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魔女だけどなにか?  作者: 花紅茶
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ここ…どこ!?




――んっ…ん?


「……いったぁ…」



後頭部を押さえて体を起こそうとすると両手足ベットにへばりついて動けない


「えっ…何これ…」


手首に巻かれた金色に光る紐のようなものは寝ているベットに固定されていた



――ちょっと待って…何がどうなってんの…

全然思い出せない…てゆーか、ここどこよ!!

待って落ち着いて。この部屋には幸い誰もいないけど…

見た感じ…病院?病室?ベットしかないシンプルな作りの部屋

アタシはここに運ばれたの…?

にしてはなんで拘束されてるの…?

何がどうなってるの…仕事は?

今日急遽休んだの?

って…こんな状況でも仕事の心配してるなんて流石社畜…



悲しくなってフッと思わず鼻で笑う



痛む頭を使って考える




――待って、待って、そうだ!!思い出した!!!


アタシ…




転生してるんだ。




アタシは元は立花たちばな 日和ひより

ごく普通の会社員で28歳独身だった…

ブラック企業に勤めてて毎日仕事三昧。

年齢が年齢だったから周りの友達が女性として幸せを掴んでいく中、男が多い職場でどんどんと強くなっていって、一人で全然生きていけてしまっていた…ほんとは女性としての幸せ、結婚とか家庭とか普通に憧れていたのに…

そんな、幸せは味わう事なく交通事故で死んだ


いつも通り遅い仕事帰りに信号待ちしてたら、

隣で信号待ちしてた学ランを着た男の子に向かって車が突っ込んできて、アタシは咄嗟にその子を庇って突き飛ばして…



そこから目覚めたら、



今の体、ルナになっていた。

ルナ・サスティフォール


元々この体は焦茶色の髪にブルーの瞳が綺麗な伯爵令嬢の体だった



ルナは婚約者に浮気されて婚約破棄を突きつけられる

相手はいつもルナに意地悪をしてきていた公爵令嬢の娘で、結婚するにはルナよりも良い条件ということもありすぐにその話は進んだ


ルナの結婚はサスティフォール家にとってとても重要な役割だったがそれを果たせなかったルナは酷い扱いを受けるようになり


そんなある日魔王に屋敷を襲われて家族や使用人は全滅

全て魔王の紫色の炎で焼き尽くされた


魔王はこの世界に魔物を生み出し

人々を苦しめて、この世界を滅ぼそうとしている最悪の悪党

遥か昔に封印されていたが、少しずつ力を取り戻そうと水面下で動いていた



魔王は最強の闇魔法使いを生み出す為に闇魔法に耐えれる体を探して何人もの人間を拐っては殺していた


ルナは魔王に連れ去られて散々な実験を繰り返された

魔王が求める闇魔法に耐えれる人間の体だった

魔王の血を飲ませられて全身が燃えるように痛むのに耐えて…

その後も何度も体をいじられて…闇魔法を使える体にされた…



髪の色は真っ黒に染まり光が差すと紫に輝く

長い前髪をかきあげて腰まである髪は毛先が波打っていた

紫色の瞳はアメジストを思い浮かべさせるように美しく

小さい顔に真っ白な肌大きな瞳は少し釣り上がっていた


妖艶で美しい闇属性の魔法使い



それも、最強の魔女に



ルナの記憶で魔王にされた事を覚えているけど、とても見るに耐えれなかった




『本当に辛い人生だった。苦しいのに死ぬこともできないなんて…』



ルナは心の声が最後に残っていて…そこと共に精神の糸が切れた…



そして、今のアタシの記憶が戻ったところまでは覚えてる。



けど、アタシの記憶が戻った時はルナは魔王の城から抜け出して、山奥の小さな家で自殺しようとして…

失敗して強く頭を打って、立花日和の記憶が戻った…



そこからはアタシは何かしていたはずなのに…

こんなベットで、ましては拘束なんてされてなかった


どうして何も思い出せないの…

ここ最近の記憶がない…

交通事故で死んで、前世の記憶が蘇って…

ルナのとして何かしていたはず




何か大切な事を頼まれていた気がする…

誰かに大切な何かを…


それに、

忘れちゃいけない約束をした気がするのはなんで…?





うーんと考え込むルナ



――まぁ、思い出せないものはしょうがない!

とりあえずアタシが前までいた山の奥にある小さな家に帰ろう!そうしたら何か思い出せるかもしれない!


と、その前にこの拘束されてる魔法を解かないとね…

これ、光属性の魔法だ。アタシの天敵の属性だけど



《バキバキバキッ!!》


紫色をした綺麗な結晶が金色に輝く拘束を固める



「お互い様ね〜」


ルナはふっと笑い



《パチンっ》


と指を鳴らすと紫色の結晶がバキッと割れて拘束魔法を解いた


闇属性にとって光属性は相性が悪かったが、

光属性にとっても闇属性は相性が悪かった




――ルナは最強の闇魔法使い

前のルナの記憶で見たから魔法を使う感覚が残ってる

底なしの魔力にこの紫の結晶を自由に扱って大抵の事はできる



そして、




《スッ》




転移魔法

ルナはベットから起き上がると瞬間移動して、壁の窓の前に立った



――入り口にドアがあるけど…

こっちの窓から逃げた方が安全だよね…

あんな入り口のドア、絶対出れないようにしてあるに決まってるし、すぐ誰かに見つかるかもしれない…



窓に手をかけようとした瞬間



《ガララー!!》




「やっとお目覚めか眠り姫〜」




部屋の入り口のドアが荒々しく開けられる

楽しそうな白銀の髪の男が勢いよく中に入って来た



「いつの間に!?」


ルナが驚いて振り向く



――ルナは魔力を察するの事もできる、近くにいれば絶対気づけるはず!!魔力の気配を全然感じ取れなかった…

とにかくヤバい!コイツに捕まったら終わる!!




ルナの体が危険信号を出していた

入ってきた白銀の髪の男は一瞬でルナの背後を取った



「うっ…」


――嘘でしょ!?早すぎる!!何にも反応出来なかった…

にしても苦しい…うまく魔法を使えない…



白銀の男はルナの背後に回り、首に腕を回して締める

ルナは白いローブを着た男の腕を両腕で掴んで抵抗する



「大人しくしろ、そしたら腕を緩めてやる」


グッとさらに力を込める



コクコクと涙目になって頷くルナ



腕が緩むのと同時にルナの細い手首を片手で掴み



男がルナの手首に向かって空いている手をかざし

拘束魔法をかける



金色に輝く紐が何重にもルナの手首に巻かれた

それと同時に両足首にそれぞれ金色に輝く輪が巻かれる



「次この拘束魔法解いたら、足の筋切るからな」



ククッと喉で笑う男を見てゾッとして固まり恐怖で涙目になるルナ



「お、お前…絶対魔王の手先だろ!」


ルナは拘束された手で男を指しパニックなって言う



「アホか殺すぞ、光属性の魔法使ってんだろうが。魔王の手先が使うわけねーだろ」



《パシッ》



「ひいっ!!」


ルナは両足を男に引っ掛けられ倒れそうになるとこをそのまま抱き抱えられた



「なんだその間抜けな声は」


くつくつ馬鹿にしたように笑う男



――こ、こんなお姫様抱っこなんて女子の夢見るシュチュエーションなのに微塵もドキドキしない!

むしろ恐ろしくて体が縮こまるんですけど…

さっきコイツ足の筋切るとか言ったし!

めっちゃ怖いし!確かにこの拘束魔法光属の魔法だ…


魔王のところに連れて行かれた時の記憶では魔王の手先は闇魔法しか使わないし…闇属性しかいなかった

けど、コイツ普通に殺すとか、足の筋切るとか言うから絶対悪い奴だろ!!


普通こんなか弱そうな女子にそんな事言うか!?

ルナはめちゃくちゃ美人なんだよ!儚い系の!




そのままさっきまで寝ていたベットに座らされて

男が椅子を持ってきて目の前に座った




「さて、話を聞かせてもらおーか、魔女さん」


ニヤリと笑ってルナを見た





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