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放課後、古詠ちゆ

ある日の放課後。生徒会も委員会の仕事も無いので、帰り支度をしていると、古詠が話しかけた来た。


「ねぇ、紬。何か面白い話ない?」

「面白い話ねぇ……」

「そう。面白い話」


そんな事を言われても……面白い話ねぇ。何かあっただろうか?……あぁそう言えば。


「面白いかどうかは知らんけど」

「うん、うん。なにかな」

「たまに考えるんだけど、この世界の中心って何だろうなって」

「世界の中心かぁ」


昔言われた言葉で、世界はあんた中心で回ってる訳じゃない。その言葉を聴いてから時たま考える。なら世界の中心って何だろう、と。まぁ分かったら、どうこうするって訳でも無いけれど……

古詠は少し考えると、私はと言って話し始めた。


「心底どうでもいいと思う」

「あ、やっぱり?」

「でも強いて言うなら、私」


ほう……古詠は、自分派って事かな?


「より正確に言うと、私が見て体験する事。私の見える世界の出来事。その中心は……って感じかな」

「なるほどねぇ。言われてみればそうか……」

「そうね。キミの好きな小説風に言うなら、私は私と言う物語の主人公。だから今見ている景色が私の世界の中心」


どうやら私の考え方が固かったようだ。私の見えている範囲、体験する事は確かに私の出来事。私の世界に違いない。

そう考えていくとやはり。


「心底どうでもいい、考え事だったわけだ」

「そう。そんな事で悩んでも時間の無駄よ。私たちの過ごす時間に待ったは無い」

「限りある日々だからいとおしい、ってか?」

「そうね。じゃあ初めに戻って、何か私を楽しませて♪」


……私は帰りたいんだけど、どうやら解放して貰えないようだ。どうやら満足行く話では無かったようだ。……ってそりゃそうか。ご所望は面白い話だ。仕方がない、お嬢様が満足するまで話すか。


「今、失礼な事考えなかった?」

「そんなこと無いよ……」

「目を逸らしてるよ!?キミ、そこそこ顔に出やすいタイプだねぇ」

「わるぅございました」


で、楽しませろかぁ……。あれ、そう言えば。


「古詠、部活はどうしたの?」


古詠は軽音楽部に入部してドラムを担当していた。部活動幽霊部員な私と違ってきちんと部活へ参加していたはず。


「聞いてくれる?美音がね……」


どうやら当たりを引いたようだ。古詠さんが目を輝かせて話し出す。どうやら聞いて欲しい事があったらしい。


「ねぇ、聞いてる?」

「はい、はい。ちゃんと聞くから、ゆっくり話しな」


この後、古詠の話しは完全下校時間間際まで続いたのだった。



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