戸棚からダブルクリップを取り出し机に置く。そして仕分けを開始する。


            ~ ~ ~


「やっぱりいた」

「ん?天音」


どれくらい集中していたのだろうか。天音に声を掛けられ、顔を上げる。


「つーくんならしてると思ってた。って言うかもう、結構な量仕分けてるね」

「大まかに分けているだけだよ」


私は七つの山を大まかに十三の山に並べていた。ここから更に分けて束を作る予定なのだが……。


「私もやるよ」

「部活動はいいの?近いうちに、演奏会があるんでしょ。練習が大事な時期じゃないの?」

「うっ……でも」


天音は迷う素振りを見せる。……ちょっとちゃかしてみるか?


「放課後は部活動優先でしょ?信じて任せてよ。それに、別に全てやってしまっても、構わんのだろ?」


どこぞのマンガのセリフみたいな、確認を天音にとる。一度は言ってみたいセリフだよね。


「……本当にしそうだから、迷ってるんだけど」


……そんな風に思ってたとは。まぁいい。天音自身が明日の作業時に、仕分けに参加できれば納得するだろう。


「あぁもう。ほら、部活に行ったいった」


私は天音を生徒会室から押し出すと、隣の音楽室前の扉におく。


「ちょ、つーくん!」

「明日には元の予定通り制作開始が出きる程度には分けておくから。そんで、制作と仕分けを同時進行すればいいだろ?」

「……わかった。その案でいくから、つーくんもそのつもりで作業してね」

「りょーかい。ん、じゃあ部活頑張って♪」


天音が音楽室に入っていくのを見届けて生徒会室に戻る。そして改めて折り紙の山と対峙する。


「さぁて、やりますか!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ