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「ねぇ、つーくん?つーくんは部活には行かないの?」
生徒会室の整理を終わらせ、持参していたラノベを読んでいると、天音に部活動に行かないのか訊ねられた。
私は運動部の卓球部に籍は置いているが幽霊部員でいる。
「……気が向いたらね」
と言いつつ正直、運動が苦手なので参加する気は一切ない。じゃあ何で運動部に入ったのか?部員が多いところなら、幽霊部員でも不思議じゃないと考えたからだ。……もちろん一年の最初の頃はちゃんと出ようと思った。けれどレベルの高さに、回りのモチベーションの高さについていけず挫折した。それ以来、幽霊部員を貫いている。
「まぁ、その辺は自由だから無理にとは言わないよ。その分、生徒会の仕事はしっかりしてよ?」
「まぁ、それはもちろん。……でもいいのかなぁ、生徒会役員とあろう者がこんな中途半端で?」
推薦された時から思っていたこと。文武どちらにも優れている訳ではない自分が生徒会役員。推薦が無ければ、なろうとも思わなかった。
「そもそも生徒会の人って文武両道な人たちの集団じゃないの?」
「んー、イメージは確かにそうかもね?私も最初はそう思ってたよ」
私の疑問に天音は一つの持論を語り始めた。
「でもね、それは色眼鏡、つまりは先入観なんだよ。大変そうな事を率先してやる人たちだから、きっと自分たちより優れた人なんだ。きっと文武両道な人たちなんだ、って」
「……ん、確かにそうかもな」
「まぁ、役員になった人たちも、そう見えるように努力してるかもしれないけれど」
「そうかな」
「私はそうだよ?だって生徒会長は、生徒のトップだからね。みんな、とは言わないけど……目標にして貰える、そんな存在になれる様に頑張ってるよ。つーくんはどう?」
自分は……ん、そうだな。
「きっと変わらんな」
「変わらん?」
「どう見られていようとかまわん。今まで通り、やることはきちんとやるだけだ」
努力はもちろんするが無理の無い程度で。それに多分やるべき事自体は変わらない。私は私に出きるやり方で生徒会を支えるだけ。
その結果、あんな人居たっけ?みたいな感じで、憶えられて無かったとしても、していたことを知っているわずかな人さえ居れば十分。そっちの方が私にとっては価値のある言葉のはずだから……。
「ま、それがキミだよね。仮面を付けるのが上手いし、程ほどにしておきなよ」
「……何が?」
「んー、縁の下の力持ちも良いけど、たまには、ね?」
付き合いがそれなりに長い分、どうやら見透かされているようだ。
「会長の指示とあれば、と返しておくよ。じゃあ自分は帰るよ」
「うん、じゃあまた明日ね、つーくん」