第1航行 入学式
「ギンガー?早く起きなさい!遅れるわよぉー!」
下の階から、母の声が聞こえる。
「う、うーん。」
ギンガは、布団から渋々身体を起こす。
カーテンから日の光が差し込む。
時計を見ると、8時を回っていた。
「いっけね!」
急いで学校の制服に着替え、必要な荷物を持って階段を降りる。
「母さん、何でもっと大声で呼ばなかったんだよ!危うく寝過ごす所だったじゃん!」
降りるなり、母に言う。
「何度も呼んだわよ。はいこれ、おにぎり。車の中で食べなさい。」
小さな風呂敷を持たせた。
家で朝食を食べれる時間が無い。………仕方がないな。
「忘れ物は無いわよね。」
「うん。」
「じゃあ、行くわよ。」
▪▪▪
この日は、『アスマロス海洋学校』の入学式当日だ。
家からは車で約30分ほど掛かる。
寮で生活するため、着回せる程度の下着や私服を持ち合わせている。
……余談だが、父親は居ない。
なぜ居ないのか、実は分からない。幼い頃、面影はあるのだが。
まあ、本当に余談だから置いといて………入学式には母が同席する事になっている。
▪▪▪
ようやく、学校に着いた。
『第90回 私立アスマロス海洋学校入学式』と書かれた看板が見える。
学校前は、だいぶ人が居る。………そりゃあ、そうか。
「………あっ、ギンガくーん。」
聞き慣れた、少々高い声がした。
声のする方へ向くと、髪を後ろに纏めた、同じ学校の制服を見に纏った女子がいた。
彼女は、シアラ・メンギ。
ギンガが転入した小学校から一緒で、この学校もお互いに志望していた。
「ギンガくん、お母様、おはようございます。」
シアラは挨拶をした。
「おはよう、シアラさん。そういえば、ご両親は?」
母が聞いた。
「ああ、親はクラスの役員で。今、入学式の打ち合わせで学校の中に居ます。」
シアラとは、家族ぐるみで仲が良い。
………シアラとそのご両親には、大変お世話になったからだけど。
「そうだ。クラス表を見ないと。」
玄関先に掲示されている、クラス表を見た。
基本的に「戦艦技術科」が25人、「戦艦管理科」5人の計30人で1クラスだ。
今年度は3クラスあり、シアラと同じ組になったみたいだ。
「聞いた話だと、今年は受け入れ生徒込みでも定員割れだって。国立、私立共に極端な定員割れはうちだけみたい。」
シアラが呟いた。
どの学校も150人 (技術科:125人、管理科:25人) が定員で、毎年かなりの受験生が受ける。
「受け入れ生徒」とは、第一志望で受からなかった受験生を指す。
「アスマロスは、大会じゃあ滅多に活躍しないからねぇ……。そこそこいい戦艦持っているんだけど。」
シアラがさらに言う。
彼女は、戦艦マニアだ。長さや砲台、機関、射程距離、装填時間……他の学校や本場の海軍戦艦も知っている。
「新入生の皆様、教室へ移動お願いします。」
先輩と思わしき生徒が、玄関先で呼び掛ける。
「じゃあ、行こうか。」
大変にお待たせ致しました、新作です!