第45航行 3年生、卒業筆記試験を迎える
3学期末、3年生全員は体育館に集まっていた。
そこには、全員分の席と紙が置かれていた。
「………これより、卒業筆記試験を執り行う。制限時間は、1時間。」
全員が座った上で、アガミ先生がそう言った。
(尚、試験の最後の部分は学科で違う為、技術科と管理科は少し席を離れさせている)
「それでは、試験開始!」
全員は、紙を表向きにして一斉に書き始めた。
▫▫▫
卒業筆記試験の内容は以下の通り
・海軍基地が何処の市にあって、かつ基地の名前を答える
・海軍用語について、正しい用語説明を答える
・気象情報の基礎内容について、正しい内容を答える (※技術科のみ)
(海上の天候を見る必要がある為、3年生時に基礎内容を勉強する)
・戦艦の修理と保守について、基礎知識を答える (※管理科のみ)
以上が試験内容として組み込まれており、合格には90点以上の点数が必要である。
※試験に落ちると、同じ内容の試験をやるが、その際は97点以上を取る事が条件になる。
それでも落ちると、海軍には上がれないとされている。
(過去に再試験の生徒は何人か居たが、試験落ちの人は居ないらしい)
▫▫▫
(………何とか、大丈夫そうかな)
残り時間までもう少しのところで、バーモントは全部の答えを埋められた。
(もう一回、見直そう………)
その途中で、試験終了の声かけがあった。
回答用紙は先生方が集めて、翌日までに採点をする。
▪▪▪
その日の放課後、バーモントは一緒に試験勉強をした仲間を集めた。
「なあ、試験はどうだったか。」
「バーモント君が丁寧に説明してくれたから、全部埋められたよ。」
サクラが言った。
「私、テオロ市の海軍基地の名前が思い出せなかったぁー!それが答えられれば、なんとかなったのに。」
チオが言う。
「テオロ市はノリーリラ海軍基地だった筈、だぞ。」
リバーバがそう言う。
「………」
「……って、バーモントはどうだったんだ?」
リバーバがそう聞く。
「あ、ああ。何とか埋められたよ。点数が取れれば良いんだけどな。」
皆のを聞いていると、自分自身も少し不安になってきた。
それも加えて言うと、皆は笑いだした。
「……変なこと、言ったかな。」
「いやいや、成績上位のバーモント君が心配するなんて珍しいって思っちゃってさ。」
サクラが言った。
「そうよ。私たちにも勉強を教えてくれたし……バーモント君が落ちる訳無いと思うよ。」
チオもそう付け加える。
サクラの言う通り、自分は成績上位だった。
根っからの努力家と言えば、言い過ぎだと思うが―――
勉強の予習・復習は欠かせなかった。
自分自身、心配のし過ぎなんだろうか。
「なあ、皆。」
ふと、リバーバが言う。
「これで、全員受かったらさ。ミミナに報告しないといけないな。」
「そうだな。」
それを聞いたサクラとチオも、頷いた。
その時、門閉じの鐘が鳴った。
「じゃあ、学校を出ようか。」
荷物を持って、学校を出た。
▪▪▪
翌日、またもや3年生は体育館へ集められた。
試験の結果が発表されるとの事だ。
「それでは、結果を言うぞ。」
アガミ先生が言う。
皆、顔が強張り緊張が走る。
「……全員、合格だ!皆、ここまで良く頑張った!!」
「「合格だー!!」」
3年生全員、安堵の声と共に喜びあった。
(……ミミナ、頑張ったよ)
そうバーモントは思った。
(でも、本当の海軍への道程はここから、だよな)
お国の為にも国民にも恥じないような、軍人になる。
そうも、バーモントは誓った。
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