第29航行 主軸校への想い:バーモント編
主軸校へ選ばれてから、バーモントは忙しい毎日を送っていた。
試合後にある試験勉強に加え、次期生徒会への引き継ぎ。
国別対抗の件で、各学校の生徒らの打ち合わせや、戦術の構築など。
いつにも増して、気を張って生活をしていた。
▪▪▪
ある日の放課後、生徒会室にて。
パソコンのカメラ通話機能で、他の学校の次期生徒会長と打ち合わせを行っていた。
他校の戦艦も取り扱う為、定期的に行っていた。
そろそろ、終わりに差し掛かった頃。
『………あの、バーモント先輩に1つお聞きしたい事がありまして。』
イルアガロス海洋学校のレアンが言った。
「何でしょう。」
『主軸校に選ばれた時、心構えとかはありましたか。』
「心構え、か。無かったな……寧ろ、選ばれるとは思わなかったから。」
こればっかりは、本心だ。
てっきり、今年も他の学校が……と思っていた。
『引き請けを聞かれた時はどう思いました?』
ミアガロス海洋学校のノーラが続けて聞いた。
「さっきも言ったが、選ばれるとは思いもしなかったから、最初は驚いたよ。ただ、選ばれた理由は真っ当な意見だったから請けようと考えたんだ。………って、どうしてそんな事を聞くんだ。別に構わないけど――」
『バーモント先輩は、他校の僕らでも憧れの先輩の一人ですから。代理で先頭に立って、みんなを引き連れて行く姿が。』
レアンが言った。
それに続いて、他3人も頷いた。
まさか、そんな風に見られていたとは思わなかった。
……もしかしたら、それも主軸校として選ばれた理由なのかもしれない。
その時、門閉じの時間を知らせる時報鐘の音が聞こえた。
(門閉じ:学校の正面門を閉める事。鐘の音が鳴ると、30分以内に門外へ出る。)
「話はここまで、だな。……皆さん、お疲れ様でした。」
『『お疲れ様でした!』』
バーモントは、資料などを片付けた後に荷物を持って生徒会室を出た。
そのまま、正面ロビーに向かうとイチカの姿が見えた。
「………あ、バーモント先輩。」
イチカも気がついたようだ。
「お疲れ様、イチカさん。」
二人は外へ出た。
「先輩、時間ありますか?」
ふと、イチカがそう聞いた。
「ああ、大丈夫だが。どうしたんだ?」
「戦術について、少し話がしたくて。色々考えたんですけど、先輩の意見が欲しくて……。」
その時のイチカの眼。……懐かしいものがあるな。
「先輩?」
「あ、いや。何でもない。食堂へ向かうか。」
「はい!」
▪▪▪
夕方、食堂にて……イチカと二人で、戦術を含め色々話し合った。
「しかし、戦艦の弱点なんてよく調べたよな。」
そう言うと、イチカは少し顔を赤らめた。
「これ、シアラちゃんの資料を参考にしたんです。」
そう言うと、イチカは資料を取り出した。
……なかなかの資料だ。全校・全部の戦艦が載っている。
ギンガ君もそれを参考にしたのか。
「俺達は、一人じゃないな。皆の力があって、今に至る。」
イチカは頷いた。
▪▪▪
一通り、戦術などをまとめあげた。
それをまた、次の他校の話し合いに伝えよう。
「あの、先輩。」
食堂を出る前、イチカに呼び止められた。
「無理だけはしないでください。3年生は何かと大変なので……」
「ありがとう。無理はしないよ。……大会、頑張ろうな。」
「……はいっ!」
大会まであと1週間。
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