第40航行 3年生、本場海軍との試練です:前編
3学期になった。
3年生はこの時期になると、本場の海軍と『戦術の試し』と言われるものを行う事になっている。
3年間で培った技術面を、どこまで海軍と張り合えるかを試すのが目的だ。
今年度は、隣の市にあるニーシッタ海軍基地に配属している『セィレッタ第七部隊』が相手だ。
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『戦術の試し』の当日になった。
「本日はよろしくお願いしますぞ、バーモント殿。」
隊長である、セィレッタ少佐が言った。
「よろしくお願いします。」
バーモントがそう返し、握手をした。
「それでは、用意をお願いします。」
アガミ先生が言った。
『試し』で海洋学校の使える戦艦は、F型戦艦。
海軍の使用戦艦は、ネッテルガー型戦艦 (※) を中心に配置することになっている。
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(3年生全員で、操行出来るのは4隻か。2隻1組でとりあえず対処する、と伝えるしかないな)
準備中、バーモントはそう考えていた。
「ねえ、バーモント君。今回の海軍の戦艦、うちらのF型で装甲は抜けられるのかな。」
ふと、主砲の砲師であるミズハが話しかけた。
「確か、チエルガ戦艦を中心に構成すると聞いた。海軍の兵卒が使う戦艦の一つだから、破損はあり得ると思うぞ。……でも、撃破を競うのではない。それは理解出来ているだろう?」
そう返すと、ミズハは苦笑いをした。
「………そうだったわね。あくまで、私たちの技術がどこまで通用するかって事、だよね。」
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「隊長、今年度のあの子達……どこまで張り合えますかね。」
副隊長のチルネ大尉が、セィレッタ少佐に聞く。
「それはバーモント殿の采配と、チームワークが要。……だが、いい『試し』が行えるような気がしますぞ。」
「隊長、準備が整いました。」
一人の海軍兵士が、そう伝えた。
「分かった。……それでは、向かおうぞ。」
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「これより、『戦術の試し』を行います。制限時間は1時間、どちらかが全滅した際は、その時点で終了となります。」
アガミ先生が、そう伝える。
「では、始めましょうぞ!」
セィレッタ少佐が言う。
「「よろしくお願いします!」」
戦艦に乗り込む。
「………今回の海軍が使う戦艦は、チエルガ戦艦4隻。戦術・技術は海軍の方が上だが、なんとか対処するぞ。」
バーモントは、無線で各戦艦に伝える。
『確か、2隻1組の構成で操行だったか。』
今回4号の艦長を務める、リバーバがそう言う。
「バラバラに操行するよりは、2隻1組にすれば攻撃の幅が広がるからな。」
『とりあえず、やれるところまでやろう!』
2号の艦長の、メメルが言った。
「……ああ。皆、頑張ろう!出航だ!」
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(※) ネッテルガー型戦艦
海軍における、前哨攻撃専用の小型戦艦の一種。
尚、海洋学校のC型戦艦に転用される戦艦でもある。
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こぼれ話:部隊名の決まり
基本的に、『隊長の名前+第○部隊』である。
○には数字が入るが、数は厳格に決まっている。
その部隊の隊長が退くと、新たな隊長の名前が付く事になっている。
ちなみに、隊長になる為には少佐以上の階級が必要である。
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