第34航行 大会記録(国別対抗編):グレンドー国vs.ルゥイベットロ王国
試合の翌日。
「これより、グレンドー国選抜対、ルゥイベットロ王国選抜の試合を行います。一同、礼!」
「「お願いします!」」
両方の生徒が戦艦に乗り込んだ。
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「今回は、サーベロットのF14戦艦改造型4隻でC型を守って貰います。A型はイガラベットのを1隻で、残りはシアラベットとうちらのF型が攻撃側として対処します。よろしくお願いします。」
ネシラが言う。
『『了解!』』
「A型1隻はなかなかハードじゃ無いですか?」
通信師のツラバが言う。
「……まあ、そうかも知れんがな。相手の事を考えると、攻守固めないと困るから。致し方ない。」
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「ルゥベットロは硬度があるから、守りのF型には攻撃せずC型を集中攻撃してちょうだい。隊形はいつもの通りだけれど、昨日の反省を活かして後方もしっかり守るわ。」
ベルシアンが言った。
『今回は下手に惑わされないよう、落ち着いて操行するわよ。』
ベルアンテの声だ。
「勝てると良いですが……」
リュウが呟く。
「とりあえず、やるしかないわ。………じゃあ、出航よ!」
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試合開始から、約40分。
イガラベットのA8型戦艦は、東側を操行していた。
『船先、相手を遠目ながらに目視。』
監視師からの報告だ。
「やはり、囲みの戦術ですね。……どうしましょう。」
情報管理師のセツラが、艦長のオトバに聞く。
「セツラ、一番近いF型は?」
「シアラベットのF型2隻ですね。」
レーダーを見ながら、そうセツラは応える。
「マード、シアラベットの戦艦に向かわせるよう伝えてくれ。」
オトバはそう、通信師のマードに伝える。
「分かりました。」
「砲撃範囲に入らないようにしたらいいかな。」
操行師である、ツルネが横から言う。
「そうだね。なるべく、相手の周りを操行して欲しい。」
「了解。」
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グレンドー国側のC型戦艦では。
『遠巻きに、相手のA型が見えるわ!』
ベルアンテの声だ。
「1隻だけみたいですね。」
リュウがそう言う。
レーダーを見ると、砲撃範囲から外れて操行しているみたいだ。
「ネルサイントロのF型1号で、あのA型を攻撃するよう言ってちょうだい。」
ベルシアンは、通信師のムニアにそう伝える。
なるべく、隊列を崩さないように1隻だけで対処する。
「了解です。」
そこから数分で、対処に向かわせたF型から『A型を撃破』と報告を得た。
「……それじゃあ、合流してちょうだい。」
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その頃、シアラベットのF型では。
「ウシラ君。A型戦艦から、NE5地点よりC型と囲みのF型を発見したようです。」
通信師のアツネが、艦長のウシラにそう伝えた。
「2号にも、応戦要望をしたとの事。」
「距離からして、約1200リェン先ね。」
管理師のエミラーニが横から伝える。
「エンジンの最大出力だと、10分で着く計算だな。早く向かおう。」
ウシラはそう言うと、機関室に最大出力にするよう伝えた。
『ウシラ、聞こえる?』
2号の艦長である、ルネチーラの声がした。
「ルネチーラ、どうした。」
『C型の件は聞いているかしら。』
「さっき、アツネから聞いた。それがどうかしたか。」
『A型が相手に落とされたらしいわ。』
それを聞いて、レーダーを見るとA型戦艦が白く点滅している。
通常は、赤く点滅しているから撃破された証拠だ。
相手の戦艦は、そのまま北北東の方に操行しているみたいだ。
その先に、こちら側のC型とF型のレーダーが映る。
「こりゃあ、まずいぞ……!」
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『相手のC型を目視しました。』
ネルサイントロのF型2号から、報告を得る。
「サーベロットが囲みのF型みたいですね。」
リュウがレーダーを見ながら、そう伝える。
『砲台を見る限り、F14の改造型ね。遭遇を見込んで、かしら。』
ベルアンテが言う。
F14の改造型戦艦は、確か攻撃にやや特化した戦艦である。
相手は重装甲だから、速度は遅いはずだ。
――やれることは、1つ。
「………このまま、全戦艦は速度を上げて一斉に攻撃するわよ!」
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『C型戦艦、聞こえますでしょうか。』
カウラベットのC型戦艦に、F型戦艦からの通信が入る。
「シアラベットのF型1号、どうかしましたか?」
ネシラが応える。
『相手の戦艦が、そちらに向かっております。』
「さっきのA型戦艦が撃破されたのと、関連がありそうだな。」
ツラバが横から言う。
『前方より、相手のC型とF型を目視。かなりの速度で、こちらに向かっているようだ!』
甲板監視師が、そう伝える。
「こっちのF型も追いかけて来てるみたいやけど、距離的に追い付くのは無理そうよ。相手の方が速いみたい……どうする、ネシラくん。」
情報管理師のネミィがそう言う。
多分、F型の合間を縫って攻撃すると考える。
だとしたら、サーベロットのF型に任せるしか無いのか――
相手が速度を上げて向かっている以上、悩んでいる時間は無い。
「前方を操行している、F型2隻は相手のC型を狙ってください。」
『『了解!』』
操行師のナミネーゼに、左方向へ旋回を頼む。
それと同時に、後方にいるF型も沿うように守って欲しいと伝える。
「何とか、耐えてくれ……!」
どんどん、両チームのC型とF型が迫る。
F型戦艦同士による激しい応戦している。
……だが、両方のC型戦艦に弾が当たり黒煙を上げながらその場に停止した。
▪▪▪
グレンドー国側のC型戦艦では、砲撃を喰らったがエラー音は鳴っていない。
「機関室、エラーは出ているかしら。」
一応だが、ベルシアンが機関室に聞く。
『舵機能、エンジン系統には異常なし。操行には問題は無い。』
▫▫▫
逆に、ルゥイベットロ王国側のC型戦艦では、エラー音が鳴り響いていた。
『こちら、機関室。[エラーコード05] (砲台破損) 、[エラーコード09] (舵機能停止) が出ています。……もう、操行は不可です。』
機関室からその事を聞いたネシラは、敗けを悟り白旗を上げた。
『ルゥイベットロ王国選抜、C型戦艦操行不可。よって、グレンドー国選抜の勝利!』
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試合後、ネシラと副官のレソンはグレンドー国側の陣地へ赴いた。
司令官、副官共に握手を交わした。
「やはり、そちらの攻撃には敵わなかったです。……流石、と言えますね。」
ネシラがそう言った。
「そちらの応戦も、なかなかだったわよ。……ここまで手こずるとは思わなかったわ。」
ベルシアンがそう、応えた。
「試合、とても有意義でした。」
「こちらこそ、だわ。」
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翌日の3日目は、ミハローガ王国とルゥイベットロ王国の試合が執り行われる。
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