第38航行 1回目の学校見学
2学期もそろそろ終わりに近づいた頃。
今年度、1回目の学校見学の日がやって来た。
「………何か、凄い人数居ないか?」
登校前、校門を通ろうとした時にマガイロがそうギンガに呟いた。
「確かにそうだね。僕が見学に来たときよりも多い気がする。」
自分が見学に来たときの、倍以上は居る気がする。
……国別対抗で優勝したからなのかな。
そう言うと、マガイロは頷いた。
「優勝の宣伝効果、凄いわね。ここまで人が来たの最近無かったわ。」
その声は、イチカだ。
「先輩の時も、あまり人が来なかったのですか?」
そう聞くと、苦笑いしながら頷く。
「私が見学に来たときも、かなり少なかったのよ。」
「イチカちゃん、ここに居たんね。ちょっと手伝って?」
見学準備委員会の委員長である、ローテットが話しかけた。
「あ、うん。分かった。……話の途中でごめんね。」
そう言うと、イチカはその場を離れた。
「先輩も大変ね。」
シアラが呟いた。
「確かに。……生徒会長って、本当に忙しいんだな。」
▪▪▪
ローテットと共に、イチカは生徒会室へ入った。
ニアンを含め、何人かが居た。
見学者に渡す、学校のしおりの追加分を作っている。
「さっき、トト君 (副委員長) が見学者を改めて数えたら187人も居たって。去年と同じ100部じゃ足りなくて、追加で作って貰っているの。」
ローテットがそう言った。
「そうだったのね。」
「残り、あと15部だ。」
ニアンが横から言う。
「分かったわ、急いで作りましょう。」
他の2年生にも追加で手伝って貰って、何とか見学時間までには間に合わせた。
「………何とか、間に合ったわね。」
イチカがそう言うと、皆は頷いた。
「本当にごめんね。ここまで来るとは思っていなくて。」
ローテットが申し訳なさそうに、言った。
「ローテットちゃんが謝る事じゃ無いわ。私だって、ここまでの反響があるとは思っていなかったし。……じゃあ、1回目の見学を成功させましょう!」
▪▪▪
見学時間になった。
門が開かれると、次々と見学者が入ってきた。
門の所で、イチカを含め生徒会役員が手渡しでしおりを渡す。
「あ、国別対抗の時の優秀選手に選ばれた生徒会長さんですよね!試合の活躍、カッコよかったです!」
イチカに声をかける人が多かった。
「……あ、ありがとうございます。」
見てくれている人が居る、とハッキリ分かった。
ちょっとだけ、照れくさい。そうも感じた。
学校見学では、学校施設の案内や実際の授業内容を見る内容になっている。
「結構、いろんな施設があるんだ。」
「間近に港があるんだね!すごーい!」
「船、近くで見ると思ったより大きいんだなぁ。」
見学者の声を聞いたイチカは、ふと初めて学校見学を思い出した。
私も、こんな感じに目を輝かせながら見学したっけ。
……まさか、生徒会長として案内するとは思ってもいなかったな。
▪▪▪
開始前にちょっとした誤算があったものの、学校見学は終わった。
その日の放課後、生徒会室に役員が集められた。
「皆さん、お疲れ様でした。」
イチカがそう言うと、皆は頷いた。
「次回は、しおりを多く用意しますね。」
ローテットがそう言う。
「そうですね……。あと、見学者の案内に少し不備がありました。そこら辺も、もう少し見直しをしたいと思っています。」
時間配分が間に合っていなかった部分があった。
これも、思ったより多くの人が来て予定が少し狂ったからだ。
「……問題点はそれぐらい、ですかね。これに関しては、次の会議で話し合おうと思います。」
皆は頷いた。
「それでは、お疲れ様でした。」
▪▪▪
見学後の教務室では。
「受験生、今年は増えますかね。」
リネンダ副校長が、コモンド校長にそう言う。
「あの盛況は、きっと増える。そう思うぞ。」
コモンド校長は、窓から門の方を見る。
イチカ達が帰る姿が見えた。
「あの子達のお陰で、またこの学校に学生が戻る。そんな気がしてならん。リネンダも、もう少しは明るい方向を向かんかね。」
それを聞いた、リネンダ副校長は頷いた。
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