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ある少女の最後


鉄格子が鈍い音を立てながら、ゆっくりと開く音がする。


「時間だ、出ろ」


牢番の男が、もう立つ事も出来ない私を引き摺り牢の外へ出る。

引き摺られている両足は、既に感覚がない。


 どこで間違えたんだろう……

 どうしてこんな事になったんだろう……

 私はただ、幸せになりたかっただけなのに。


 あの日アルの元婚約者をエスコートしていた男性は、隣国の大公子息だったそうだ。捕らえられた後に牢番と拷問官が教えてくれた。

何でも持っているお嬢様をエスコートしている男性が、たまたま私好みだったから声をかけただけなのに、どうして私がこんな目に遭わなければいけないの?



 そんな事を考えていると、いつの間にか広間に連れて行かれていたようだ。

たくさんの見物人がいるのが、うっすら分かった。


何か偉そうな人が私の罪状を言っているようだけど、もう耳もまともに機能していない私には関係のない事だ。

引き摺られてささくれ立った縄のような物が首に通される。

あぁ私は今から死ぬんだ——



 もう歩く事も立つ事も出来ない私は、牢番に体を支えてもらっている。見知らぬ男に体を触られる事への嫌悪感すらもうどこにもない。

そしてふと私は空を見上げた、本当に気まぐれに。



目もほとんど見えていないはずなのに。五感の全てが殺された筈なのに。無性に涙が溢れた。

だって見上げた空が、私の死を祝福しているかのように雲一つない青空だったから。


 そんなに悪い事をしたんだろうか……

 ここまで痛めつけられる事を、私はしてしまったんだろうか……


私には、もう何も分からない。

そんな風に考えていたその時、スッと地面から体が浮くのが分かった。


 ごめんなさい——


誰に向けての言葉かは分からない。

ただ私の頭に最後に浮かんだ言葉だった。










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― 新着の感想 ―
[一言] 死んだの当人だけだからマシじゃん 家族諸共殺されてもそりゃそうだとしか思わんし
2022/05/26 10:28 退会済み
管理
[一言] とりあえず何の後ろ盾も正式な理由もなしに権力者に逆らえば、まして中世世界観の場所ならむしろ建前としての平等あろうがよく卒業まで処分しないで置いておいてくれたなーと思う そもそも、なにが理由で…
[一言] 富裕層の筈なのに家で全く教育を受けなかったのか?学園でも他の誰も注意しなかった?公爵家子息の妾候補なので教師も忖度した? 当然の忠告を嫌がらせとしか思えない時点で終わっているが、それを助長…
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