表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの夢は水平線の向こうにある ―戦艦に乗って出航!―  作者: 桜橋あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/58

第44航行 2回目の学校見学

下級生同士の練習試合後。

2回目の学校見学の日がやって来た。


学校のしおりを200部まで増やし、見学時間や授業を観る人数を調整したり、前回の誤算(トラブル)みたいにならないよう工夫をした。


「前回とほぼ同じくらいね。」

正面玄関から外を見た、イチカがそう呟いた。


「……あ、イチカさん。見学者数を数えて来ました。」

見学準備委員会の副委員長のトトが、そう話しかけた。


「どれくらいだった?」


「173人でした。もう時間なので、これで確定ですね。」

そう、トトが返した。


「そう、数えてくれてありがとう。やっぱり、国別で優勝したから見学に来ようとしたのかしらね。」

イチカがそう言うと、トトは頷いた。


「それと、前回来た人も居ますね。もう少しじっくりと観たいのでしょうか。」


覚えているなんて凄い、と思ったが……もう一度来たって事は、試験を受けに来る可能性が高い。

その旨をトトに言うと、確かにと言わんばかりに頷いた。


「……これで、また学校が賑わえば良いですね。イチカさん。」


2回目の学校見学が始まった。

今回の見学では、前回の内容に加えて、午後は戦艦の中も案内する。


時間配分を調整したお陰で、スムーズに見学が進んでいった。


▪▪▪


午前中の見学が終わった頃、イチカはご飯を食べに食堂へ向かっていた。


(戦艦の案内の件、役員の皆に指示を出さなきゃな。お昼の休み時間、ゆっくり出来ないわね……)


食堂に向かいながら、イチカがそう考え事をしていると……誰かにぶつかった。


「きゃっ……すいません。大丈夫ですか?」

イチカはそう言って相手を見ると、地元の中等学校の制服を着ている。

学校のしおりを持っているし、見学者バッチを付けている。


……のだが、顔に見覚えがある。


「あ、大丈夫です……あれ?」

相手も気がついたようだ。


「もしかして、アオト君?」

「……やっぱり!イチカ先輩だ!」


アオトは、イチカの実家の隣に住んでいる子だ。

イチカが海洋学校に入学するまで、交流があった。


「アオト君って、もう中等学校を卒業するんだっけ。」

そうイチカが言うと、アオトが頷いた。


「イチカ先輩とは、2つ違いだからそうです。」


「……で、どうしてここへ見学を?私がここに進学したのは知っているとは思うけど。」


まさか、見かけるとは思いもしなかった。

今回は前回みたく、しおりを見学者に渡していないから……彼が来ている事は知らなかった。


「先輩の活躍を見て、僕も海洋学校に入ろうと思いまして。1回目は別の学校を観に行ったんですけど、やっぱり……アスマロスも観てみようって。」


「そっかあ。」

イチカがそう呟いた瞬間、自分のお腹が鳴るのが分かった。

……そうだ、お昼を食べに行くところだった。


「引き止めてしまったみたい、ですね。すいません。」

アオトがそう謝る。


「いや、ぶつかった私が悪かったわ。……じゃあ、また午後にでも。」


そう言って、二人はその場を別れた。


▪▪▪


午後の見学も、無事に終わった。


「………なんとか、2回目も終わったわね。」

反省会を終え役員が解散した後、イチカがそう呟いた。


「なあ、イチカ。」

ニアンが、話しかける。


「どうしたの?」


「親しげに話していた中等学校の子が居たろ。知り合いなのか?」


アオトの事だと悟った。

隠す事では無いと思ったイチカは、アオトとの関係を話した。


「……そうか。」


「なーに?嫉妬なの?」

ニアンの表情を見たイチカは、そうからかう。


「嫉妬じゃない。知り合いや後輩が観に来てくれたってのが、余程嬉しかっただろ。顔に出ていたぞ。」


(嬉しそうな顔をしていたのか、私……)


確かに、ニアンの言う通りなのかも知れない―――


その時、門閉じの鐘が鳴った。


「時間だな。……帰ろうか。」

ニアンがそう言う。


「……うん。」


二人は、荷物を持って生徒会室を出た。


▪▪▪


その頃、アオトの家では。


「アオト、海洋学校の件……どうする?」

母がそう聞いてきた。


1回目の見学はウェストローガ海洋大学校、2回目はアスマロスだ。

2校を見比べて、判断すると話していた。


「僕、イチカ先輩みたいになりたい。だから、アスマロス海洋学校に進学したい。」


「決まりだな。」

父がそう言うと、アオトは頷いた。

ブクマ、感想等いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] (・∀・)ニヤニヤ ムフフフフフフ ニアン君きになるかね。なるよなぁ?ん? [気になる点] 年下の男の子って…… いや、何でもないです [一言] そっかー、それだけいたかー と言うこと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ