第47航行 先輩達の卒業式
卒業式当日になった。
校門付近には、卒業生とその親御さんが集まっていた。
「それでは……卒業生の皆様、それと親御様は教室へと向かってください。」
ニアンがそう、拡声器を使いながら言う。
ぞろぞろと、校舎内に入っていく。
「……学校に来るの、入学式以来ね。」
バーモントの母がそう言った。
父は仕事の関係で、来れないと言っていた。
「そうだね。帰省の時は、バスを使っていたし。」
そう返すと、母は頷いた。
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卒業式が執り行われた。
卒業証書の受け取りを始め、校長の挨拶、在校生代表送辞としてイチカが挨拶をした。
そして、式の終盤。
卒業生答辞として、バーモントが壇上へ上がる。
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長い冬が明け、我が学舎にも春の声が聞こえ始めた頃。
私達、アスマロス海洋学校第87期生は、この学舎を卒業致します。
私はこの学校を代理で導く身として活動をして参りました。
思い返せば、私がその立場で活動が出来たのは、紛れもなく在校生の皆様のお陰だと感じております。
きっと、この学校は良き方向へ向かうと考えております。
アスマロス海洋学校の先生方、及び関係者様。
そして、在校生の皆様。
私達、第87期生の122人は無事に海軍への道を進んで行きます。
この学舎で学んだことを心に刻み、御国の為に精進して参ります。
これにて、卒業生の答辞とさせて頂きます。
卒業生代表、3年3組 バーモント・エスベア
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こうして、無事に第90回卒業式が終わった。
3年生は、ぞろぞろと教室へ戻る。
「バーモント君、答辞で私達の人数さ122人 (3年生の本来の人数) って言ったじゃん。121人って言わなかったの、もしかして?」
戻り際、サクラがそうバーモントに聞いた。
「ああ。ミミナも含めてだ。」
ミミナを抜いた、121人と言うのが普通だろうが……
それだと、ミミナに失礼だと思ったのだ。
「よく、ジェロ先生 (担任の先生) は許可を出したわね。」
サクラはそう返す。
「さっきの事をそのまま伝えたんだ。そうしたら、『お前は先生がダメだと言っても、言うつもりだろう。……なら、俺は許可を出すだけだ』って、言ってくれたんだ。」
そう言うと、サクラは『成る程』と頷いた。
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夕方、バーモントは校舎を出る前に生徒会室に向かった。
ギンガが伝えたい事があると言ってきたからだ。
「失礼するよ。」
バーモントが入ると、既にギンガが居た。
「……あ、先輩。」
ギンガは会釈をする。
「早速だが、話とは?」
「先輩、まずは卒業おめでとうございます。」
「ありがとう、ギンガ君。」
「そして、僕を大会の副官として任命してくれて、ありがとうございました。先輩が機転を利かせてくれて、大事な経験をさせて頂いて……それで思いました。僕は先輩と、ミミナ先輩みたいになりたいです。」
その言葉を聞いて、涙が出てきた。
本当に、良き後輩に恵まれた。
「そうか。ギンガ君は、きっと良き先輩になれるぞ。」
「……はい!」
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卒業式の翌日。
バーモントは無事に卒業出来た事を報告しに、ミミナの墓参りをした。
「なあ、ミミナ。やっぱり、ミミナの勘は当たってたよ。きっとあの後輩達なら、あの学校を良くしてくれる。だから……だから、皆の事を見守ってくれ。」




