表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

イメージ

「ねぇ、つーくん?つーくんは部活には行かないの?」


生徒会室の整理を終わらせ、持参していたラノベを読んでいると、天音に部活動に行かないのか訊ねられた。

私は運動部の卓球部に籍は置いているが幽霊部員でいる。


「……気が向いたらね」


と言いつつ正直、運動が苦手なので参加する気は一切ない。じゃあ何で運動部に入ったのか?部員が多いところなら、幽霊部員でも不思議じゃないと考えたからだ。……もちろん一年の最初の頃はちゃんと出ようと思った。けれどレベルの高さに、回りのモチベーションの高さについていけず挫折した。それ以来、幽霊部員を貫いている。


「まぁ、その辺は自由だから無理にとは言わないよ。その分、生徒会の仕事はしっかりしてよ?」


「まぁ、それはもちろん。……でもいいのかなぁ、生徒会役員とあろう者がこんな中途半端で?」


推薦された時から思っていたこと。文武どちらにも優れている訳ではない自分が生徒会役員。推薦が無ければ、なろうとも思わなかった。


「そもそも生徒会の人って文武両道な人たちの集団じゃないの?」


「んー、イメージは確かにそうかもね?私も最初はそう思ってたよ」


私の疑問に天音は一つの持論を語り始めた。


「でもね、それは色眼鏡、つまりは先入観なんだよ。大変そうな事を率先してやる人たちだから、きっと自分たちより優れた人なんだ。きっと文武両道な人たちなんだ、って」

「……ん、確かにそうかもな」

「まぁ、役員になった人たちも、そう見えるように努力してるかもしれないけれど」

「そうかな」

「私はそうだよ?だって生徒会長は、生徒のトップだからね。みんな、とは言わないけど……目標にして貰える、そんな存在になれる様に頑張ってるよ。つーくんはどう?」


自分は……ん、そうだな。


「きっと変わらんな」

「変わらん?」

「どう見られていようとかまわん。今まで通り、やることはきちんとやるだけだ」


努力はもちろんするが無理の無い程度で。それに多分やるべき事自体は変わらない。私は私に出きるやり方で生徒会を支えるだけ。

その結果、あんな人居たっけ?みたいな感じで、憶えられて無かったとしても、していたことを知っているわずかな人さえ居れば十分。そっちの方が私にとっては価値のある言葉のはずだから……。


「ま、それがキミだよね。仮面を付けるのが上手いし、程ほどにしておきなよ」

「……何が?」

「んー、縁の下の力持ちも良いけど、たまには、ね?」


付き合いがそれなりに長い分、どうやら見透かされているようだ。


「会長の指示とあれば、と返しておくよ。じゃあ自分は帰るよ」

「うん、じゃあまた明日ね、つーくん」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ